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日本の賃金「長期停滞」の元凶、中国工業化の対応を間違えた失策

2021年12月31日 09時44分18秒 | 行政

1990年代の中頃に、

成長率の顕著な屈折点

 日本の賃金が長期にわたって停滞しているが、ここからの脱出は、2022年の日本にとって最重要の課題だ。

 そのためには、なぜこのような長期停滞に陥ったかの原因を知る必要がある。

 まず、経済指標の推移を見よう。

 図表1に示すように、日本の名目GDP(国内総生産)は1990年頃までは高い成長率で成長した。しかし、90年代中頃からはほとんど変化しなくなった。このように90年代の中頃に、成長率の顕著な屈折が見られる。

 日本の経済指標が名目値で90年代中頃以降は成長しなくなったが、これは名目GDPに限ったことではない。

 法人企業統計で見ると、企業の売上高もそうだ。売り上げに対する原価の比率もほぼ一定だ。したがって付加価値も増えない(これが、名目GDPが増えないことと対応している)。そして分配率もほとんど変わらない。

 このため、賃金の支払い額がほぼ一定の値になっているのだ。

主要国では日本だけの現象

名目GDPの増加は6%、米国は200%

 日本の名目GDPの推移を見ると、1980年から95年までに名目GDPが104%増えたが、95年から2021年までは6%増えたにすぎない。

 また1995年から2021年までは、実質成長率が名目成長率より高くなっている。

 これは、他の国には見られない特異な現象だ。

 では、他の国はどうか?

