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トランプ氏成功の秘密は「朝型」にあった!?

2016年12月12日 10時02分15秒 | 起業
■トランプ、シュルツ、田中角栄……あの成功者たちは、「朝一番」で何をしているのか?
古今東西見回してみると、朝型の成功者はたくさんいる。古くは歴史上の偉人から、近代の政治家、そして文化人、経営者。成功者に関する幅広い知識を持つ経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥氏に、代表的な「朝型成功者」のエピソードについて教えていただいた。
■村上春樹や村田沙耶香……早朝に執筆する作家
時間はみんなに平等に与えられているが、その使い方は人さまざまだ。そして限られた時間をどう活かすかで成果の度合いや生きがいはずいぶんと変わってくることになる。
「週90時間働け」と言ったスティーブ・ジョブズや、「起業家は週100時間働け」と言い切るイーロン・マスクあたりになると、朝も昼も夜もなければ、休みも関係ない。
ジョブズやマスクは滅茶苦茶働くことで世界を変えたが、朝の時間をとことん活用することで成果を上げた成功者もとても多い。
思いがけないボブ・ディランの受賞によって話題になったノーベル文学賞で毎年、受賞が期待される作家の村上春樹氏は典型的な朝型だ。
作家というとかつては夜型のイメージが強かったが、村上氏は朝早く起きて、4時間から5時間は小説を書き、それが終わると走りに出るという生活を続けている。
村上氏は33歳で専業作家の道を歩み始めているが、同時に走ることも始めている。きっかけは体重を落とすことだったというが、朝早く起きて小説を書き、そして走るという生活こそが村上氏のすぐれた作品を生む原動力となっている。
同じく朝型の執筆スタイルを続けているのが『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した作家の村田沙耶香氏だ。
芥川賞作家がコンビニでのアルバイトを続けていることに驚いた人も多かったが、村田氏は朝2時に起きて小説を書き、週に何回か午前八8時から午後1時までコンビニでアルバイトをして、再び小説を書くという生活を続けていた。
村田氏は村上氏のように走ることはしないが、コンビニのアルバイトで人間を見つめ、朝と違って午後はパソコンではなく、あえてノートなどに自分の手で文章を書くという独特のやり方を続けている。
■田中角栄の即断即決も早起きから始まっていた
話題の人というと、アメリカの新大統領に選出されたドナルド・トランプと日本の元首相・田中角栄氏もはずせない。
トランプが大統領に相応しいかどうかはともかく、不動産経営者としての経歴は輝かしいものだ。トランプにこれほどの成功をもたらした要因の一つが早朝の読書である。
見かけによらず酒も飲まず、煙草も吸わないトランプは早起きだ。たいてい朝5時頃に起きて、3時間くらいをかけて地方、国内、国際、業種を問わずあらゆる種類の新聞や雑誌、本などを丹念に読むことを長年の習慣にしている。
性格は外交的だが、だからこそ1日の出来事をゆっくり振り返り、これからやるべきことを整理する内省の時間が欠かせない。「目隠しをしてビジネスはできない。視野を広める努力を続けなければならない」と考えるトランプにとって早朝の時間ほど貴重なものはない。
かつて「今太閤」として圧倒的な人気を誇り、今また大きな注目を集めている元首相の田中角栄氏も早起きで知られていた。
たいてい朝5時に起きて、わかめの味噌汁、煮物、漬物の朝食をとり、椅子に座って新聞にさっと目を通すのが1日の始まりだが、それから先はたしかに「コンピュータ付きブルドーザー」だった。
田中氏の自宅には新潟県などからたくさんの陳情団が訪れた。陳情に訪れた人の話を聞きながら、机の上に置いた紙に赤鉛筆で図面などを書いて、即座に「それはできる」とか、「それは難しいなあ」と答えた。
「それは3年先、これは5年先」と期日を示し、言葉を濁すことはなかったし、返事だけでやらなかったこともない。
ざっくばらんな性格と、即断即決こそが田中氏を首相の座へと押し上げることになった。
