こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

詩・あるく

2015年05月08日 14時29分15秒 | 文芸
あるく

字のとおり
自由に歩く
フリーウォーキング
マップいちまいに
進路を
見きわめて

方向に
迷いながらも
人生を
生きている
わたしが
苦手とした
地図をたよりに
歩く

それも
人生の一興
考えれば
また楽しい

歩く
足が止まる
その日まで
フリーウォーキングだ



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子どもの「怒ってるの?」は

2015年05月08日 07時47分17秒 | 文芸
子どもの「怒ってるの?」は

「おとうさん、なに怒ってるの?」
 いきなり顔を覗きこんだ4歳の息子に言われて戸惑う。というのは、別に腹を立ててるわけではなく、単なる考え事をしていただけなのだ。
「ほら、おとうさん。いつもこの子らに細かい事ばかり言ってるから、顔色を窺われるのよ」
 口あんぐりで息子を見つめているわたしのようすに、妻はからかうように言う。
「そんなにうるさくないぞ」
 反論すると、待ち構えていた妻の反撃を食らった。
「ご飯済んだらすぐ歯をみがけ!」「テレビは二メートル以上離れて見ろ!」「本は寝転んで読むな!」……。一気に具体的な表現を手振り身振りで妻は見せつける。
「どう?」
 意味ありげにわたしを促す。
 確かに、すべて思い当たることばかり。
(結構うるさいおやじになってるなあ…)
 すこし自嘲に駆られる。
「子どもと顔合わせる機会の少ない父親がそれじゃ、嫌われて当然よ」
 妻の追い討ちはキツい。胸にひどく応える言葉がわたしをつきさす。
 きょとんとした顔で親の会話に聞き入っている(?)息子に気付いて、ニヤッと頬笑みでやった。照れ臭くてちょっとぎごちない。それでも、ニコリとこぼれるような笑顔を返して来た息子にひと安心した。
「嫌われた父親は、だいたい家庭内暴力の犠牲者になるみたいよ」
 物騒な妻の言葉に、さもありなんと思う。
(ええと、空かれるおとうさん像は……!?)慌てて考えるわたし。やっぱり悪い父親なのだろうか。
(神戸・1989年1月26日掲載) 。
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絵手紙

2015年05月08日 02時14分05秒 | うろうろ
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天真爛漫・その1

2015年05月08日 00時27分59秒 | 文芸
電話が鳴っている。
 受話器に手を伸ばしたくてもままならない。この時間帯に掛かって来る電話は、いたずらでなければ余程緊急なものである。香西和真は焦る心をグッと抑えた。
 ちょうど喫茶店で最も忙しい時間だった。客は二十人程度だが、一人でその注文をこなすのはきつい。大半は珈琲の注文客だが、モーニングサービスが付く。トーストとゆで卵を皿に乗っけて客席へ運ぶのにかなり手間がかかる。そこにココアなどがオーダーされると発狂したくなる。とても動きを中断して電話に出られない。ともかく客優先である。
「マスター、あたし出ようか?」
 カウンター席に座る常連の女の子が立った。結城洋子だった。近くにあるYMCAスイミング教室でコーチのバイトをやっている。毎朝店に寄ってくれる。カウンターが定席で、和真の手が空けば間髪をいれず話し掛けて来る。こちらから訊ねなくても、彼女の身の上は本人が口にする。若く見えるがもう二十代後半だ。就職にあぶれ、バイトで食いつないでいるらしい。スイミングのコーチをやっていて体格は頗るいい。すすんで珈琲を客席まで運んでくれる。世話好きなのだろう。
「……ああ、頼むわ。悪いね、洋子ちゃん」
 和真の返事を待たずに。洋子はレジ横にある電話を取った。
「はい、七枚の画布(キャンバス)です。マスター?いま手を離せないんです。はい、そうです。あ?ママさんやったん。はい、いいですよ。そう伝えます」
 電話の相手は和真の妻、咲江らしい。(何かあったのか?)和真は不安を覚えた。それでも、客にモーニングセットを供するのに集中するしかなかった。手は止められない。
「何だって?」
「子どもさんの具合が悪いんで、お店に出られないそうです」
「そう…分かった」
 和真は、カウンターに入ると、次のオーダーの用意にかかる。この時間はロボットになって切り抜けるしかない。オープントースターにパン二切れを放り込むと、サイフォンコーヒーにかかる。ゆっくりでは間に合わない。
五人だてのフラスコに湯を入れてバーナーに点火する。ロートに布フィルターを仕込み、ミルで粉砕したコーヒー豆を放り込む。フラスコの口に突き刺すと、ポコポコと湯が躍り、ロートに湯がのぼる。湯がのぼり切るとすかさず竹ベラで撹拌する。この連続した作業は集中力がいる。油断をして、吹きこぼれたりフラスコを破裂させたことがある。
「マスター、新しいお客さん。注文訊くね」
 洋子はシルバー盆にお冷のコップとおしぼりの人数分を既に載せている。しょっちゅうの手伝いで、スタッフ並みの対応だ。
「うん。済まんけど頼むわ」
「まかしといて」
 洋子は顔を輝かせてホールに回った。
 和真は内心ホッとした。これでこのピークタイムをしのげる。客への対応は洋子に任せて、カウンター内の仕事に集中出来るのだ。アイドルタイムまで頑張ればいい。
 (つづく)
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