雇用保険料の引き上げを柱とした改正雇用保険法などが30日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。失業手当に充てる雇用保険の「失業等給付」(労使折半)の保険料率は今年10月から、現在の0・2%(労使折半)から0・6%に引き上げられる。
雇用保険は、労使折半の「失業等給付」「育児休業給付」と、企業だけが負担する「雇用保険二事業」(雇用安定事業・能力開発事業)がある。料率が据え置かれる「育児休業給付」(労使折半で0・4%)を含めると、労働者が負担する保険料率は現在の0・3%から0・5%になり、月給30万円の人の場合、月600円多い1500円の負担になる。また「雇用保険二事業」は来月から現在0・3%の保険料率が0・35%に引き上げられる。
今回の法改正は、新型コロナウイルスの感染拡大により、休業手当の一部を企業に助成する雇用調整助成金(雇調金)の支給額が急増して財政が逼迫(ひっぱく)したための措置。雇調金の支給額は今月25日時点で、5兆4900億円に達した。
また今回の法改正で、雇用情勢が悪化し積立金が枯渇している場合に、一般会計から雇用保険に資金を繰り入れる制度を導入した。また、会社を退職後に起業し、その後廃業した場合に、失業手当を受給できる期間を現在の退職後1年から退職後4年までに延長する仕組みも盛り込んだ。【石田奈津子】