 各国の長期的な成長率を比較すると、図表2、3のとおりだ。

 1995年から2021年までの名目GDPの増加率は、アメリカ200%、ドイツ87%、イギリス163%、韓国373%であり、いずれも日本の6%よりはるかに高い。

 とりわけ、日本と似た産業構造を持つ韓国の成長率が高いことが注目される。

 そして、いずれの国でも、日本のような成長率の屈折は見られない。

中国工業化という大きな変化

従来型の製造業は競争力を失う

 1980年代から90年代の中頃にかけて、中国の工業化が軌道に乗った。これによって、それまで先進国の中心産業だった製造業が大きな影響を受けた。

 この影響は日本だけが受けたわけではない。世界の先進国が同じように受けた。それにもかかわらず、日本だけがこの時点で成長が止まったという点が重要だ。

 それは、日本が90年代にバブルの崩壊を経験し、それによる痛手から回復できなかったからだという見方があるかもしれない。

 しかし、バブル崩壊の影響は主として金融機関に生じた。それ以外の産業は、全体として見れば大きな影響を受けていない。

 また、韓国も90年代の末にアジア経済危機によって大きな痛手を受けた。それにもかかわらず、上で見たように高率の経済成長を続けている。

 中国の工業化によって、それまでのタイプの工業製品は安い賃金で製造できるようになった。

 その当時の中国の賃金は、日本から見ればタダ同然だった。1995年の1人当たりGDPで見れば、日本が4万4210ドルなのに対して、中国はわずか603ドルだ。

 このような低賃金国と同じものを作って、競争できるはずはない。

 このため、従来型の製造業は競争力を失った。

 最初は雑貨品などの軽工業などだったが、中国の工業化の進展によって、鉄鋼業が影響を受けた。そして、家庭電化製品に影響が及んでいった。

 これに対して本来行なうべきは、ビジネスモデルを変え、付加価値の高い製品の製造に転換していくことだった。

 高くても売れるもの、品質の高いもの、競争相手がいないものに特化し、新しい分野に活路を求めていくことが必要だった。

 つまり中国と差別化を進めていくことが重要だった。

ビジネスモデルを転換せず、

円安による安易な利益増に頼った

 ところが、日本はそうした方向転換をしなかった。そして、円安政策によって対応しようとした。

 円安とは、日本の労働者の賃金をドル表示で見て安くすることを意味する。つまり、国際的に見れば、低賃金によって生き残りを図ったことになる。

 だから、国内の賃金を一定水準に維持するだけで精一杯であり、賃金を上げることはできなくなったのだ。

 日本の賃金を上げるためには、国際的に見て競争力を持つ製造業に変えていくことが必要だったにもかかわらず、そうした努力を怠ったのだ。

2000年頃の鉄鋼業の復活は

一時的なものでしかなかった

 以上の過程が典型的な形で現れたのが、鉄鋼業だ。

 1990年代に日本の粗鋼生産量は減り続け、高炉の閉鎖が相次いだ。

 新日本製鐵(現、日本製鉄)は遊園地事業に乗り出した。

 福岡県北九州市のテーマパーク「スペースワールド」は、八幡製鉄所の遊休地に90年4月に開業したテーマパークだ。

 ところが、その鉄鋼業が2000年頃から復活した。これは円安の効果だ。

 製鉄業の場合には、原材料のほとんどを輸入する。しかも、さほど大きな付加価値を加えているわけではない。このような産業が中国に移転するのは、歴史的な必然であったはずだ。

 日本の鉄鋼業の復活は、そうした流れに逆行するものと思えてならなかった。

 その当時言われたのは、日本の鋼板、とくに自動車用鋼板は高品質であり、他国では生産できないということだった。だから日本の鉄鋼業は競争力があるというのだ。

 確かに中国の製品に比べれば高品質のものだったのだろう。しかし、それは、中国の低賃金に対抗できるほど高い付加価値のものではなかった。このことは、その後の鉄鋼業の歴史が示している。

 20年の世界粗鋼生産量は、中国が10億5300万トンで日本は8320万トンだ。

 ただし当時は、韓国も鉄鋼業を増強させていった。これは韓国の賃金がまだ低かったことによる。

 1995年の1人当たりGDPで見れば、韓国は1万2573ドルで、中国の603ドルとは大きな差があるとはいえ、日本の4万4210ドルの4分の1程度でしかなかったのだ。

家電製品でも同じことが起きた

「ボリュームゾーン」という安売り戦略

 家庭電化製品について事態が悪化するのは、2000年頃のことだ。

 鉄鋼とは10年以上の差があるのだが、起きたことの本質は同じだ。従来のビジネスモデルでは世界の大変化に対応できなくなったのだ。

 こうして日本は産業構造の転換が進まず、付加価値の低い産業、つまり生産性の低い産業が残ってしまった。円安によって日本の輸出が増えたが、同時に輸入も増えた。このため貿易黒字が増えることにならなかった。つまり、GDPの成長には寄与しなかった。

 この頃、経済産業省は、日本の製造業は「ボリュームゾーン」に活路を見いだすべきだとしていた。新興国用の安い製品を大量に作ることが日本の製造業の生き残る道だというのだ。

 平成8年度(1996年)の『ものづくり白書』でもそうした主張が展開された。

 どうしてこのように誤った路線をとったのか? 本来は技術革新によって付加価値の高い製品に特化していくべきだったにもかかわらず、それができなかったので、従来の生産体制の中での安売り路線を選ばざるを得なかったのだろう。

 しかし、当然のことながら、この戦略も失敗した。

 韓国は、90年代頃には賃金が低かった。したがって、中国の工業化に対しても抵抗力があった。ただし、韓国が低賃金国のままでとどまっていたわけではない。

 韓国は製品の高度化を図った。このため1人当たりの付加価値が増えた。

 2021年の1人当たりGDPは、日本が4万704ドルなのに対して韓国が3万5197ドルと、大きな差はなくなっている(日本の値が1995年より低くなっているのは円安のため)。

 OECDの予測によれば、2040年には韓国が5万9338ドルとなって、日本の5万4307ドルを上回る。

 そして、60年には、韓国は8万3300ドルとなって日本の7万7241ドルの1.08倍になる。

 こうした予測を覆すために必要なのは、20年以上続いた円安政策を放棄し、本来必要である産業構造の高度化を進めることだ。

(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)

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「成果主義で評価する」親が子どもを潰す納得理由 子どもにはその大人の常識は通じない

