「貧富の差の拡大」と「慈善団体への巨額寄付」
2016年版ビリオネアランキングの「トップ20」の顔ぶれは、巨富が巨富を生み続けた結果、顔ぶれが“常連化”し、それと並行して「高齢化」も進んできた。
最高齢はロレアルのリリアンヌ・ベタンクール93歳。「色ボケ」してケタはずれの金を男に貢いで裁判となり、「認知症」と診断されて、今は家族の保護下に置かれている。以下、「香港財閥の代名詞」李嘉誠(リ・カシン)87歳、「投資の神様」ウォーレン・バフェット85歳、石油財閥のチャールズ・コーク80歳の3人が80代である。
人数が一番多いのが70代。人気ブランド「ZARA」の創業者アマンシオ・オルテガ79歳、「メキシコの通信王」カルロス・スリムと「ラテンアメリカの大富豪」ホルヘ・レマンが76歳、デイビッド・コーク75歳、ニューヨーク前市長も務めたマイケル・ブルームバーグ74歳、スーパー「ウォルマート」を世界展開する「ビリオネア一族」の長老格ロブソン・ウォルトン71歳と続く。
60代が、ブランド帝国「LVMH」を率いる「カシミヤを着た狼」ベルナール・アルノー67歳、ジム・ウォルトン同じく67歳、アリス・ウォルトン66歳。不動産王手「万達集団」創業者の王健林(ワン・ジェンリン)61歳、ビル・ゲイツ60歳。50代はジェフ・ベゾス52歳1人だけだ。
高齢者が居並ぶ中で、ひときわ目を引いた若手は「フェイスブック」の創業者マーク・ザッカーバーグ31歳。順位の推移だが、2014年は285億ドルで21位だったが、上げ潮に乗って2015年には334億ドルで16位になり、今年は446億ドルで一気に6位へと大躍進を遂げた。自社株が年間35%も上昇したからだ。
ザッカーバーグに次いで若いのが、「グーグル」の共同創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの42歳コンビで、この2人も大躍進組である。
ザッカーバーグは、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットの「ビリオネア哲学」に倣ったようで、450億ドルを慈善団体に寄付することを表明した。「アラビアのバフェット」と呼ばれているアラブ一の超絶大富豪アル=ワリード王子も、バフェットの影響を受け、2015年7月に「個人資産320億ドルを全額、慈善団体に寄付する」と表明した。王子は61歳で、2016年の資産額は173億ドル、41位である。
44位のパウエル・ジョブズ(アップル創業者スティーブ・ジョブズの未亡人)も慈善家として有名だ。ビリオネアランキングの上位を定位置とする世界長者たちの間に、こうした傾向が増えてきたのは、富の集中が進んで「貧富の差」が拡大してきた構造変化があるとの見方もできる。
IT系長者は悲喜こもごも
今年も、不世出の大富豪ともいうべきビル・ゲイツに代表されるIT系創業者の強さが目立つが、すべてのIT系企業が上昇気流に乗っているわけではない。ツイッターは、業績低迷に陥っている。株価の上場来の高値は53ドルだが、2月初旬の4半期決算発表時には13.75ドルという安値をつけ、共同創業者は資産を大きく減らした。たとえばCEOに復帰したジャック・ドーシーは、ビリオネアランキングの下限資産額10億ドルにかろうじてとどまった。
「ベスト10の常連」であるオラクルの創業者ラリー・エリソンも、自社株下落のあおりを食った。2015年には543億ドルだった資産額が、2016年は436億ドル。それでも順位を2つ落としただけの7位である。
いま話題の企業では、シャープ買収に動いた台湾のIT企業ホンハイ(鴻海精密工業)の創業者郭台銘(テリー・ゴウ)は、昨年より5億ドル減の56億ドルで台湾2位、世界228位である。一方、韓国では、“液晶テレビのシャープ”を追い詰めたサムスングループの李健熙(リ・ゴンヒ)会長が韓国一の大富豪で、資産額は2015年より15億ドル減の96億ドル、世界順位は10位下げて112位となっている。
東芝の粉飾決算騒動やシャープの身売り話は、世界をリードしてきた日本のエレクトロニクス業界の落日を象徴している。そんな日本を尻目に、「IT立国路線」をひた走っているのがインドだ。インドの大富豪トップは、3大財閥の「リライアンスインダストリー」の2代目ムシュケ・アンバニ(58)で、前年より17億ドル減の193億ドルで36位。すぐ上の35位に、PC直販の「DELL」の創業者マイケル・デルがおり、実力のほどがわかるのではなかろうか。デルは、わずか1000ドルの資金で創業した。
デルを彷彿させるような日本人起業者が出現して、「フォーブスのビリオネアランキング」の上位に彗星のごとく躍り出る日は、いつになるのか。
