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スタートアップにもっと機会を、宮坂副都知事が意欲-孫社長から薫陶

2022年05月23日 07時10分33秒 | 起業

「若い会社にこそ実績を積んで大きくなってもらい、どんどん海外で勝負してほしい」ー。東京都の宮坂学副知事は、東京からもっと多くのスタートアップを生み出そうとしている。前職のヤフー時代にグローバルで成長企業に投資するソフトバンクグループの孫正義社長の薫陶を受けており、都から世界を目指す起業家を支援する取り組みに本腰を入れている。

  宮坂氏は18日のブルームバーグとのインタビューで、日本で起業家が生まれやすい環境をつくるために都を含む行政が「もっと意志を持って若い会社にチャンスをどんどんあげる」ことが必要だと指摘。「行政は調達の分野でもっとやれることがある」と述べ、公共調達でスタートアップの製品を積極的に導入していく考えを示した。

  2019年に副知事に就任した宮坂氏は元ヤフー社長で、都庁のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を主導している。都の事業で使用するアプリなどデジタル分野では、スタートアップでも可能な仕事は多いと言い、都が新しい技術を率先して取り入れる「アーリーアダプター」の役割を担い、企業の成長に結び付ける狙いだ。

  都ではスタートアップの製品をいくつかの施設に導入しており、今年度はVR(バーチャルリアリティー)学習コンテンツなど3社の製品を選定した。宮坂氏は「都は、病院や学校、美術館、スポーツ施設といった現場をたくさん持っている」と述べ、スタートアップの製品を導入できる余地は大きいとみている。

  

ユニコーン企業の国際比較

2021年3月1日現在

<iframe src="https://www.bloomberg.com/toaster/v2/charts/92eff7f53cd44e499ba60195f5208df1.html?brand=cojp&webTheme=default&web=true&hideTitles=true" frameborder="0" scrolling="no" data-toaster-id="387428569"></iframe>

出所:内閣官房

 

  内閣官房の資料によると、ユニコーン企業(企業価値10億ドル超、約1270億円超の未公開企業)は米国が274社で、時価総額の合計は8900億ドル(約114兆円)を超える。続く中国が123社、日本はわずか4社で時価総額の合計も52億ドル(約6635億円)にとどまっている。

  日本の現状について宮坂氏は、企業の廃業率も低く「新陳代謝が止まってしまった」と分析。東京が起業家が集い、新たなビジネスが生まれる場所になるには、ニューヨークやロンドン、シンガポールなど多くの選択肢の中で「なぜ東京を選ぶのか」を提示する必要があるという。変化を促す第一歩として、「都が持っている設備や現場にスタートアップの人たちがいることを普通にしたい」と語った。

  スタートアップを巡っては、岸田文雄政権が成長戦略の柱と位置付け、支援強化を打ち出している。4月の「新しい資本主義実現会議」で岸田首相は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの長期運用資金や個人金融資産がスタートアップなどに循環する流れを作ると表明した。

  こうした政府の動きに関して宮坂氏は「税制などもいろいろ考えてはくれていると思うが、起業家教育が大事だ」としたうえで、中学や高校時代に起業家の話を聞く機会があれば「私にもできると選択肢が増える」と語った。

  宮坂氏は、設立2年目のヤフーに入社し12年に社長に抜擢された。同社では当時遅れていたスマートフォン事業の強化などに尽力。13年からはソフトバンク(現ソフトバンクグループ)の取締役も務めた。孫社長については「新しいモノを創りたいというパッションのスタミナがすさまじい」と述べ、同氏から学んだことは多いと言う。副知事就任後は「コンタクトしていない」というが、「一番影響を受けた人の中の一人」だとした。

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旧世代とは全く違う!「令和の金持ち」の働き方・稼ぎ方

2022年02月27日 06時58分48秒 | 起業

旧世代は「忙しさ」を自慢するが、新世代は「ヒマ」を自慢する

旧世代の富裕層は、自分がどれだけ多忙であるかを周囲に自慢する傾向があります。たとえば「昨日は徹夜した」「あちこちへ出張した」「こんなに打ち合わせが多かった」などです。

 