2021年12月30日 07時29分35秒 | 教育

ここ数年、中学受験は過熱の一途をたどっています。日能研の推計によれば、2021年の首都圏の中学受験人口は6万1700人で、中学受験率は20.8%。東京都に限れば3万1300人で、中学受験率は30.6%にもなるそうです。漫画『二月の勝者』(小学館)がテレビドラマ化されたこともあり、今後いっそう注目を集めていくことでしょう。

中学受験は、子どもが勉強に打ち込み、能力を伸ばしていくための機会として、大変すばらしいものです。親子で困難にチャレンジし、二人三脚で乗り越えて成功をつかむストーリーにも、多くの親が憧れるでしょう。しかし、その負担は体力的な意味でも精神的な意味でも、親子ともにとても大きなものです。負荷が大きすぎて子どもをツブしてしまう危険とつねに隣り合わせなので注意が必要です。

ここでは、『小学生の勉強は習慣が9割』の著者で、20年の指導経験を持つ菊池洋匡氏(中学受験「伸学会」代表)に、「仕事ができる親」にありがちな「子どもを潰してしまう原因」を伺いました。

「成果を出す方法を考えられる子」は少ない

 私がこれまでに指導してきた生徒たちの親御さんは、多くは高学歴で、社会的にも高い地位にいたり、専門的な職業に就いたりしている方でした。

 私立の中高一貫に子どもを6年間通わせようというのですから、ご家庭には経済力が必要です。「中学受験をさせよう」という親御さんに競争社会を勝ち抜いてきた方が多いのは、当然のことかなと思います。

 そのような方の中には、「成果主義での評価が公平・公正」で、「どうやって成果を出すかを考えることまでが大事なこと」と考えている方がいらっしゃいます。確かに、この考え方自体は間違いではありません。ただし、「中学受験をする年齢の子どもは、まだ人生経験が短く、大人に比べて能力的にとても未熟である」ということを考慮すると、この考えには落とし穴があります。

 大人であれば、しかも上場企業や外資系企業などの優秀な人材が集まる場であれば、成果を出す方法まで自分で考えさせることもできるでしょう。

 ヘタに手取り足取りやり方を指導すれば、相手は「決められたとおりのことしか、させてもらえない」と感じ、仕事に対してのモチベーションが下がってしまうかもしれません。自主性を尊重し、自分で考えさせる割合を大きくすることが必要になってきます。

 しかし、中学受験に挑むのは10~12歳の子どもです。自分で成果を出す方法を考えられる子は、大人に比べてグッと少数派になります。10人中、2~3人くらいといったところでしょう。

 このことがよくわかる、ハーバード大学のフライヤー教授らが行った有名な研究があります(※)。

 この研究では、250以上の学校において、小中学生を対象に「ご褒美」による成績アップの効果が検証されています。「ご褒美」が与えられる条件をいろいろと変えてみて、どういう条件のときに子どもの学力が伸びるかを比較検証しているのです。

 「ご褒美」の対象は大きく2つに分けることができました。

 1つは、「学力テスト」や「通知表の成績」といった「成果」に対しての「ご褒美」です。もう1つは、「本を読む」「宿題を終える」「授業に出席する」といった「行動」に対しての「ご褒美」です。

 大人の感覚だと、「行動」に対してご褒美を与えてもいい成果は得られないのではないか、と感じてしまいます。「表面的でうわべだけの行動に終始して、成果につながらない無駄な行動が増えてしまうのではないか?」「やはり結果にコミットすることが大切なのでは?」と。

勉強のやり方がわかっていない子どもは多い

 しかし、成績アップにつながったのは「行動」にご褒美を与えた場合でした。「成果」に対してご褒美を与えた場合には、成績アップはほとんど実現されませんでした。

 なぜこのような実験結果になったのでしょうか?

