ショパンコンクールで2位となった反田恭平のコンサートが各地で開催されている。残念ながらコンサートには行けなかったのだが、演奏そのものはもちろん、彼の人柄や、音楽に対する真摯な姿勢とも相まって高い評価を受けているようだ。特に、聴衆との一体感を大切にする彼の姿勢は、ピアニストにはあまり見られないような気もする。
たまたま、新聞の読者欄をみていたら、彼の出身地である札幌でのコンサートについて、演奏もさることながら聴衆のマナーが素晴らしかった、というのがあった。
確かに、時にはとても気になる、不快になる聴衆の一部のマナーのなさ、特に、演奏が終わるか終わらないうちに野太い大きな声でブラボーと叫ぶ、あるいは何としても拍手の口火を切ろうとするかのような輩がいることは事実だ。個人的には、演奏が終わった後の一瞬の静寂は(素晴らしい時間の、その余韻に浸るという)演奏家にとっても聴衆にとっても特に貴重なものだと思う。
共産党独裁から民主化した直後のワルシャワで、パリで客死したショパンの心臓が納められている聖十字架教会を訪ねたことがあった。その入り口に物乞いの少女がいたことも何故か記憶に残っている。今ではもうそんな光景は見られないのだろうが。