一方、新世代の富裕層は「1日これだけしか働いていない」「寝てても稼げている」「打ち合わせはZoomで十数分だけ」など、労働時間の短さを自慢します。

これは良い悪いではなく、世代間による労働観の違いなのかもしれません。

旧世代は、人一倍努力して成功した世代ゆえに「労働は美徳」という価値観があります。一方、新世代はがむしゃらに働くことを良しとせず(もちろん必要な時はやる)、むしろいかに効率的に稼ぐかを意識しています。

ただしこれは「怠ける」とは根本的に異なり、見た目はのんびりでも、彼らの頭脳はフル回転していることがほとんど。

では何を考えているかというと「どうすればこのビジネスを仕組み化できるか」についてです。

 

新・旧世代でビジネモデルも全く違う

人材紹介や不動産販売などの「狩猟型ビジネス」は、1回あたりの売上は大きいものの、常に新規の顧客を開拓し続けなければならないという宿命を背負っています。

 

人材紹介は、転職者の年収の30%くらいの紹介手数料がもらえるので、仮に年収1000万円の人材の転職を成功させれば300万円の報酬がもらえます。

不動産販売(仲介)も同様で、5000万円のマンションを仕入れて売れば、買い手から3%+売り手から3%の仲介手数料(※)、つまり300万円の報酬が得られます。人材紹介は設備投資も資金も不要だし、不動産販売も仲介ならほぼ資金ゼロでできます。

※上限は「物件価格×3%+6万円+消費税」となります。

しかし考えればわかるとおり、取引が1回1回で完結するので、すぐに次の顧客を探さなければならず、それが半永久的に続きます。

そのため、いわゆる「夜討ち朝駆け」といった体育会的になりがちです。さらに、景気に左右されやすいという特徴も持っていて、不景気で真っ先に落ち込むのはこうした業態です。

一方、仕組み化された「耕作型ビジネス」は、1回あたりの売上は小さくても、月単位あるいは年単位で継続的にお金が落ちるモデルです。

典型例は、電力会社やサーバーホスティング会社で、契約1件あたりの売上は月に5000~1万円くらいですが、膨大な数を集めることで安定化します。

また、このタイプは景気に左右されにくいものが多い。不況だからといって電気を使わないとか、ホームページを閉じるということはあまりないでしょう(むしろホームページをより強化するかもしれない)。

たとえば友人の新世代の富裕層は、有料メルマガ・オンラインサロン・YouTubeで稼いでいますが、これらは誰でもでき、初期投資はほとんどかかりません。メルマガは購読者数、サロンは入会者数が増え、YouTubeは再生回数・時間が延びれば収入も上がります。

そして彼は、いつ仕事しているのかわからないくらい旅行をしているにもかかわらず、年収は「億超え」です。運営はスタッフに任せているのですが、「すべてのコンテンツをタダで見ていい」という条件で、ボランティアでやってもらっているらしく、なかなか賢くやっています。

文:午堂 登紀雄(マネーガイド)

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サラリーマンは「生かさず殺さずの罠」から抜け出せ

2022年01月14日 06時35分03秒 | 起業

会社をやめて投資収益で悠々自適に暮らしたい。そのような目的から、投資に興味を持った人も少なくないだろう。「このまま会社勤めを続けてもストレスが多いし、先も見えている。夢がない。この低位安定の循環から抜け出したい」(ある40代の大企業サラリーマン)という声も聞こえてくる。

筆者は、「サラリーマン経験がない」という例外的な道を歩んでおり、現在は投資収益で生計を立てている。そのような特殊な立ち位置から見て、投資家、自営業、サラリーマンなど、どのような仕事を選ぶべきかについて述べていきたい。

サラリーマンの社会的な位置づけ

サラリーマンは良いのか、悪いのか。そのようなミクロな話題の前に、マクロの話をしてみたい。「日本経済」というゲームのプレイヤーになったつもりで俯瞰的に考えてみてほしい。

現代の日本社会を成立させるには、公務員だけでなく、財閥企業、金融機関、医師など、インテリ層といわれるオフィスワーカー、そして、工場や農場で働くブルーカラーが必要不可欠だ。従って、国民の役割は納税だけでなく、1人ひとりが社会の歯車としての役割を担い、社会全体を動かしていくことに他ならない。筆者もその歯車の1つだ。

