こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

思い出の駄菓子

2015年05月03日 17時37分37秒 | 文芸
エースコイン。古銭の形をしたクッキーというかビスケットなのか判断はつかないが、子供のころ、この駄菓子は特別だった。小判や古い貨幣がそのままプレス(?)してあった。しかも食べ始めると、もうやめられない味だった。といっても、おやつにめったにでてこない。ふかしたサツマイモがおやつの主役だった時代に、たぶんぜーたくなものだったんだろうな。最近、スーパーで見かけてものすごく懐かしくて思わず買ってしまった。でも、子供のころに食べたあの味わいは復活しなかった。きっと、わたしが大人になってしまったからなんだと、ちょっぴりさびしくなったものだ。でも、ポテトチップより美味しかったのはいうまでもない。
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詩・心がわり

2015年05月03日 15時18分47秒 | 文芸
心がわり

片づけようか?

いきなり
そんな気に

介護保険の
案内が
気持ちを
高揚させた

それまで
知らんぷり
終活のふた文字

急に
あちこちで
耳にする
目にする
無視できやしない

ぐるり
見回すと
要らぬ
ものばかり

確かに
余生を数えれば
手遅れは
近い

ゴミ屋敷で
ゴール!

う~ん?
やはり
いやだろうな
家族は……?

片づけよう

それも
いますぐ

手伝って
くれるかな?
誰か

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気持ちいい草の座布団

2015年05月03日 08時12分24秒 | 文芸
気持ちいい草の座布団

 4月から幼稚園まで長男を送りはじめたおかげで、わたしも片道40分近くかけ、一日一往復していままでの運動不足を解消している。
 田舎だから田んぼに挟まれた舗装道路が通学路になっているが、わたしはあぜ道をよく利用する。レンゲやタンポポが咲いているあぜを踏みしめて歩くのは、とても気分がいい。田舎で生まれ育ったわたしには懐かしい感触でもある。
「不思議やなあ。あぜを歩くほうが歩きやすいわ」
 いつしかわたしに倣ってあぜを歩くようになった長男が、ある日突然大きな声で言った。スゴイ発見をしたかのように、思い切り目を輝かせた。その長男の顔は何とも印象的だった。
 最初は細いあぜ道の雑草に足を取られたりで不安定このうえなかった長男も、いまでは平気であぜの上を跳んだり駆けたりで、楽しんでいる。
「アスファールトの道は、車のためにつくられた道やからなあ、人間が歩きにくいのは当たり前や」
 したり顔で説明してやったが、わたし自信が何年ぶりかで土や草のうえを歩いてみて気持ちいいのに、内心驚いていた。全然違うのだ。
 まずアスファールトの道に較べてあまり疲れない。靴ずれがしない、靴の傷みが少ない。子供時代にはおなじみの現象だったものを改めての発見……つまりは、わたしも車社会に毒されているひとりであることを証明しているわけである。
「気持ちいいなあ。草の座布団やねえ」
 道草を食って親子であぜに座りこんだ時、長男がはしゃぎながら言った。明るい笑顔だった。そう言えばあぜ道を平気に渡れるようになったころから、よく笑うようになった気がする。
「おとうさんの子どものころは、もっと分厚いレンゲの座布団でなあ、よく寝転んだもんや」
「ふーん」
 わたしの思い出話を一生懸命聞いてくれる長男を見ていると、歩いての通園を実行したのは正解だったようだ。
 親子のスキンシップもそうだが、それ以上に自然とのスキンシップを体験できるのが最高である。
 これからも夏、秋、冬、春と、それぞれの季節に順じた発見に、長男がどんな反応を見せてくれるのか、楽しみは尽きない。
(朝日・1990年5月掲載)
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絵手紙

2015年05月03日 02時41分42秒 | 絵手紙
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絵本に込めた彼女への思い

2015年05月03日 00時02分23秒 | 文芸
絵本にこめた彼女への思い

30数年前の夏。急かを利用して東京へ初めてひとり旅をし、念願だった『ちひろ美術館』も訪れることができた。
当時交際していた保育士の彼女に勧められたのをきっかけに、いわさきちひろの絵本のファンになった。
思いが叶った美術館の訪問だった。展示作品に心を癒された。思い立って売店で彼女のためにポストカードを買い求めた。その思いが覚めぬまま東京の書店で『しろいうさぎとくろいうさぎ』という絵本を買った。いわさきちひろの絵本ではなかったが、彼女へ思いを届けるには他に考えられなかった。
「おかしい。これが東京旅行のお土産なの?」
 受け取った彼女は大笑い。アテが外れた思いだった。
 けれど次に会った時、彼女は笑顔で言ってくれた。
「ありがとう。最高のお土産だった」
 絵本の中の黒いうさぎの「いつまでも君と一緒にいられますように」という願いの言葉を通じた、わたしからのプロポーズだと気付いてくれたのだ。
 その後結婚して三十一年。彼女はしろいうさぎと同じに、いまもわたしの傍にいてくれる。
(産経・2013年9月掲載)
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