ばあちゃん子は便利な救急隊員
5歳になる娘がだいぶしっかりしてきて、親のいうことが理解できるようになった。そこで最近、何かにつけて用事をさせることにした。
実は親の家に居候している関係で、食品やなにかが足りなくなると母屋を頼る。
「すみません、ミソ貸してください」
「お米が足りなくて」
これもしょっちゅうになると、やはり親子でも気まずくならざるを得ない。妻にとってはなおさらつらいらしい。
そこで娘の出番となる。娘は“おばあちゃん子”でもあるから、うってつけなのだ。
「ナッちゃん、お米もらってきてよ」
「ハ~イ!」
とっとこ駆けていく娘。すぐに帰ってくる手元には、ザルに入ったお米があるという具合だ。
しかし敵もさるもの。
「光熱費の今月分、まだはいってないって」
娘の口を通じたおばあちゃんの逆襲パンチ。
「悟られたか」とも思うが、一度知ってしまった便利さは捨てられない。ちいさな代行屋さんは、きょうも忙しい。
(神戸・1989年3月31日掲載)
5歳になる娘がだいぶしっかりしてきて、親のいうことが理解できるようになった。そこで最近、何かにつけて用事をさせることにした。
実は親の家に居候している関係で、食品やなにかが足りなくなると母屋を頼る。
「すみません、ミソ貸してください」
「お米が足りなくて」
これもしょっちゅうになると、やはり親子でも気まずくならざるを得ない。妻にとってはなおさらつらいらしい。
そこで娘の出番となる。娘は“おばあちゃん子”でもあるから、うってつけなのだ。
「ナッちゃん、お米もらってきてよ」
「ハ~イ!」
とっとこ駆けていく娘。すぐに帰ってくる手元には、ザルに入ったお米があるという具合だ。
しかし敵もさるもの。
「光熱費の今月分、まだはいってないって」
娘の口を通じたおばあちゃんの逆襲パンチ。
「悟られたか」とも思うが、一度知ってしまった便利さは捨てられない。ちいさな代行屋さんは、きょうも忙しい。
(神戸・1989年3月31日掲載)