お役立ち情報ブログ

日々の生活やビジネスにおいて役に立ちそうな情報を収集、公開しています。

改正雇用保険法が成立 10月から失業等給付の保険料率引き上げ

2022年03月31日 06時10分42秒 | 労務

 雇用保険料の引き上げを柱とした改正雇用保険法などが30日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。失業手当に充てる雇用保険の「失業等給付」(労使折半)の保険料率は今年10月から、現在の0・2%(労使折半)から0・6%に引き上げられる。

 雇用保険は、労使折半の「失業等給付」「育児休業給付」と、企業だけが負担する「雇用保険二事業」(雇用安定事業・能力開発事業)がある。料率が据え置かれる「育児休業給付」(労使折半で0・4%)を含めると、労働者が負担する保険料率は現在の0・3%から0・5%になり、月給30万円の人の場合、月600円多い1500円の負担になる。また「雇用保険二事業」は来月から現在0・3%の保険料率が0・35%に引き上げられる。

 今回の法改正は、新型コロナウイルスの感染拡大により、休業手当の一部を企業に助成する雇用調整助成金(雇調金)の支給額が急増して財政が逼迫(ひっぱく)したための措置。雇調金の支給額は今月25日時点で、5兆4900億円に達した。

 また今回の法改正で、雇用情勢が悪化し積立金が枯渇している場合に、一般会計から雇用保険に資金を繰り入れる制度を導入した。また、会社を退職後に起業し、その後廃業した場合に、失業手当を受給できる期間を現在の退職後1年から退職後4年までに延長する仕組みも盛り込んだ。【石田奈津子】

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いますぐマネしたい!お金持ちの人の習慣

2022年03月25日 07時07分12秒 | お金持ちの思考

「時間は資産」とお金持ちの多くはせっかち

今日からお金持ち体質に変わるための習慣を1つ挙げるとしたら、「すぐやる」ことです。お金持ちの多くはせっかちです。彼らは時間を資産だと考えていて、スピードを重視しているからです。

 

エレベーターが来るのを待つだけでもイライラするし、人気ラーメン店だからといって行列に並んで待つなんてガマンができません。

たとえば同僚や友人知人とランチに行ったとき、メニューを決めるのが速い人と遅い人の仕事の能力を比較してみるとわかります。決断の速さは行動の速さにつながり、それは生活の全方位に現れてくるからです。

だから単純ではありますが、思いついたらすぐやることです。

仮にそれが拙速な判断であり失敗したとしても、それはそれでいいのです。

なぜなら、その失敗を分析し、自分のどういう考えや判断の根拠がまずかったのかを抽出できれば、次に同じような場面に直面したとき、同じ失敗を繰り返さないで済みます。

その積み重ねが、より短時間でもより適切な意思決定ができる自分になっていくからです。

 

先延ばしにせずに、「今日からすぐ行動する」

行動を先延ばしにしていては何も起こらないし、何も変わらない。壁にぶつかることもありませんから、次の課題も見えない。

 

失敗もしないから、今自分が知っている方法を変えなければならないという気づきも得られない。それは成長しないということを意味します。

1日早く動けば、1日早く結果が得られる。1年先延ばしにすれば、リターンが得られるのも1年後。

もちろん明日やっても結果がさほど変わらないものを今日やる必要はありませんが、なるべく「決即動」を心がけることです。

文:午堂 登紀雄(マネーガイド)

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All About 「お金持ち」になれるたった1つの条件

2022年03月19日 06時53分39秒 | お金持ちの思考

金持ちはすべてを「シンプル」に考える

「成功は、シンプルから生まれる。」

 

これは、Google創業者セルゲイ・ブリンの言葉です。私のやってきたこともこの言葉通り、シンプルなことでしかありません。私は今、自由を謳歌しています。

不動産仲介など事業の運営はビジネスパートナーに任せているので、会社に通勤する必要もなければ満員電車に乗る必要もありません。

そのため、好きな時間に起き、好きな時間に寝る。旅行に行きたくなったら行けるし、休みたいと思ったら休めばいい。

好きな相手とだけ付き合い、面倒な人とは付き合わない。だから毎日が楽しく、余計なストレスとは無縁の生活です。

このような生活を手に入れることができた大きな理由の一つが、私が追求しているテーマでもある、「よりシンプルに考える」「よりシンプルに行動する」というものです。

でも私がそれに気づいたのは、30歳を過ぎてからのこと。それまでは、社会人としては本当にダメダメ人生を歩んできました。

 