そして、日本の教育システムは、国を回す人員を育成するために存在しているといえるだろう。日本の教育システムは18歳までに「エリート」と「非エリート」を選別する。エリートは知的労働に、非エリートはそれ以外に従事させるというわけだ。国の視点で見れば、この教育システムによる人材選別のおかげで適材適所が図れている。少し遠回りした話から始めたが、そのように見ると、社会とはよくできた仕組みだ。

建前上は、人々は自由な意志で好きなように生きられることになっているが、誰もこの日本の社会システムから抜け出すことはできない。あくまで、この枠の中で自由に泳ぐことが許されるに過ぎない。いわば箱庭ゲームのようなものだろう。その中で、「働かざる者、食うべからず」が日本の労働に対するポリシーであるならば、労働は義務というより黙示的な強制といった方が理解しやすい。

その中で、日本社会で多くの勤労者に与えられる待遇は、けっして十分なものではない点は重要だ。生活に不足はないが余裕もなく、自由に休むことは許されない。その点、農具がコンピューターに変わっただけで、「農奴」「百姓は生かさず殺さず」と言われた時代から、労働環境と報酬体系は大きく変わっていないように思う。

エリート層といえどもプレミアムエコノミーの域を出ない理由

「20代で生涯賃金に匹敵する額を稼いで、あとは働かない――」そのような道を選ぶ者ばかりでは国が成立しない。そのため、国民は生涯働き続ける前提で社会制度が設計されている。したがって、エリート層といえども休むことは許されない。日本の労働環境を管理者側の視点から見ると、このように説明することはできないだろうか。

エリート層には、平均的な国民よりも質の良い衣食住が与えられることは間違いないが、日本国内には、「高収入・高学歴のエリート層」にもアクセスできない品々が多数あることからは目を背けないほうが良い。たとえば、六本木ヒルズの居住者や、夜の銀座で豪快に遊ぶ人にエリートサラリーマンがいたという話は耳にしたことがない。

そう考えると、同窓会などの小さなコミュニティでは、大企業のエリート層はファーストクラスの人々のように見えるが、社会全体で見ると、実はプレミアムエコノミー程度の経済的自由しか与えられていないといえる。

では、誰が六本木ヒルズに住んでいて、夜の銀座で豪快に遊んでいるのか。ここから先は筆者の独断と偏見だが、日本の経済社会の全体像はおおよそ次のようになっている。社会の経済的階層を飛行機の座席に見立てて考えてみよう。

・プライベートジェット=裕福な政治家など。お金があるだけでなく、人や組織を動かせる特権階級

・ファーストクラス=地方の豪商、大地主、IPO長者、芸能人、有名人など。一般人の生涯賃金を超えるものを楽々と買える

・ビジネスクラス=FIREを達成した個人投資家。成金といわれる中小企業社長など。働かなくても生きられるが、「ファースト・クラス層」と比べると購買力は低く、「プレミアム・エコノミー層」よりも社会的評価が低い

・プレミアムエコノミー=士業など社会的な肩書きがあり、エリートと呼ばれ、タワーマンションなどに住む人。ただし、働き続ける必要があるので休めない

・エコノミークラス=平社員と呼ばれ、郊外の普通のマンションに住む人

ビジネスクラスの人々は、肩書きとしては無職や無名であることも多く、必ずしも世間から尊敬される人たちとはいえないが、部長や先生と呼ばれるエリート層の役職者より生活水準は良いという「逆転現象」が見られる。この事実は「士農工商」という徳川幕府による身分制度を思い出させる。士農工商は身分制度というよりは政府のプロパガンダに近いだろう。その中で、農民よりも、裕福な商人を低位の階層に置かれなければならなかったのはなぜか。

そうでなければ、賢い若者ほどアフェリエイターや博打打ちばかりを目指し、優秀な技術者がいなくなって国が成り立たないからだろう。そうならないためには、「儲からなくても国を回すために重要な仕事」は人々の憧れでなければならない。そう考えると、戦後日本において、士業やエリートサラリーマンへの憧れは誘導的に作られたものかもしれない。