 確かにどちらのパターンでも、子どもたちはやる気になりました。しかし、「成果」に対してご褒美が与えられた場合には、子どもたちの「勉強する」といった具体的な行動は増えませんでした。ご褒美が欲しくても、具体的に何をしたらいいかわからず、行動を起こせなかった子どもが多かったのです。行動を起こさなければ、成果も得られないのは当然のことですよね。

 それに対して、「行動」にご褒美が与えられた場合には、やることが明確なので、行動できた子が多くなりました。「本を読む」「授業に出席する」といったいい行動が増えたため、成績もよくなったというわけです。

 これは、ご褒美目当ての場合に限った話ではありません。成績を上げたい。クラスアップ(上級クラスに入ること)したい。志望校に合格したい。目標が何であれ同じです。多くの子どもは目標があっても、それを達成するために何をしたらいいかわかりません。だから、何もできないまま時間ばかりが過ぎていくことになります。

 仕事ができる親御さんは「目標を達成するために、何をすべきか考える」ということを自分が当たり前にできてしまうために、「子どももできるはずだ」と思い込んでしまうことがあります。そして、それを考えないのは「やる気がないから」「サボっているから」と判断してしまい、やる気を出すように子どもを追い込んでしまいます。

 これは子どもをツブす原因となるので要注意です。

わが子は「部下」ではない

 仕事であれば、極論、部下は「代替可能」です。「何をすべきか考える能力がない部下は切り捨てていく」という方針は、会社の利益を最大化するための戦略として選択肢の1つです。能力のある社員だけが選別され、生き残っていく成果主義のシステムは、うまく機能する場面もあるでしょう。

 でも、わが子はそうではありません。そうですよね?

 わが子を成績アップに導きたければ、子どもに寄り添いながら、子どもに勉強のやり方から教えていくことを心がけることが必要です。まずは「能力の不足」と「やる気」の問題を分けて考えることから始めてください。とくに、子どもが相手の場合には、ほとんどの問題は「能力の不足なのだ」と思っておきましょう。

 初めのうちは、目標を達成するために「何を」「どれくらい」「いつ」やるのか、考えるのを手伝ってあげてください。そして徐々に手放して、本人だけで考えられるようにしていきましょう。このようなトレーニングをして、能力を身につけさせてあげればいいのです。

 以上、仕事ができる親が陥りがちな子育ての落とし穴でした。自分の常識や感覚を子どもに押しつけると失敗します。その自分の感覚や常識は、「今」「大人の自分が」できることで、「子どもが」できることではないからです。

 成果を出すための「PDCA」的な考え方や、効率のいい学習法などは、年齢を問わず普遍的です。それを教えてあげることは、とてもいいことです。ただ、身につけさせるためには手厚いフォローが必要です。しっかりフォローしてあげてください。そうすれば、お子さんの能力を引き出し、成績アップや受験の合格に導いてあげられますよ。

(※)The Power and Pitfalls of Education Incentives

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「お金に稼がせよう」一生稼げない人に共通する"ケチな考え方"

2021年12月28日 07時30分22秒 | お金持ちの思考

収入を高めるためにはどうしたらいいのか。経営コンサルタントの小宮一慶さんは「稼ぐ人の共通点は、思考力と実行力があり、せっかちな性格だということ。逆に、稼げない人はのんびり派で1つの仕事にたっぷりと時間をかけ、仕事に取りかかるまでが遅い。『お金に稼がせよう』などと調子のいいことを言う人もまず稼げません」と断言する――。

※本稿は、小宮一慶『新時代の堅実なお金の増やし方』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

賃金格差はますます拡大する

現在、賃金格差が拡がっていますが、この傾向は今後も間違いなく続きます。最低賃金で働く人がいる一方で、年収が何億円、何十億円という経営者がこれから増えてくるからです。

これにともない、1つの企業内でも賃金格差が拡大します。年収1億円以上の経営陣と、年収400万円で定年まで働く社員という格差です。

経営者の賃金が上がるのは、優れた経営者を雇うためです。年収を上げないと、優秀な経営者を雇うことができず、優秀な経営者がいない企業は競争に勝てません。会社全体の成績は経営者で決まるからです。競争に勝てない企業は衰退の一途をたどることになります。

こうした事態を避けるために、優秀な経営者の奪い合いが始まりつつあり、その結果、経営者全体の賃金が高額化することは、ほぼ間違いないと私は考えています。

日本の大企業の経営者や役員の現在の年収は、世界的に見ればそれほど高くなく、これからグローバルスタンダードに合わせて上がっていきます。

現在は、年収10億円以上もらっている経営者のほとんどは外国人ですが、これからは日本人経営者でも年収10億円以上もらう人が出てくるでしょう。それで優秀な若い人たちが日本の大企業の経営者になりたいと思うようになり、日本企業が良くなるのなら安いものです。