ダメダメだった20代。フリーター、ニート生活からうつ寸前にまで追い詰められた……

20代の頃。就職氷河期にもかかわらず、就活には乗り遅れ、仕事が決まらないまま大学を卒業しました。

 

生活のため、ビル清掃のバイトなど必要最低限の仕事はしていましたが、1日のほとんどの時間をアパートで過ごすフリーター生活をしていました。今の言葉で表すなら、ニートといえるでしょう。

大学生の時に借りていた奨学金も返せないので、返済の開始時期を延期してもらったくらいです。

フリーター生活が不安になった頃、簿記の専門学校主催の就職フェアに参加しました。なんとか都内の会計事務所から内定をもらい働き始めました。夏も終わりのことです。

しかし、やる気満々だった私を待っていたのは、みじめな日々でした。最初の仕事は、顧客からもらってくる会計伝票の入力という、本当に単純な仕事でした。

しかも、いきなり入力ミスやら計算ミスを連発。それが何度か続き、わずか1カ月ほどで「コイツは使えない」というレッテルを貼られるようになりました。

毎日、先輩や上司から怒られ、「なんでこんなこともできないんだ」と説教され問い詰められる日々。ストレスで朝も起きられなくなり、遅刻することが増え、だからさらに怒られる。

最後は、職場で笑うこともできなくなりました。ついに惨めさと精神的なしんどさでウツ寸前となり、「もうダメだ。辞めよう……」と、逃げ出すことを決めました。

そして1年後、「お前、どうするんだ!」と詰め寄られ、私は小さな声で「はい……辞めます……」と答えるしかありませんでした。就職してからわずか1年のことです。

これが、私の社会人としてのスタートでした。この経験から、私は意識して「考え方」を変えようともがいてきました。

 

「シンプル」こそが不安定な時代を駆け抜ける武器

そしてやっと自由を手に入れました。もっとも、この生活が何年続くかはわからないので、まったく不安がないといったらウソになります。

 

固定的な収入はなく、すべてが変動費ですから、不安定といわれればその通りです。しかし、いわゆるルーティンワークはほぼゼロ。すべて楽しんでやっている仕事ばかりです。

個人投資家・作家・講演家としての顔を持ちつつ、ビジネスとしては新事業の立ち上げやアジア新興国進出支援などを中心に活動しています。

それもすべて、自分が「面白そう」と思えるものだけをやり、面白くなくなればやめる。このシンプルな考えのみです。

もちろん私は、自分が成功したなんてこれっぽっちも思っていないし、まだまだ現状に満足はできていませんが、今のようになれたのは、こんなふうに「シンプル」に考え「シンプル」なやり方をしてきたからです。

なぜなら私は、複雑なものよりもシンプルなもののほうが本質に近いと考えているからです。

それは、省略するとか割り切るとか一言で片付けるといった短絡的な発想ではありません。

先の見えない不安定な時代を軽やかに駆け抜けるひとつの知恵であり、正解が存在しないリアル社会で人生を切り開くための有力なアプローチだと考えています。

 

ビジネスはもちろん、投資もシンプルに考える

実は、投資も同じです。「投資で利益を上げるのは難しい。たくさんの勉強が必要だ」と感じる人も多いかもしれません。しかし、不動産投資のキモは「入居者が確保できるかどうか」です。

 

ということは、入居者の視点に立ち、彼らがどういう基準で賃貸物件を探し、何を優先して物件を決めるかを想像すれば、誰にでもわかる話。そう、場所が便利で家賃がリーズナブルな物件です。

株でもFXでも投資信託でも、「安い時に買って高い時に売る」ですから、皆がパニックになっている暴落時に買い、みんなが浮き足立っている好景気の時に売ればいいだけ。難しい分析なんて必要ありません。

もちろん仕事もそうで、流行りのデジタルガジェットやクラウドサービスにお金を使っても、やるべきことが増えて、より複雑になるだけです。

それよりも、そんなものを捨てたほうがよい場面もある。手帳やノートのほうがアナログかつ自由でいい。充電しなきゃいけないもの、電池がなくなれば終わり、というものを減らす。ニュースは検索できるから、記事のクリッピングなんてやめてしまう。

人間関係もシンプルにすること。それはつながりを希薄にしろということではなく、他人の言動にいちいち目くじらを立てないということです。

最近では「非常識だ」「そんなことしちゃいけない」「道徳的にどうなのか」「不謹慎だ」なんて怒ってばかりの発言が目につきますが、そういう人は他人に自分の感情をコントロールされているのです。