優秀な学生でもビジネスクラスには乗れない

優秀な学生でも、敷かれたレールの上で高得点を出し続けるだけであれば、プレミアムエコノミーの頂点までしかたどり着かない。その理由は、日本の教育には「仮想通貨市場を制してユニコーン企業になれ」といった突然変異的な目標が内包されていないからだろう。日本の教育で100点を取り続けても、発明家や起業家になれるはずがない。

ビジネスクラス以上を目指すのならば、仮にアウトローと批判されても、日本の社会システムで定義された既定の路線から外れることが必要だ。「生かさず殺さずの罠」ともいえる低位安定の均衡を抜け出す最初のステップは、今の均衡を壊すことだ。

鶏口となるも牛後となるなかれ

それでは、「今の均衡を壊すこと」とはどのようなことだろうか。それは、時給や月給で働くことをやめて、歩合で仕事をすることだろう。筆者の調べでは、年収2,000万円以上を得るサラリーマンの大半は歩合で働く人だ。大企業で年収2,000万円をもらい続けるのは至難の業だが、自営業や歩合でそれ以上を手にするプレイヤーは数多く存在する。

大企業という「牛」の後(尻)となり、月給で働いていると、その会社の利益が数百億円あろうとも、その分け前は得られない。その代わり「最低限これだけ払っておけば辞めないだろう」という水準の給与が支払われることになる。そうではなく、自営業や投資家という「鶏」の口(頭)となり、自ら仕事をすれば、実績に応じた利益の分け前を得ることができる。後者の方がアップサイドは大きいはずだ。

エコノミークラスからは早く降りろ

先日、とある大手企業の人事担当に採用の本音を聞く機会があった。曰く、「本社の新卒採用は、上位大学出身者と中堅大学出身者で7~8割。下位大学出身者は子会社への配属が多い。ずっと勤務すれば、本社勤務なら年収1,000万円、子会社なら700万円に到達する。個人成績による給料の差は少ない」とのことだ。典型的な昭和の大企業の評価方法といえる。

このような企業において、年収1,000万円は上位の報酬であり、プレミアムエコノミーのエリート層なのは間違いない。しかし、日本でトップクラスの経歴にもかかわらず、「経済的な見返りはこの程度か。頑張ってきたつもりだが、こんなものか」と自らの報酬に疑問を呈するケースは多い。それでも「ここで会社を辞めたら次の仕事が……」「家族が……」という「生かさず殺さずの罠」にはまり、均衡を崩す行動までは踏み出せない人が多い。

一方、もともとエコノミークラス以下の座席しか与えられないならば、そこから先の見通しが明るくないことは目に見えている。投資効率の観点でいっても、向いていない仕事に多くの時間を投下して、人生を賭けることほどリターンの悪い投資はないだろう。

その事実を理解できれば、躊躇なく社内の出世レースから離脱できるのではないか。そして、改めて別の道でビジネスクラス以上を目指すのはどうだろうか。自営業や投資家の良いところは、学歴や職歴が不問であることだ。組織になじめずヒットを打てなかった窓際社員や、就活で大企業に入れなかった学生ほど、逆転ホームランを狙いやすいだろう。

玉川陽介(たまがわ ようすけ)

コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ株式会社代表取締役。1978年神奈川県生まれ。学習院大学卒。大学在学中に情報処理受託の会社を創業し成長させる。M&Aにより上場会社に同社を売却後は、国内外の株式、債券、デリバティブ、不動産など多様な種類を取引する個人投資家となる。現在は不動産を中心に100億円超に投資。東洋経済、ダイヤモンド、日経新聞などへの寄稿多数、過去に学習院さくらアカデミー講師(金融リテラシ)ほか金融経済、不動産の講演を開催。金融商品分析や不動産投資の書籍は計10万部を超えるロングセラー。

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会社をつぶす経営者と、会社を伸ばす経営者の「決定的な差」

2021年11月28日 05時57分49秒 | 起業

「見えっ張りな人」は

経営者として致命的

 会社をダメにする経営者には、四つの共通点があります。

 それは、「明るく、元気で、大ざっぱで、見えっ張り」というものです。

「明るく、元気で」の二つだけを取り上げれば、悪いことではありません。明るく、元気でなければ、何かと苦労の多い中小企業の社長は務まらないし、社員だって陰気で、覇気のないトップの下ではモチベーションが上がりにくいはずです。