現在、一番得をしているのは、儲かっている中小企業の経営者で、なかには業績の良い会社を経営し、年収1億円以上の経営者を私は何人も知っています。こうした事実は、あまり知られていないのかもしれませんが、中小企業の経営者が1億円もらっているのであれば、大企業の経営者が10億円以上もらっても何らおかしくはないでしょう。

以前は、大企業に新入社員として入社し、出世競争を勝ち抜いた人だけが大企業の経営者になれましたが、今はこうした生え抜きの経営者だけでなく、プロの経営者が経営を任される時代になりつつあります。

お金をガンガン稼ぎたいなら、経営者を目指すのも選択肢の1つです。

そのためには、まずは社内で通用する人材になること。社内で通用しない人が、社外で通用することはありません。

企業にとって一番有難い社員は、他社に転職すると給料が上がるけれども、「この会社が好きだから」といった理由で転職しない人です。逆に、他社に転職すると給料が下がるような人は、現在の会社でもいらないと思われている可能性が高いでしょう。

「中小企業は給料が安い」と言われています。全般的には確かにその通りだと思いますが、中小企業のなかにも給料の高い企業はあります。

逆に、「大企業は給料が高い」と言われますが、生産性の低い大企業は給料が年々安くなっています。中小企業のなかでも、大企業のなかでも、二極化が進み、今後も賃金格差が拡大していくことになります。

稼ぎたい人は、「大企業か、中小企業か」で就職や転職を考えるのではなく、「稼いでいる企業かどうか」そして、「自分が活躍できるかどうか」で判断することが何よりも大事になります。

お金を稼ぐ人の共通点

稼ぐ人は、思考力と実行力がある人ですが、もう1つ共通してもっている特性を挙げるなら、みなせっかちだということです。私の知る限り、のんびりした性格の人で、お金を稼いでいる人はあまりいません。

生まれもってお金持ちという人のなかには、のんびりしている人もいるかもしれませんが、稼いでお金持ちになった人は、せっかちな人が大半でしょう。

せっかちな人は、せっかちなだけに時間管理が上手で、時間当たりの生産性が他人よりも何倍も高い傾向があります。時間は誰にも平等に与えられていて、1日は24時間と決まっています。ですから、その24時間の使い方で稼げるか、稼げないか、明暗が分かれるのです。

「タイムイズマネー」「時は金なり」と昔から言いますが、まさしくその通りで、平等に与えられた時間をどう活用できるか、時間当たりの生産性をいかに上げられるかで稼ぎが決まります。

最初から割のいい稼げる仕事ばかりがくるなどという都合の良いことは絶対にありません。割りの悪い仕事が回ってきたときに、いかに自分なりに工夫をして、自分の時間当たりの生産性を上げるかが大事になります。割りの悪い仕事がきたときこそ、稼ぐ力を向上させるチャンスなのです。また、それ以外の「to do」もできるだけ早くこなすことです。

それほど稼げない仕事を8時間でやる人、6時間でやる人、4時間でやる人がいます。

8時間でやる人に比べて、6時間でやる人には2時間、4時間でやる人には4時間、別の仕事、あるいは別の何かをする時間が生まれます。

「人は与えられた時間で、すべてのことをする」と言われていますが、与えられた時間を全部、ある仕事に使っていたら他人と同じか、他人以下の稼ぎにしかなりません。

仕事の時間を自分が決め、その時間内に仕事をやり終え、残りの時間をどう使うのか。仕事以外の時間も含めて、どのように時間を使っていくのかが問われるのです。私の人生の師匠(曹洞宗の僧侶・藤本幸邦さん)がおっしゃっていたように「お金も時間も使うもの」ですが、上手に使いたいものですね。

