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デフォルト危機に国民の怒り高まる

2011年07月30日 09時49分26秒 | 経済
急激な円高の原因


 8月2日の期限が迫る米債務上限引き上げ問題で2党間の交渉は難航、デフォルト(債務不履行)回避が実現できるのかどうか危なくなってきた。妥協を許さずデフォルトにもっていき、オバマ再選を阻もうと公然と話す共和党支持者もいる一方、一般市民は連邦議会議員の事務所前で集会を開き回避を訴えている。ネット上では「F*** YOU WASHINGTON」というツイートが広がるなど、ワシントンの成り行きを見守る市民の間で怒り・焦燥感が高まっている。

 民主・共和両党の争いに慣れている米市民も、今回の財政危機は他人事ではすまされない。特に25日の演説の中で、オバマ大統領の「もし交渉決裂でデフォルトに陥れば、政府はすべての支払いをする十分な金がなくなる。その支払いの中には毎月の社会保障給付金、退役軍人給付金、何千もの企業との契約も含まれる」という言葉は、社会保障にたよる高齢者の危機感を増幅させた。

 障害者を含めた社会保障受給者数は、政府データによると、2010年末で5400万人をこえる。その内高齢者は約4400万人。4分の3の受給者がこの社会保障のみにたよって生活している。平均受給額は月に約1000ドル。もし給付が止まれば、預金のない多くはたちまち生活に困る。

 同演説の中で、オバマ大統領はデフォルト回避に向けて「地元の連邦議会議員に働きかけよう」と呼びかけた。それに答えるように、26日リベラル系団体ムーブ・オンが呼びかけ、全米800以上の共和党議員の事務所前で集会が開かれた。また、連邦議会の交換台は解決を求める市民からの電話でパンク状態となった。

 一方、ニューヨーク在住のブロッガーのジェフ・ジャービスさんはツイーターで「F***you Washington(米政府のろくでなし)」とツイートした。「我々の国で、我々の経済で、我々の金だ。ふざけんのもい加減にしろ」「ツイッターで合唱しよう。くそったれ、米政府」。

 ツイッターでは、いわゆる「Fワード」と呼ばれる4文字はふさわしくないとされている。しかし、ジャービスさんはあえてこの「Fワード」を使いリツイートするように呼びかけた。短時間で、ジャービスさんのメッセージはツイッターで飛び交い、7万以上のツイートに「F*** YOU WASHINGTON」の文句が入れられたという。

 最近のピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、全体として68%の国民が2党が妥協しデフォルト回避を望んでいるという。しかし共和党内では妥協を望むのは53%。その内、草の根運動「ティーパーティー(茶会)」派は42%、共和党他派の66%と大きな隔たりがある。

 この調査結果が示すように、一部保守派は妥協は許さない、デフォルトもかまわないと考えているようである。それどころか、オバマ氏を引きずり出すいい機会と考えているようだ。それを示唆したのは実業家で「不動産王」と呼ばれるドナルド・トランプ氏。オバマ大統領の出生証明書偽物説を出し、オバマ氏を激しく批判、茶会運動から支持を集めてきた。2012年の大統領選出馬をほのめかしていたが、5月に不出馬を表明したいきさつがある。

 25日、トランプ氏はフォックス・ニュースのインタビューで、「共和党は妥協に応じないで、デフォルトになるようにすればいい。そうすれば、共和党は欲しかったものが手に入る。オバマは再選されないし、オバマの医療保険制度もなくなる」と語った。「国民は、今回の責任はより共和党にあると思っているようだ」というニュースキャスターの指摘に、次のように話している。「最初にデフォルトを出した大統領として、歴史に残るのはオバマだ。共和党の議員の名前など誰も覚えていないだろう」。

 トランプ氏は「デフォルトに陥ることで、米国の格付けがトリプルAから下がろうが、社会保障費で暮らしている高齢者の生活を脅かそうが、貧しい者が医療を受けられなくてもかまわない、そんなこと自分の知ったことか」と言っている風に聞こえる。オバマ再選を阻むためには、国民の生活を脅かすことなど何でもないと思っているようだ。