 ただ、「大ざっぱで、見えっ張り」なのは問題です。

 大ざっぱな経営者は、細部まで注意が行き届かず、細かい配慮もできず、経営が雑になりがちです。特に数字に大ざっぱな経営者は、ビジネスで求められる「物事をできる限り具体化・数値化すること」が苦手です。自社の売り上げや利益の数字をかなり違って記憶している人もいます。また、経理をごまかされていても手遅れになるまで気付かないこともあり得ます。

 それでも、「大ざっぱ」は、数字を見て考える訓練をすることである程度矯正することができます。経理や財務担当者に補佐してもらうことも可能です。財務の数字の扱いに、財務担当者よりも詳しくなる必要はありません。社長は会社の業績に最も責任を負う立場なのだから、大事な数字は何かを理解して、その大事な数字をきちんと把握していることが大切なのです。

 一方で、見えっ張りな人は経営者としては致命的です。

 少し経営が軌道に乗っただけで本分を忘れて外部団体の肩書・地位を欲しがったり、社長室を豪華に飾ったり、会社の金で高級車を買ってプライベートでも乗り回したり、飲み歩いて散財したり、時には借金をしてでも経営者仲間や取り巻きにいい格好をしたがる経営者は、ほぼ確実に会社をダメにします。多くの経営者と接してきた私は、そうした例をいくつも見てきました。会社を倒産させた見えっ張りな社長も何人も知っています。

メンタルが強くなければ

会社を伸ばす経営者になれない

 大ざっぱで、見えっ張りは論外として、明るく、元気なことが、会社を生かす経営者の条件になるのかといえば、そうとも言い切れません。

 経営者のメンタルは意外に弱く、普段は明るく、元気な経営者なのに、業績が悪化すると耐えられなくなって経営意欲を失って放り出したり、精神的に参ってしまって経営が続けられなくなったりした人も何人か見てきました。

 つまり、メンタルが強くなければ、会社を伸ばす経営者にはなれないのです。

 メンタルは鍛えることができます。私の経験上最良の方法は、この連載で何度もお話ししているように、『論語』『老子』などの中国の古典や、『聖書』『仏教聖典』のような何千年もの間、多くの人が正しいと信じて読み継がれてきた本を読むこと、立派な方のお話を聞いて勉強することで、生きる根本の信念を身に付けることです。そうすると強く生きられます。

 そうした本や立派な方のお話には、人が正しく生きていく上での真理が含まれており、理解が深まるにつれて「正しい信念」が身に付き、いろんなことが起こっても精神的な安定が得やすくなります。

 ただ、メンタルを鍛えて「正しい信念を持つ」だけでは不十分です。経営上の工夫も必要です。

会社を伸ばす経営者になるために

実行すべきこと

 景気には好況・不況の波があります。経営者は景気の波にあらがうことはできないので、波に対応した経営をしなければなりません。それには、(1) 自己資本を厚くし、自分たちが自由に使える手元資金を多く持つこと、(2)自社の強みを生かして変われる体制を普段から構築しておくこと、(3)景気の波に耐えられる事業構造が必要です。

 今も続くコロナ禍では、飲食業界、旅行業界と同じようにイベント業界も需要が消滅し、生き残れるかどうかの瀬戸際まで追い込まれました。そうした中で、以前この連載の『ピンチをチャンスに変える経営者と、ピンチで没落する経営者の明確な違い』の回で紹介したワン・ステップという会社は、イベントで使うエア遊具(空気で膨らませた滑り台など)の技術を生かして医療用テントをつくったり、子どもたちが他人との接触を避けて遊べるよう一人で遊べる遊具をつくったりして会社を存続させました。自社の強みを生かして、変化に対応した好例です。

 景気の波に耐える事業構造という意味では、20人ほどの人員の当社の場合、景気の良いときには研修のご依頼が増え、景気が悪くなるとコンサルティングのご依頼が増える傾向があります。また、経営計画策定やM&Aなどの仕事は景気にかかわらず、コンスタントにあるものです。

