ビットコインの歴史を回想
日本時間1月4日、ビットコイン(BTC)が生誕14周年を迎えた。
ビットコインは匿名の人物(またはグループ)「Satoshi Nakamoto」(サトシ・ナカモト)が、2008年10月末に提唱した暗号資産(仮想通貨)。
『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』(ビットコイン:ピアツーピア電子マネーシステム)と称した論文をサイファーパンクのメーリングリストで公表した概念だった。
その後、ビットコイン・ネットワーク初の「ジェネシス・ブロック(Genesis Block)」は日本時間1月4日午前3時15分頃、生成に成功した。
ジェネシス・ブロックには、2009年1月3日の英タイムズ紙の見出し「財務大臣 二度目の銀行救済措置へ(The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for bank)」のメッセージが刻まれた。
2008年に発生した大規模金融危機(リーマン・ショック)後に、大手金融機関が特例の救済措置を受けたことで、中央集権的に管理される伝統金融に対する”アンチテーゼが込められたとされる。
初のトランザクションは、サトシ・ナカモトから開発者のハル・フィニー氏から10BTCが取引手数料ゼロで送信されたもの。ビットコインの公開ネットワーク上で初めてのブロックが生成されたのは、1月12日頃のブロック高170の時点だった。
ビットコインの普及
当初はサトシ・ナカモトをはじめ、一部の開発者や暗号学者など知る人ぞ知る試験的な取り組みだったビットコインだが、オンライン掲示板で徐々に普及した。この当時はビットコインは多大の算出能力(ハッシュレート)を要する水準まで難易度(ディフィカルティ)が上昇していなかったため、一般的なPCで誰もがマイニング(採掘)に参加することが可能だった。
翌2010年の5月22日には、ビットコイン史上初の“商取引”が実現した。当時0.2円ほどで取引されていたビットコイン10,000BTCの支払いと引き換えにピザ2枚を注文したもので、これを記念した「ビットコイン・ピザ・デー」は、世界各国で毎年祝われている。
それから12年以上経過した2022年12月時点のレートで計算すると、10,000BTCは234億円(1.7億ドル)に相当する。
関連:「ビットコイン・ピザ・デー」12周年、史上初の仮想通貨商取引
ビットコイン関連の歴史
過去14年間の主な出来事は以下の通り。
- 08年10月:ビットコインの論文公開
- 09年1月:BTCのジェネシス・ブロック生成
- 09年1月:BTC初送金(1BTC=約0.07円)
- 10年5月:BTCとピザ2枚の交換が実現
- 10年7月:暗号資産取引所マウントゴックスがBTC取扱い開始
- 12年8月:コインチェック創業
- 12年11月:1回目の半減期(1BTC=約1000円)
- 13年3月:キプロス危機(1BTC=約4500円)
- 13年10月:シルクロード創設者逮捕
- 14年1月:bitFlyer創業
- 14年2月:マウントゴックス経営破綻
- 16年7月:2回目のBTC半減期
- 17年7月:バイナンス創業
- 17年8月:BTCハードフォークでビットコインキャッシュ(BCH)誕生
- 17年12月:過去最高値、1BTC=20000ドル(約220万円)到達
- 17年12月:米CMEがビットコイン先物取引開始
- 18年1月:コインチェック大規模ハッキング事件
- 18年11月:ビットコインキャッシュのハッシュ戦争
- 20年3月:コロナ・ショック、1BTC=3000ドル台まで暴落
- 20年5月:3回目の半減期
- 20年8月:マイクロストラテジーが米上場企業初のBTC購入
- 21年2月:テスラがビットコイン購入
- 21年4月:米暗号資産取引所コインベースがナスダックに株式上場
- 21年5月:中国政府がマイニングを全面禁止
- 21年9月:エルサルバドルがビットコインを法定通貨化
- 21年10月:米SECがビットコイン先物ETF承認
- 21年11月:過去最高値、1BTC=69000ドル(約800万円)到達
- 22年2月:ロシアがウクライナに軍事侵攻
- 22年5月:テラ(LUNA)ショック、3ACなど連鎖破綻
- 22年11月:大手暗号資産取引所FTXとアラメダ・リサーチ破綻
- 22年11月:1BTC=15500ドルまで下落
2022年はFRB(米連邦準備制度)による金融引き締めの影響で相場全体が低迷したほか、暗号資産(仮想通貨)市場でもテラ(LUNA)崩壊や大手取引所FTXの破綻などネガティブなニュースが相次いだことでビットコイン価格は1万ドル台まで下落した。
ビットコインマイニングのハッシュレート(採掘速度)やディフィカルティ(難易度)調整は、マシン性能向上などの影響により時間差で過去最高値を更新したが、市況の急悪化やマイニングコスト上昇で経営難に陥る上場企業も相次いだ。