 妥協を許さない態度には、よく「my way or the highway」という表現が使われる。「自分はいつも正しい。同意しない者は去るべき」という態度だ。25日ウイリアム・デーリー大統領首席補佐官はこの表現をもじり、共和党員は債務上限での交渉に至って「their way or the highway」の態度のようだと指摘している。これはベイナー下院議長が2度も削減交渉の席を立ったことも含んでいる。

 しかし市民の側からすれば、財政危機に関してはこの「my way or the highway」の態度は、2党双方に言えそうである。25日のオバマ大統領・ベイナー下院議長の演説では、相手に責任を押し付けているように感じられた。双方とも、相手が歩み寄ろうとしないのが問題と主張している。

 米メデイアは、ホワイトハウスは最悪のシナリオを想定して、デフォルトに陥った場合、今プールされている資金から何を優先的に支払うのかを考慮しているという。社会保障費、高齢者対象の医療保険、公務員の給料、軍人の給料、FBIなどなど。

 もしデフォルトになれば、国民がそのつけを払うのか。わずかな年金だけで暮らしている高齢者、身体障害者、退役軍人が払うのか。

 大統領は25日の演説で「我々は、国民をワシントンでの政治戦の巻き添え被害者にさせることはできない」と話した。大統領の言葉を受ければ、もし失敗すれば、政治ショーでの無能な立て役者たちにつけは行くべきだろう。事態回避に失敗した大統領、ベイナー下院議長、すべての与野党議員たちに。

 オバマ大統領が「大統領の給料返上。すべての連邦・州議員も後にならってほしい」と言わなければ国民は納得しないだろう。
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日本人の人口が初減少、65歳以上23% 10年国勢調査

2011年07月24日 09時13分30秒 | ニュース
 総務省は29日、2010年国勢調査の抽出速報集計結果を公表した。65歳以上の高齢者人口の割合は23.1%で、15歳未満の子ども人口の割合は13.2%。それぞれ前回05年に続いて世界最高と世界最低を更新し、日本の少子高齢化が鮮明となった。一人暮らし世帯の急増により全世帯に占める割合は初めて3割を超えた。労働力人口は5年で300万人減少。現役世代頼みの社会保障制度の改革が急務になっている。




 「改革を進めないと、10年代後半には財政破綻してしまう」「こんな経済状況で増税などできない」。29日、民主党調査会は堂々巡りとなった。少子高齢化に対応する社会保障制度の改革は、1989年に合計特殊出生率が丙午(ひのえうま)の66年水準を下回った「1.57ショック」以来の課題。だが、20年余り、政府は景気や選挙を理由に、年金・医療の給付削減、増税を伴う答えを先送りしてきた。

 10年の国勢調査によれば、総人口から外国人を除いた日本人の人口は前回調査より3万8千人少ない1億2569万2千人と統計のある75年以降で初めて減少。労働力人口は6万人と前回調査比300万人減。茨城県の人口(296万人)に匹敵する規模で減少した。




 高度成長初期の55年、日本の高齢者は500万人弱で、現役世代(15~64歳)11.5人で1人を支えればよかった。半世紀が過ぎた今、現役世代は2.8人で1人の高齢者を支えねばならない。現役世代に過度に依存する現行制度を維持するのは限界を迎えている。

 15年には団塊世代が65歳に達し、世代間の不均衡はさらに広がる。11年度の社会保障費は国内総生産(GDP)比22%の108兆円に、25年度には同25%の151兆円に拡大する見込みだ。

 今回調査では一人暮らし世帯が「夫婦と子ども」を初めて上回ったのも特徴。65歳以上の男性の10人に1人、女性の5人に1人が一人暮らしといい、介護や孤立といった問題も広がっている。社会保障の負担と給付の抜本改革が待ったなしの現実から目をそらすことはできない。

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