 会社を伸ばす経営者になるためには、正しい信念を持つことで自身のメンタルを鍛え、事業構造を考えた上で自社の強みを生かしてどんどん環境の変化に対応して変われる体質を普段から持っておく、自己資本比率、手元流動性を高めに持つ、これらを常に意識し、実行してください。

(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)

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「誰よりも金持ちなのに、誰よりも働いている」イーロン・マスクが週120時間も働くワケ

2021年11月13日 06時21分54秒 | 起業

テスラのCEOであるイーロン・マスクが世界長者番付で1位になった。経営コンサルタントの竹内一正さんは「世界一の億万長者になったイーロン・マスクだが、いまでも現場の最前線で働き続けている。ときには週に120時間も働き、工場に寝泊まりしながら問題解決に挑むことも珍しくない。彼を突き動かしているのは『過大な使命感』と『過剰な自信』だ」という――。

億万長者であり世界一多忙なCEO

イーロン・マスクは世界長者番付で第1位に輝く億万長者だ。推定資産額は人類史上初の3000億ドル(約34兆円)を超える。

だからといって、ほかの富豪のように豪華な食事を楽しんだり、別荘でゆったりくつろいでいる時間はない。なぜなら、テスラ以外にも宇宙開発企業「スペースX」のCEOとしての仕事もしなければならないからだ。

そのほかにも、人間の脳とコンピュータをつなぐ科学技術の研究会社「ニューラリンク」や、地下トンネルを自動車で高速移動する交通手段の開発会社「ボーリングカンパニー」にも時間を割いている。

6人の男の子の父親でもあるイーロンはハードワークを好む。週100時間以上、ときには120時間も働く。ロサンゼルス近郊から現在はテキサス州に引っ越したが、テスラの本社はカリフォリニア州のシリコンバレーにあり、近くのフリーモント工場で販売絶好調のモデル3の組み立てを、ネバダ州のギガファクトリーでは搭載するリチウム電池を製造している。テキサス州オースチンにはギガファクトリーを建設中だ。

なお、テスラ本社は先日テキサス州への移転を決定したものの、カリフォルニアとネバダの工場はさらに50%の拡大予定だ。

イーロンがCEOを務めるもうひとつの企業「スペースX」はロサンゼルスに本社と工場があり、自社の打上げ場はフロリダ州に3ヶ所とテキサス州ボカチカにある。

自宅のあるテキサス州からスペースXのあるロサンゼルス空港や、テスラ近くのサンノゼ空港までは飛行機でも3時間以上かかる。仕事の拠点間の移動だけでも大変だが、イーロンはそんなことは気にかけていない。

テスラで一番働いているのはイーロン・マスク

イーロンは以前に南カリフォルニア大学マーシャル経営大学院のスピーチで「とにかくがむしゃらに働くことが大切だ」と述べていた。

そして、「他の人が50時間働いている間に100時間働けば、2倍のことが達成できるはずだ」と学生たちに語りかけたとおり、イーロンがスーパーハードに働く姿をテスラやスペースXの社員たちは日常的に目にしていた。

「テスラで一番働いているのはCEOのイーロンだ」と社員たちは口をそろえて言う。イーロンは生産ラインで作業することを厭(いと)わず、ブランド物のスーツが汚れることも気にしない。全身全霊で仕事に打ち込むイーロンの姿を見て、社員たちは奮い立つのだった。

スーパーハードに働くイーロンだが、彼が工場で寝ている姿も従業員たちはよく目撃していた。

テスラのある社員は、机の下で丸まって寝ているイーロンを見つけたことがあったし、別の社員は、工場の警備員が立っていた近くにあるテーブルの下で毛布にくるまって寝ているイーロンを発見した。

猛烈に働き、バッテリーが切れるとイーロンは工場の床でも、会議室でもどこでも寝るが、それは長い時間ではなく、充電すれば再起動して頭をフル回転させ、社内を飛び回り、技術者と議論を始める。

自動化ロボットが役に立たず生産がストップ

テスラの3万5千ドルのEVセダン「モデル3」は販売が絶好調で、2020年にテスラが時価総額でトヨタを抜き、世界一の自動車メーカーになった原動力であり、今年9月には欧州でガソリン車を抜いて最も売れた自動車になった。