他人に依存しない。他人からの影響を最小限にする。「他人は自分ではコントロールできない。だから自分が変わればいい」と考えれば、会社や政府がおかしなことをしても、自分で何とかしようと必死に行動するので、不満も最小限に抑えることができます。

そしてもちろん、人生も。「人生は甘くない」と考えてしまうと、複雑で難しいものが価値あると捉えてしまいがち。

だから忍耐やら我慢が尊いとなり、人生が窮屈になる。それよりも、「人生楽勝」「別に命まではとられるわけじゃないし」と考える。

そうすれば、リスクに囚われずに挑戦できる。失敗したことも引きずることなくすぐ忘れ、良かったことだけ覚えている。そのため、ますます挑戦体質になる。ストレスも溜まらない。それが、より変化に強い生き方になると私は思っています。

 

あらゆる場面において、もっともっとシンプルに考える。

「目的を達成するには、どこを押さえればいいか?」というポイントにフォーカスする。それ以外の瑣末な事柄は思い切って捨て、ToDoの数を減らしていく。

 

そうすれば、仕事も人生も、もっと余裕が生まれるし、もっと楽しめるようになるはずです。

もちろんすべてが皆さんにあてはまるわけではないですが、もっとシンプルに物事を考えることで、お金持ちへの道もより近くなると思います。

文:午堂 登紀雄(マネーガイド)

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「年収1000万円」は日本にわずか5%未満?貯蓄額も世帯別にみる

2022年03月17日 06時31分45秒 | 経済

「年収1000万円」と聞くとどのような生活をイメージされますか。

「優雅な生活を送っていそう」
「貯金もいっぱいできていそう」

こんなイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。

「年収1000万円」の層が日本にどれだけいて、どれほどの資産を持っているのか気になるところです。

そこで今回は、一般的に高年収とされる「年収1000万円」の割合や貯蓄額などの実態を探っていきたいと思います。

「年収1000万円」の割合は

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」の「(第 16 表)給与階級別給与所得者
数・構成比」より、男女をあわせた年収の分布をみてみましょう。

給与階級別給与所得者数・構成比
 ・100万円以下:8.4%
 ・100万円超 200万円以下:13.8%
 ・200万円超 300万円以下:15.5%
 ・300万円超 400万円以下:17.4%
 ・400万円超 500万円以下:14.6%
 ・500万円超 600万円以下:10.2%
 ・600万円超 700万円以下:6.5%
 ・700万円超 800万円以下:4.4%
 ・800万円超 900万円以下:2.8%
 ・900万円超 1000万円以下:1.8%
 ・1000万円超 1500万円以下:3.4%
 ・1500万円超 2000万円以下:0.7%
 ・2000万円超 2500万円以下:0.2%
 ・2500万円超:0.3%
現在日本の平均年収は433万円です。(『国税庁の「令和2年分 民間給与実態調査統計」』による)「200万円超 500万円以下」が多いことが見て取れます。一方、「年収1000万円」を超えている人は日本に5%に満たないようです。高年収の目安とされているのも頷けます。

【単身世帯】年収1000万円の貯蓄額

それでは実際に年収1000万円の人はどれくらい貯蓄をしているのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」を元に、まずは単身世帯の貯蓄事情を探ります。

こちらの統計では年収1000~1200万円未満の単身世帯を参考にご紹介します。

【単身世帯】年収1000~1200万円未満の貯蓄
 ・金融資産非保有:23.1%
 ・500万円未満:7.7%
 ・500~1000万円未満:15.4%
 ・1000~2000万円未満:30.8%
 ・2000~3000万円未満:15.4%
 ・3000万円以上:7.7%
 ・無回答:0.0%
平均値:1542万円
中央値:1201万円

※平均値は一部の大きな数字に引っ張られるため、中央値を参考にして下さい。

中央値は1201万円ですので、年収1000~1200万円だとかなり貯蓄できている印象です。
一方で、貯金が殆どないという方も23.1%とかなり多いようです。

【二人以上世帯】年収1000万円の貯蓄額

ここからは、ご夫婦で共働きして「年収1000万円」を超えている世帯状況をみていきます。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」より二人以上の世帯を見ていきます。

こちらの統計では年収1000~1200万円未満の二人以上世帯を参考にご紹介します。

【二人以上世帯】年収1000~1200万円未満の貯蓄
 ・金融資産非保有:4.0%
 ・500万円未満:20.0%
 ・500~1000万円未満:17.0%
 ・1000~2000万円未満:22.0%
 ・2000~3000万円未満:12.0%
 ・3000万円以上:28.0%
 ・無回答:1.0%
平均値:2386万円
中央値:1500万円

