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最後の車の買い換え

2006-09-23 | 心の体験的日記
来年までには買い換えたいと思う
あと10年は運転したい
しかし、今乗っているセーバーは、運転技能が衰えて
きたためか、車庫入れであちこちぶつけるようになった
したがって、
これより小さい車にしたいのだが、
さて、適当名な車があるかどうか

これまでお世話になっているところから
買うしかないので、選択枝もそれほどはない

振り込め詐欺の心の操り術を知る

2006-09-23 | 安全、安心、

06/9/23/海保


「オレオレ詐欺、架空請求書詐欺の心の操り術を知る」



●架空請求書詐欺、オレオレ詐欺が多発しています。

そんな詐欺の被害者にならないように、その手口を心理学的に解剖してみたいと思います。



●詐欺師の多くは、人の心をあやつって金をもうける、「マインド・ビジネス」の悪質化したものです。

架空請求書詐欺もオレオレ詐欺も、「誤った思い込み世界」への誘導技術がポイントになったものです。



●まず、「架空請求書詐欺」です。

正当な権威を装って、請求書を送りつけて、手ごろの額を振り込ませてしまう詐欺です。



道具立ての一つは、法律用語と官公庁まがいの請求者による「権威づけ」です。弁護士事務所や債権回収センターといった類いの名称を使います。



もう一つの道具立ては、誰もが一瞬その正当性を信じてしまうような請求案件のでっち上げとです。インテーネットやサイト使用料金などです。



人間は権威には弱いところがあります。特に法律違反をしていなくとも、警官の姿をみると、どきっとします。あの心理です。

自分の側にほんのちょっとでも弱味があるときは、権威の命ずるまままに動かされてしまいます。



●次は、もっぱら高齢者を狙った「オレオレ詐欺」です。

オレオレ詐欺も3つの道具立てを使います。



一つは電話。

電話はコミュニケーションの道具としては性能があまりよくありません。音そのものがよくありません。おまけに顔を見えません。その性能の悪さが嘘を見抜けなくさせています。



2つ目は、家族のトラブルのでっち上げです。

特に高齢者は、家族への思いは強いものがありますから、「家族がトラブルに巻き込まれた」との電話は、高齢者を一気に頭真っ白、目が点のパニック状態に陥れ、まともに頭が働かないようにして、嘘の世界を真実と思い込ませてしまいます。



3つ目は、時間切迫です、

払い込みがおくれると、事態がもっと悪くなると言って、急がせます。思い込みの世界から脱出できないようにする道具立てです。



思い込ませてしまえば、後は思いのままに高齢者を動かすことができます。郵便局の人が「オレオレ詐欺ではありませんか?」と聞いてもだめ、もっと悲劇的なのは、二度もお金を払い込んでしまう人さえいます。



●さて、対策です

一つは、「無視すること」

へたに相手に連絡をとると、着信記録が相手に残ってしまいます。それが次の被害をもたらします。

また、相手の語りの巧さに負けてしまします。



もう一つは、「人に相談すること」

思い込みは、自分の力だけでそこから抜け出るのはかなりしんどいところがあります。自分の思いを人に話すと、思い込みから抜け出るきっかけがみつかります。








朝日新聞朝刊生活欄04/10/8日付け許可済み

「おれおれ詐欺の心理テクニックと被害防止策」

****は海保の書き込み(心理学的解釈)***で



 受話器を取ると、相手は、落ち着いた声の男性だった。

 「今野道代さん_仮名_のお宅ですか。品川警察署の者です」

***警察という権威をよそおうことで、話しの信頼性を高め、さらに相手より心理的に優位に立つ



 9月中旬の平日午前_時半ごろ。小平市の主婦今野陽子さん(?)_同_は、自宅にかかってきた警察の電話で突然、次女(?)の名前を聞かされ、驚いた。

 「本日、板橋区大和町の?号線で、道代さんの車が接触事故にあいました」

**「、娘の事故」と聞いただけで、母親は認知的にパニック。頭真っ白、目が点。正常な思考、判断ができなくなる。



「エッ、道代は?」

 「これから順序立ててお話します。お気持ちは分かりますが、落ち着いてよく聞いてください」

 《道代はどうなっているのか、私はそれをまず知りたかったのですが、相手はたたみかけるように話を続けてきました》

***「たたみかけて」一気に自分達のペースにのせる。そのために、最もらしい物語りを聞かせる。

***思い込み対策その1「疑問は、ともかく口に出して聞く」(思いの外化に寄る調整)




 「相手は自転車に乗っていて、ハラダカツヨさんという?歳の女性です」「道代さんは会社やお友達に連絡するより、まずは実家の連絡してくださいとのことでしたので、ご連絡しました。お母様ですね?」

 「はい」

 ***「疑問を口に出させないように、すぐに答えられる質問をしてくる」



《相手の説明に、はいはいとこたえるしかありませんでした。ただ、道代は車の運転が好きではありません。話を聞きながら、半信半疑でした》

 「道代さんはムライアイコさんの白いバンに乗って運手していたそうです。アイコさんはお友達ですか、同僚の方ですか。アイちゃん、と呼んでいるそうですが」

 「アイコさんは同乗していたのですか?」

 「今は分かりません。道代さんは、アイコさんをかばっているのか、お話しません」

 《聞いているうちに、本当に道代が運転していたのだと思い始め、だんだんドキドキしてきました》

***すでに架空の思い込み世界に入り込んでいるる。ここまでくると相手の言うがまま。



「もう一度、詳しく話を聞かせてください」

 