モデル3は従来のクルマと大きく違って、フロアのシフトレバーも、サイドブレーキも、スピードメーターもない未来型のEVで、予約注文だけで40万台を超えた。

ところが、量産立上げ時は製造現場が混乱に陥り出荷が遅れた。原因は生産ラインの過度な自動化だった。自動化ロボットが役に立たず、リチウム電池工場ではバッテリーモジュールの生産が止まり、組み立て工場ではロボットが部品をつかみ損ねるなどして、モデル3の出荷が遅れた。

このとき、CEOのイーロン・マスクは何をしていたか?

製造ラインに飛び込んで、工場に寝泊まりし問題解決に連日奮闘していた。それでも出荷台数の挽回は一筋縄ではいかず、ついに工場の外にフットボール場ほどの巨大テントを立てて生産ラインを新設し、生産数量を増加させてなんとか注文に応えていった。

工場長であり設計課長でありCEOでもある

世間にはハードワークだけの社長は多くいるし、長時間労働のブラック企業の話も残念だがよく聞く。

しかし、イーロンは単に長時間労働をしているのではなく、マルチタスクで対応している。それも似たような二つの仕事を並行してこなすのではなく、両極にある二つの“物差し”で物事を捉え、実行に移している点が他の経営者と大きく異なる。

例えば、地上のクルマをすべてEVに置き換える(約1億台)とイーロンは壮大な目標を掲げ、出資者から巨額の資金を集めながら、その一方で、テスラ車の出荷がもたつけば、製造現場に飛び込んで泥臭い問題の解決にあたり、EV設計の材質や寸法にまで口を出していた。

価格が7万5千ドルを超える高級EVセダン「モデルS」で採用した17インチタッチパネルは、イーロンがデザイナーと共に試作車にノートPCを持ち込み、細部にわたって議論して決めたものだった。まだアップルのiPadが登場する以前のことだ。また、インバーターから出る微かな音を気にして設計変更を命じたこともあった。

しかし、こんなことはこれまでの経営者は決してやらなかった。というより、できなかったのだ。

ビジネススクールの教えに従えば、製造現場のことは工場長に任かせ、設計のことは設計課長に任せる。社長は、銀行や取引先との交渉など大きな仕事をやる。それが役割分担だ。

社長に、「製造ラインの歩留まりが低くて困ってます」などと直訴する製造担当者はいなかったし、もしそんなことをすれば、「社長のワシにそんな細かいことを言ってくるな!」と一括されるのが関の山だ。

“二つの物差し”を兼ね備えている

仕事の役割を分担するには分けがある。人の思考回路にはそれぞれ“物差し“があるからだ。

大きな物差しが必要な仕事をやっていると、小さな物差しの仕事はわからなくなる。逆に、小さな物差しの仕事をやっている人は、大きな物差しの仕事は理解できないものだ。

例えば、電子部品の技術者はミクロンメートル単位で設計を考えるが、山間部のダムの建設技術者はその100万倍のメートル単位で図面を描く。その結果、電子部品の技術者に巨大なダムを設計させても上手くいかない。思考の物差しの大きさが全く違うからだ。

ところがイーロンは「大きな物差し」と「小さな物差し」の両方を兼ね備えている。

5000億円規模の巨大電池工場「ギガファクトリー」建設を進めながら、テスラ車のドアノブに関してはミクロン単位の設計値に技術者と議論を戦わせることができるのも、こうした両極にある2つの物差しで問題を捉え、実行に移す能力故のことだ。しかし、常識では、“あり得ない働き方”であった。

現場に入りたがるCEOは迷惑か?