※平均値は一部の大きな数字に引っ張られるため、中央値を参考にして下さい。

中央値は1500万円ですので単身世帯よりも中央値が上昇しています。

実際、3000万円以上が28%と単身世帯の7.7%から大きく増えています。

家庭を持つとお子さんの教育資金や住宅購入などに備えるお金も多くなる分、資産形成に対する意識は単身世帯よりも高いのかもしれません。

マイホーム教育資金などをローンなどで借り入れを起こすケースもありますから、貯蓄と負債のバランスも重要になってきます。

長期目線での資産形成を

今回は「年収1000万円」の割合と貯蓄額を見てきました。
年収は高くても堅実的に貯蓄をされている人もいれば、生活水準の高騰が先行して貯蓄額が少ないという人もいるようです。

大切なことは年収に限らず「資産を作る習慣」です。
なかなか思うようにお金を貯められないという方は目先の資金準備ばかりに意識が集中してしまっている可能性があります。資産形成は収入がある限り、続けていくことが理想です。

長期目線で効率よく計画的に資産形成に努めてみてはいかがでしょうか。

参考資料
 ・国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」
 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和2年(2020年)調査結果」
 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年(2020年)調査結果」
 ・総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」

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「低学歴国日本」の大学進学率は韓国の3分の2、なぜこんなに低いのか

2022年03月17日 06時19分57秒 | 教育

米国や韓国に比べ際立つ低さ

大学進学率は短大を含め64%

 日本の大学進学率は54.4%だ。短大まで含めると64.1%になる。

 ところが、この値はアメリカでは88.3%という高さだ。アメリカは日本よりずいぶん高学歴社会だと驚く。

 さらに驚くべきことに、韓国では大学進学率は95%にもなる(注)。

 大学など高等教育機関での教育は、国の将来を担う人材育成のために重要な役割を果たす。

 だから、アメリカや韓国に比べて日本の進学率がなぜ低いのか、その原因を真剣に考える必要がある。

 原因の一つとして、日本で大学進学が経済的に見て合理的なものかどうか、ということがある。

 生涯賃金を単純に比較すると、大学に進学することは経済的に割に合うように思われる。しかし、問題は、大学進学に要した費用を取り戻すまでに日本では非常に長い時間がかかることだ。、

 50歳代の半ばまで取り戻せない可能性があるのだ。

大学で勉強するための費用

「教育ローン」も有利子

 大学で勉強するための費用として、まず学費がある。

 文部科学省などの資料によると、大学の4年間(医歯系や薬学部は6年間)での学費は、国立大学で約243万円、私立大学の文科系で約398万円、理科系では約542万円、医歯系では約2357万円だ。

 また、大学に進学すると、働けば得られる収入を放棄することになる。

(注)日本の大学進学率は2020年の値で、文部科学省『学校基本調査』による。短大まで含めた値は18年の値で世界銀行の資料による。 

 賃金構造基本調査のデータから推測すると、高校卒業後すぐに働かなかったことによる逸失収入額の平均値は、男性で875.52万円、女性で837.6万円だ。

 親元を離れて一人暮らしする場合には、家賃や生活費などもかかる。

 日本政策金融公庫『教育費負担の実態調査結果』(2021年12月)によると、自宅外通学者のいる世帯の割合は全体の28.1%だ。

 大学進学のために私立の中学・高校や塾に通わせたりすると、さらに費用がかかる。

 大学進学を経済的に支援する制度はどうなっているだろうか。

 日本学生支援機構の給付型奨学金は、返済の必要はないが、世帯収入に厳しい制限がある。また、給付額も十分とはいえない。授業料はカバーしても、逸失所得や生活費までカバーするのは難しい。

 この部分をカバーするためには、貸与型奨学金を利用する必要がある。これは返済が必要だ。ただし、利率は低い。

 日本政策金融公庫による教育ローンは、「国の教育ローン」と呼ばれる。これは、年利が1.65%と低いが、借り入れの上限は350万円だ。

 民間の金融機関による「教育ローン」は、額は多くなるが、金利は年2~3%程度のものが多い。

生涯所得の差で

大学進学は正当化できるか?