そして、仕事の評価は、アウトプットの量と質で決まります。それらを高められたら、次により難しい、つまり、より稼げる可能性のある、少なくともより評価の上がる仕事がきます。ここがポイントです。割りの悪い仕事であっても、良いアウトプットを続けていれば、割の良い仕事が回ってくる好循環に変わるのです。

「お金に稼がせよう」

こんな調子のいいことを言っている人もいますが、こうした人はまず稼げません。お金に稼がせることを考える前に、まず自分が稼ぐことを真剣に考えるべきなのではないでしょうか。

お金を稼げない人の共通点

一番良いのは、外見からはせっかちに見えないけれども、内心はせっかちという人でしょうか。しかし、私の周りは、せっかちが外見からにじみ出ている人たちばかりです。

裏を返せば、稼げない人というのは、せっかちではない人。せっかちではないがゆえに、1つの仕事にたっぷりと時間をかけてしまいます。だから時間当たりの生産性が上がりません。

また、1つの仕事に時間がかかってしまう人を見ていると、その仕事に取りかかるまでが遅いという共通点があります。新しい仕事に取りかかる前に、何か余計なことを考えているのか、何も考えていないのかは分かりませんが、とにかくすぐに仕事に取りかかろうとしません。スタートが遅ければ、ゴールが遅くなるのは必然でしょう。

そして、仕事が遅いと次の仕事がこなくなります。「仕事は、仕事ができる人、仕事が早い人にやってもらえ」とよく言いますよね。

忙しい人は、忙しいなかでも独自の工夫をして、何とか締め切り期日までにその仕事を終わらせようとします。だから、さらに仕事が早くなり、こなせる仕事の絶対量が増えていき、人からの評価が高まり、仕事ができる、稼げる人になります。経験値も当然それだけ早く増えます。

仕事ができれば出世できますし、出世できれば給料も上がり稼ぎが増えます。出世すると、部下も増えますから、チームとしての仕事のアウトプット量を個人のときよりも何倍にも増やすことができます。なおかつ、自分にしかできない仕事に専念できます。自分で全部やらなければならない人に比べて、圧倒的に稼げるわけです。こうした稼げる好循環に入れるかどうかも大事なことです。

---------- 小宮 一慶(こみや・かずよし) 小宮コンサルタンツ会長CEO 京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学、東京銀行などを経て独立。『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座2020年版』など著書多数。 ----------

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「南京大虐殺30万人に根拠なし」を支持した別の教師、精神科に強制的に送られる?―中国

2021年12月28日 07時22分03秒 | 海外情報

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南京事件について不適切な発言をしたとして処分された女性教師を支持する発言をしていた別の女性教師が強制的に精神科に送られたと報じられた。

南京事件について不適切な発言をしたとして処分された女性教師を支持する発言をしていた別の女性教師が強制的に精神科に送られたと報じられた。

中国メディアの財新網によると、湖南省湘西トゥチャ族ミャオ族自治州永順県の教師・李田田(リー・ティエンティエン)さんは19日、自身のSNSに「昨日、永順県の教育局と公安局に脅された。精神に問題があるという理由で入院して注射を打ち、治療するよう要求され、従わなければ除名して逮捕すると言われた」と投稿した。

李さんの知人男性の崔(ツイ)さんは前日の18日午後7時ごろ、李さんから微信(WeChat)で助けを求められたことを明かし、「教育局と公安局の人間7~8人が突然やってきて、微博での発言に関する資料に自分は間違っていたことをサインするよう求められた。除名などをちらつかせて圧力をかけられた」と証言。別の知人も李さんから助けを求める連絡があったとしている。

記事によると、この騒動のきっかけは宋庚一(ソン・ゲンイー)さんの事件とみられる。

上海震旦職業学院・東方電影学院の教師だった宋さんは、授業で「南京大虐殺(犠牲者)30万人というのは、実際のデータの裏付けはない。民間で言われているだけ」「当時の日本軍が南京でどれだけの人を殺したのか。死んだのは誰か。名前があるのは誰か。姓も名前も身分証もないなら、この30万人は中国の歴史小説で書かれた概説にすぎない」などと発言。学生らから告発を受け、16日に同校から除名処分を受けた。