もし、大きな物差ししかイーロンが持ってなかったら、小さな物差しで日々動く現場の問題をイーロンは理解することができず、製造現場のやる気は下がってしまう。その結果、イーロンと部下との間に大きな溝が出来て、テスラは倒産したのではないか。

では、逆に、小さな物差ししか持ってなかったら、大きな目標は決して掲げられない。そうなると世間の注目も集まらないし、多額の資金も獲得できなかっただろう。

CEOが製造ラインに入って、工場で寝泊まりしては必死に働いている姿を目の当たりにすれば、現場の社員のモチベーションは上がる。自分たちの仕事の苦労が分かってもらえ、仕事への情熱が沸く。

ただし、イーロンが現場で必ず最適の判断を下すとは限らず、時には混乱や、社員の離反を招くこともあった。だが、総じてみれば、イーロンのありえない働き方は、これまでのところ見事に成功している。テスラの時価総額が1兆ドルを突破したことが何よりの証左だ。

イーロン・マスクの「過大な使命感」と「過剰な自信」

テスラの最初のEV「ロードスター」の時も、高級セダン「モデルS」の時もイーロンは製造現場に入って出荷台数を上げるべく奮闘してきた。

だが、なぜ大富豪のイーロン・マスクは現場に入りたがるのか?

イーロンには、人類と地球を救うという「過大な使命感」と、それは自分にしかできないという「過剰な自信」に突き動かされているからだ。話を2002年に遡ろう。この年にスペースXを興したのだが、その目的は、人類を火星に移住させるためのロケットを作ることだった。

環境悪化が進む地球で人口がこれ以上増えれば、人類はいずれ地球で暮らせなくなる。ならば、人類は他の惑星でも暮らすことができる“多惑星種”になるべきとイーロンは考えた。他の惑星とはつまり火星で、火星に移住し文明を築くためには地球間を何度も往復できる安いロケットが必要だ。

しかし、すぐに火星ロケットが作れるわけではなく、その間も地球温暖化は進んでいく。そこでCO2をまき散らすガソリン車に代わってEVを普及させようとテスラの経営に乗り出したのだ。

トヨタは自社の車を売ることが一番の目的だが、テスラは違う。持続可能エネルギーへの世界的な移行を推し進めることがテスラの目的だ。だからテスラは太陽光パネルを製造し、家庭用から発電所用の大規模まで対応する蓄電池製品も作り、垂直統合型のエネルギー企業となった。

この経営姿勢は当時は理解してもらえなかったが、SDGsが叫ばれるようになり昨今やっと世間がイーロンの発想に追いついた。

「たとえテスラが潰れても構わない」とEV特許を無償で公開

テスラが苦労して取得した虎の子のEV特許を2014年に無償で公開したのも、EV普及の速度をあげようとしたためだった。その結果「たとえテスラが潰れても構わない」とまで言い切ったイーロンの姿勢にその一端が表れている。

人類と地球を救うことは自分にしかできないとの「過大な自信」がイーロンを突き動かし、製造現場に足を運ばせる。

テスラのEVは常に進化している。初代のロードスターから最新のモデル3まで、毎回新たな技術に挑戦しているから量産立上げで苦戦する。しかも、生産ラインも進化させているから、苦労は2倍以上になる。

イーロンがテスラの製造現場に入ることについては、「CEOはもっと大所高所から経営を見るべきだ」と株主からも批判が多い。

だが、2023年に予定している2万5千ドルのEVの量産立上げでも、「過大な使命感」と「過剰な自信」を纏(まと)って、イーロンはきっと製造現場に入ると著者は予想する。

映画「アイアンマン」のモデルにもなったというイーロンだが、今年で50才になった。アイアンマンのように自ら先陣を切ってその時も超人的な戦いを続けられるのか、世界は注目している。

---------- 竹内 一正(たけうち・かずまさ) 経営コンサルタント 1957年生まれ。徳島大学大学院工学研究科修了。米国ノースウェスタン大学客員研究員。松下電器産業(現パナソニック)に入社。PC用磁気記録メディアの新製品開発、PC海外ビジネス開拓に従事。その後アップルコンピュータ社にてマーケティングに携わる。日本ゲートウェイを経て、メディアリングの代表取締役などを歴任。シリコンバレー事情に精通。現在、コンサルタント事務所「オフィス・ケイ」代表。著書に『TechnoKING イーロン・マスク 奇跡を呼び込む光速経営』(朝日新聞出版)、『アップル さらなる成長と死角』(ダイヤモンド社)、『世界で最もSDGsに熱心な実業家 イーロン・マスクの未来地図』(宝島社)などがある。 ----------

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