 他方で収入はどうか。大学卒の収入は高校卒の収入より一般に高い。

 労働政策研究・研修機構による『ユースフル労働統計2020』のデータによると、2018年時点の学歴別に見た生涯賃金(就職から定年まで同一企業に勤続した場合の金額。定年は60歳、男性)は、高校卒が2億6000万円に対して、大学卒は2億9000万円だ。3000万円の差がある。

 この数字には退職金や年金は含まれていない。これらを含めれば差はもっと大きくなる。

 この収入差と前記の進学にかかる費用の数字を比べて、「大学進学は経済的に見て十分採算に合う」とする考えがある。

 しかし、その考えには問題がある。なぜなら、上記の数字は将来の収入を単純に足しただけであって、いつまでに費用を回収できるかという観点がないからだ。また、将来の額を「割り引く」という操作も行なっていない。

 これでは、大学進学を経済的に判断する指標としては役に立たない。

割引率ゼロの場合は

進学費用取り戻すのは40代中頃

 以上を考慮して、高校卒と大学卒の生涯賃金を比較してみた。結果は図表2のとおりだ。

 図表のAとBは、大学卒と高校卒の年収を示す(『賃金構造基本調査」による2020年の値)。

 C欄は、AとBの差に当該欄の年数を掛けたものだ。

 D欄は、C欄の数字の累積値を示す(D欄では、将来の値について割引を行なっていない)。

 大学卒業時点で、Dは875.5万円になる。これは、大学在学中は働かなかったことによる逸失収入だ。

 D欄の数字は、年齢が上がるにつれてマイナスの絶対値が減り、30代の後半でプラスに転じる。つまり、逸失収入を取り戻すのに15年程度かかることになる。

 D欄の数字は、40代の中頃に1000万円となる。大学時の学費や生活費が1000万円程度であれば、この時点で取り戻せることになる。

 D欄の数字は、最終的には約6000万円に達する。

割引率を考慮すると、進学費用を

取り戻すのに30年以上かかる

 仮に教育ローンなどで無利子、無担保で、制限のない借り入れが可能であれば、D欄に示したような計数が一定の意味を持つ。しかし、実際にはそのような貸し付けはない。

 上記のように、国の教育ローンといわれるもの(日本政策金融公庫融資)は、利子率は低いが、融資限度は少ない。

 民間金融機関が提供する「教育ローン」には、融資限度が1000万円程度のものがあるが、利子率は3%程度だ。

 こうしたことを考えると、将来得られる収入は割り引いて評価すべきことが分かる。「遠くのものは小さく見える」という遠近法の原理と同じことを、時間についても当てはめる必要があるのだ。

 そこで、割引率を3%として、将来の値を割り引く計算を行なった結果がE欄に示したものだ。

 累計額がプラスに転じるのは、40代の前半になる。Dの場合より5年程度遅れる。

 そして、累積額が1000万円を超すのは54歳頃になる。

 この時期は年間所得額がピークにになる年齢だが、子供がいれば大学生である年齢だ。

 大学生活のために授業料を含めて1000万円が必要なら、大学卒業後、この時点まで30年もの間、その金額を取り戻せないということになる。

教育投資にあまりに長い回収期間

高卒との生涯所得差は2000万円未満

 大学進学を経済的投資と見る観点からいえば、回収期間があまりに長い投資だということになるだろう。

 そして将来、得られる収入を割り引いて計算すると、大学卒と高校卒の生涯所得の差は、ほぼ2000万円だ。Dの計数に比べると、大幅に低くなる。

 なお、女性について同じ計算を行なうと、つぎの結果が得られる(割引率がゼロの場合)。

 第1に、逸失所得は30代後半に取り戻せる。これは、男性の場合と同じだ。

 第2に、40代前半に1000万円を取り戻せる。これは男性の場合より早い。

 第3に、生涯所得の差は5574万円だ。

大学進学の経済的メリット少ない

報酬体系見直しや教育ローン拡充を

 以上で示したように、日本で問題なのは、教育に投資した額を取り戻すのに非常に長い年数が必要なことだ。

 こうなるのは2つの理由がある。

 第1は、年功序列的賃金体系のために、大学卒と高校卒の間で、若年期での所得格差が少ないことだ。

 第2は、専門家の知識への報酬が少ないことだ。この問題は、本コラム(2022年2月3日付)「日本の大学院卒初任給は306万円、米国の5分の1以下にした教育の機能不全」で指摘したことと通じる。

 こうしたことのために大学進学率が低くなっているのであれば、大きな問題だ。

 企業が報酬体系の見直しを行なうことが重要だ。

 また、低金利の教育ローンを拡充する必要がある。

(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)

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