2016年版ビリオネアランキングの「トップ20」の顔ぶれは、巨富が巨富を生み続けた結果、顔ぶれが“常連化”し、それと並行して「高齢化」も進んできた。
最高齢はロレアルのリリアンヌ・ベタンクール93歳。「色ボケ」してケタはずれの金を男に貢いで裁判となり、「認知症」と診断されて、今は家族の保護下に置かれている。以下、「香港財閥の代名詞」李嘉誠(リ・カシン)87歳、「投資の神様」ウォーレン・バフェット85歳、石油財閥のチャールズ・コーク80歳の3人が80代である。
人数が一番多いのが70代。人気ブランド「ZARA」の創業者アマンシオ・オルテガ79歳、「メキシコの通信王」カルロス・スリムと「ラテンアメリカの大富豪」ホルヘ・レマンが76歳、デイビッド・コーク75歳、ニューヨーク前市長も務めたマイケル・ブルームバーグ74歳、スーパー「ウォルマート」を世界展開する「ビリオネア一族」の長老格ロブソン・ウォルトン71歳と続く。
60代が、ブランド帝国「LVMH」を率いる「カシミヤを着た狼」ベルナール・アルノー67歳、ジム・ウォルトン同じく67歳、アリス・ウォルトン66歳。不動産王手「万達集団」創業者の王健林(ワン・ジェンリン)61歳、ビル・ゲイツ60歳。50代はジェフ・ベゾス52歳1人だけだ。
高齢者が居並ぶ中で、ひときわ目を引いた若手は「フェイスブック」の創業者マーク・ザッカーバーグ31歳。順位の推移だが、2014年は285億ドルで21位だったが、上げ潮に乗って2015年には334億ドルで16位になり、今年は446億ドルで一気に6位へと大躍進を遂げた。自社株が年間35%も上昇したからだ。
ザッカーバーグに次いで若いのが、「グーグル」の共同創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの42歳コンビで、この2人も大躍進組である。
ザッカーバーグは、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットの「ビリオネア哲学」に倣ったようで、450億ドルを慈善団体に寄付することを表明した。「アラビアのバフェット」と呼ばれているアラブ一の超絶大富豪アル=ワリード王子も、バフェットの影響を受け、2015年7月に「個人資産320億ドルを全額、慈善団体に寄付する」と表明した。王子は61歳で、2016年の資産額は173億ドル、41位である。
44位のパウエル・ジョブズ(アップル創業者スティーブ・ジョブズの未亡人)も慈善家として有名だ。ビリオネアランキングの上位を定位置とする世界長者たちの間に、こうした傾向が増えてきたのは、富の集中が進んで「貧富の差」が拡大してきた構造変化があるとの見方もできる。
IT系長者は悲喜こもごも
今年も、不世出の大富豪ともいうべきビル・ゲイツに代表されるIT系創業者の強さが目立つが、すべてのIT系企業が上昇気流に乗っているわけではない。ツイッターは、業績低迷に陥っている。株価の上場来の高値は53ドルだが、2月初旬の4半期決算発表時には13.75ドルという安値をつけ、共同創業者は資産を大きく減らした。たとえばCEOに復帰したジャック・ドーシーは、ビリオネアランキングの下限資産額10億ドルにかろうじてとどまった。
「ベスト10の常連」であるオラクルの創業者ラリー・エリソンも、自社株下落のあおりを食った。2015年には543億ドルだった資産額が、2016年は436億ドル。それでも順位を2つ落としただけの7位である。
いま話題の企業では、シャープ買収に動いた台湾のIT企業ホンハイ(鴻海精密工業)の創業者郭台銘(テリー・ゴウ)は、昨年より5億ドル減の56億ドルで台湾2位、世界228位である。一方、韓国では、“液晶テレビのシャープ”を追い詰めたサムスングループの李健熙(リ・ゴンヒ)会長が韓国一の大富豪で、資産額は2015年より15億ドル減の96億ドル、世界順位は10位下げて112位となっている。
東芝の粉飾決算騒動やシャープの身売り話は、世界をリードしてきた日本のエレクトロニクス業界の落日を象徴している。そんな日本を尻目に、「IT立国路線」をひた走っているのがインドだ。インドの大富豪トップは、3大財閥の「リライアンスインダストリー」の2代目ムシュケ・アンバニ(58)で、前年より17億ドル減の193億ドルで36位。すぐ上の35位に、PC直販の「DELL」の創業者マイケル・デルがおり、実力のほどがわかるのではなかろうか。デルは、わずか1000ドルの資金で創業した。
デルを彷彿させるような日本人起業者が出現して、「フォーブスのビリオネアランキング」の上位に彗星のごとく躍り出る日は、いつになるのか。