李さんは17日に自身の微博で「宋先生への支持を改めて表明する。沈黙する大多数にはなりたくない。同業者として、彼女の授業は全く問題ない。問題があるのは彼女の学生たちと、彼女を除名した学校、当局の報道、および沈黙している知識人たちだ」などと訴えていた。

19日、李さんは知人に「強制的に精神科に入院させられる」とのメッセージを送信して以降、連絡が途絶えた。なお、李さんは妊娠中だという。

中国メディアの北晩在線は23日、「これが真相だ!」と題して李さんの母親と姉への取材内容を報道。2人が「本人は長期的にうつ病を患っていて、最近病状が悪化している。家族が心配して病院に連れて行き、治療している。『強制的に病院に連れていかれた』というのは誤解。騒がず、本人が安心して治療できるようにしてほしい」と語ったと報じている。(翻訳・編集/北田

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年金を月19万円もらえる人は、現役時代にどのぐらいの収入がある人ですか?

2021年12月26日 08時18分30秒 | 年金対策

年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。年金を月19万円もらえる人の現役時代の収入はいくらなのかについて、専門家が回答します。老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。

そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を月19万円もらえる人の現役時代の収入はいくらなのかについてです。

 

Q:年金を月19万円もらえるのは、現役時代にどのぐらいの収入があるの?

「会社員が将来年金を月19万円もらうには、働いているときに、どのぐらいの収入が必要ですか?」(38歳・会社員)

 

 

A:年収の目安は684万2400円(月額57万198円)です

今回は、将来年金を月19万円もらえる現役時代の収入について計算してみます。

 

会社員は、受給要件を満たすことで原則65歳から老齢基礎年金と、老齢厚生年金を受け取れます。老齢基礎年金は、未納期間・免除期間が全くない人は、月額6万5075円(令和3年度満額)が受け取れます。

老齢厚生年金は、現役世代の収入金額(給与など)と勤続年数によって、次の計算式で計算されます。

(1)平成15年3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間

(2)平成15年4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(※)

※スライド率等については省略。乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用。

相談者は令和3年現在38歳。つまり、1983年(昭和58年)生まれですので、20歳から国民年金に加入し、その後、22歳以降60歳まで(38年間)、厚生年金に加入した場合で計算してみたいと思います。

なお、相談者が会社に入社した年(22歳)は、平成17年(2005年)となりますので、老齢厚生年金を計算するときは(2)の平成15年4月以降の計算式のみを用います。ボーナス込みで、38年間の年収の変更は考慮しません。

この条件で考えると、相談者は老齢基礎年金は令和3年度で満額約6万5000円を受給できることになります。そのため、毎月19万円の年金を受け取るには、老齢厚生年金は月額12万5000円(19万円-6万5000円)受け取る必要があります。

老齢厚生年金を月額12万5000円(年額150万円)受け取るための年収を(2)の計算式で計算すると下記のようになります。

●計算式

・平均標準報酬額×5.769/1000×456カ月(加入期間)=150万円(年間の厚生年金受給額)

・平均標準報酬額=150万円/(5.769/1000×456カ月)≒57万198円

平均標準報酬額を年収に換算します。

・57万198円×12カ月≒684万2400円(年収)

このように、毎月年金19万円を受け取るための生涯平均年収の目安は、684万2400円(月額57万198円)となります。

ちなみに、もし専業主婦の配偶者がいた場合、配偶者の老齢基礎年金が年額6万5000円受け取れ、夫婦2人の年金受給額は25万5000円になります。

さらに要件を満たせば、厚生年金加入者の老齢厚生年金に配偶者加給年金が上乗せされます。令和3年度の配偶者加給年金の金額は、39万500円(昭和18年4月2日以後生まれの特別加算額を含む)です。配偶者加給年金は、配偶者が65歳になるまで加算されますので、メリットは大きいです。

相談者が配偶者加給年金額が受け取れる場合、年金受給額の25万5000円にさらに加算があるため、総務省で調査した平均的な高齢者夫婦2人の支出額である月23万円を上回ることになるでしょう。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

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