■早朝から「人より10倍」働いていた伝説の経営者
一流の経営者の中にも朝型の人は多い。スターバックスの創業者ハワード・シュルツは朝四時半に起きて、まず妻のためにコーヒー(当然エスプレッソ?)を淹れ、朝6時には出社して、夜7時には自宅に帰るというし、アップルのCEОティム・クックもやはり朝4時半に起きて、部下にメールを送ったのち、夕方五時にはジムに行って身体を鍛えることが日課だという。
一方、日本の経営者はどうかというと石川島重工業(現IHI)や東芝の社長を務め、経団連会長と臨調会長も務めた土光敏夫氏も早起きだった。
かつては「重役出勤」という言い方があったように社長や役員のなかには遅く出勤する人が少なくなかった時代、早起きの土光氏は社長時代、8時前には出社している。
そして社長室を開けてどんどん仕事をしていると、他の役員も重役出勤をするわけにはいかなくなる。
土光氏は決してみんなに「早く来い」と言うことはなかったが、「社員は3倍働け、重役は10倍働け」と言う以上、トップが最も働かなければならないというのが土光氏の信条だった。
キヤノン社長を務め、日本経団連会長も務めた御手洗冨士夫氏も朝型経営者の典型だった。キヤノンには創業の頃から続く「朝会」がある。
朝の7時50分に始まり、メンバーは取締役以上。正式な会議ではなく、議題も特定せず、それぞれの担当部署で起こった出来事や気になったニュースなど何でも話題にするが、御手洗氏は社長時代、この朝会をとても重視していた。
社内コミュニケーションの円滑化にはコミュニケーションの質と量が欠かせない。それらは正式な会議だけでなく、日常のざっくばらんな意見交換を通して築き上げられる。
当時、キヤノンの決裁スピードは速いと言われたが、それを可能にしたのは朝会の自由な討論だった。
朝会が8時前には始まるだけに、御手洗氏も午前7時過ぎには出社、朝会までに決裁を終え、各責任者との電話連絡などを行なっていた。
「普段のコミュニケーションがスピード経営につながる」が御手洗氏の持論だが、それを可能にするものの一つが早朝出社であり、朝会だった。
現代を代表する経営者の一人、新浪剛史氏(ローソン社長を経てサントリーホールディングス社長)も朝型経営者だ。
ローソン時代、会社に出社するのは朝9時だったが、出社前にジムなどに行ってトレーニングをすることも多かったし、最近では若手の経営者たちとホテルで朝食をとりながらの「朝会」を行っているという。
忙しい新浪氏は夜も仕事や会合などがたくさん入っているため、自由に使える時間は朝に限られる。だからこそ、優先的に時間を確保してジムで身体を鍛え、朝会などでみんなと情報交換を行っている。
■朝型成功者に共通する八つの習慣とは?
こう見てくると同じ「朝型成功者」でも朝の時間の使い方はさまざまだということが分かる。朝型成功者の朝の習慣として多いのは、(1)読書する、(2)情報収集する、(3)メールを送る、(4)健康的な朝食をとる、(5)運動する、(6)自問自答する、(7)一日の計画を立てる、(8)瞑想する――などだが、どれを選び、どれを重視するかはまさにその人次第だ。
作家と政治家、経営者と立場が違えば違うのも当然だが、ただ一つ共通しているのは「朝の時間」をとても大切に思い、「朝の時間」を活かし続けていることだ。
時間はみんなに同じように与えられているし、朝の時間を活かす効用だってみんなが知っているが、それを「習慣」として何年も続けられるからこそ彼らは「成功者」となることができた。
「自分は夜型だと思っていたが、朝型に変えたらとても良かった」と言う人もいる。この記事を読んで「朝型っていいな」と思ったら、「そのうち」ではなく、「明日から」朝早く起きてみることだ。
桑原晃弥(TeruyaKuwabara)経済・経営ジャーナリスト
1956年、広島県生まれ。慶應義塾大学卒業。業界紙記者を経てフリージャーナリストとして独立。トヨタからアップル、グーグルまで、業界を問わず幅広い取材経験を持ち、企業風土や働き方、人材育成から投資まで、鋭い論旨を展開することで定評がある。著書に、『ウォーレン・バフェット巨富を生み出す7つの法則』(朝日新聞出版)、『「ものづくりの現場」の名語録』(PHP文庫)などがある。(『The21online』2016年12月号より)