**ここで、ともかく理由をつけて、一旦、電話を切るのが一番。(思い込み対策その2は、「現場から離脱すること」)



「私は警察の者でお知らせをしています。今後は、検事からお聞きくださって、相談してください」

 「ちょっと待って。道代はどこにいますか」

 「品川の簡易裁判所の拘置されています。相手のハラダさんが東京海上火災の国選弁護人を雇われたので、電話を代わります」

 陽子さんの耳に、遠くの方で、「今野道代さんのお母さんです」と電話を代わる声が聞こえた。電話口に出てきたのは、警察官と同じ高めの声音で、やはり穏やかな口調の男だった。

**電話の持っている不透明性を逆に利用して、真実性を装っている

**権威の構造をみせてさらに心理的に優位に立つ。また、人をかえることによって、物語りの迫真性を作り出す。



「弁護士のナカヤママサシといいます。道代さんはとても優しく、まじめな方で、大変なショックを受けています。お気の毒です」

***「お気の毒です」の一言で、感情的な一体感さえ持つようにしてしまう。



 そうして、次のような説明を始めた。

**物語は、細部の正確さや矛盾を隠してしまう効果がある。



道代さんは制限速度で走っていたが、自転車に乗ったハラダカツヨさんが横断歩道でないところを飛び出してしまった。幸い、車の正面ではなく横にぶつかったので、大けがではなかった。倒れただけだった。道代さんが車の窓を開けて「大丈夫ですか」と聞き、ハラダさんは「大丈夫」と答えた。道代さんは車から降りず、そのまま去った。

 しかし、実は女性は妊娠6カ月で、縁石におなかをぶつけたため、念のために病院へ行った。すると流産だった。本人には本当のことは知らせていないが、夫は大変ショックを受けている。結婚して4年目で待ちに待った赤ちゃんだったらしい。夫は、「妻も悪いが、心からの謝罪をやっていただかないと困る」と言っている||。

 《女性が妊娠、と聞いた瞬間に、私の頭は真っ白になってしまいました。相手が道代と同じ?歳、ということも、ますますひとごとでないと思わせました》

 ナカヤマの話は続いた。

 「道代さんに非はなかったとはいえ、車から降りず、走り去ってしまったのでひき逃げになります。過失致傷で6年の刑が執行されます」「裁判は第一審、第二審というのがありまして、今日が第一審です」

**法律用語はめくらましとしては最適。ある程度は意味がわかりるが、かといって本当のところはわからない。何か大変なことが起こりそうとの予感を持たせるのに効果的。さらに、そんな言葉をあやつる人は権威の象徴のように思えてしまう。

これも心理的に優位に立つ仕掛けの一つ



、ほん《ずいぶん急展開な話、とは思ったのですが、すでに気が動転していますので、問いただすこともしませんでした》

 「ただ、ハラダさんが、もし道代さんには過失はないと認めれば、?日間の拘留で済みます。けれども、道代さん側が保釈金を払えば、今日、出られます」

 《話を聞いてすぐ、道代が最近出張から帰ってきたばかりで、今仕事から手が離せないほど忙しいと言っていたのを思い出しました。また、会社に知られたら良くないとも思い、今日のうちに、と思いました》

「おいくらですか」

 「200万円です。出せますか?」

 「はい」

 「現金ですか、振り込みですか」

 「現金を直接、そちらへ持っていきます」

**「直接持参」は相手にとっては、困ったとなります。、今野さんは、これで冷静になるための時間稼ぎができます。



「第一審は?時半にあります」

 「もう?時近くで、そちらへ向かうには、2時間近くかかります」

 「お宅はどちらですか」 「小平駅です」

***時間切迫の状況を作って、思い込みから脱出できないようにする。

***思い込み対策その3「対応する行為をするのに、間合いを入れる」)



「それは無理ですね。それでは、電車に乗られる前に、こちらへ電話をしてください。私の連絡先は、(携帯電話の番号)。お金は、普通預金から出されるのですか?」

 「定期預金です」

 「普通預金ではだめですか」

 「お金がほとんど入っていません」

 「いくら残っているのですか?」

 「……」



**多額の現金の引き降ろしがすぐにはできないようにしておく。

***思い込みい対策その4(リスクのある行為は、やりぬくくしておく「フールプルーフ化」)



《このやり取りのあたりでさすがに、どうもおかしいな、と思い始めました》

 「では、お金を降ろしたら、連絡をください」

***これ以後の対応は、夫への「連絡」と「活用」が遅かった以外は、適切。



電話が切れた後、陽子さんは急いで道代さんの名刺を探し出し、道代さんの職場へ電話をした。

 あいにく、道代さんの姿は今見あたらない、とのことだった。道代さんの夫に連絡し、状況を話すと、そんな話はおかしいですよ、と笑われた。念のため、地元の警察署に電話をかけ、板橋区大和町に事故があったかどうか、品川の拘置所に道代さんがいるかどうか、調べてほしいと頼んだ。

 2階にいた夫が、1階で陽子さんがバタバタしているのを聞きつけて、「どうした?」と聞いてきた。

**もっと早く夫を呼ぶべき。

**思い込み対策その5(人の助けをかりる「助けられ上手」になる)



《けれども、すっかり私は慌てているので、「ちょっと待って」とこたえるので精いっぱいでした》

 すると、ナカヤマから、前の電話から5分を待たずに、次の電話がかかってきた。

 「定期口座ですと、お金を降ろすときに銀行から理由を聞かれます。このように(内容覚えておらず)理由をこたえてください」

 その後、すぐに地元の警察から電話があり、板橋区の事故も拘置所の件も、実際にはない、とのことだった。

 5分後ほどに、再び電話があった。「ハラダというものです」。被害者の夫を名乗った。「待ちに待った子どもだったんです。謝罪をしていただきたい」。泣き声だった。

落ち着きを取り戻した陽子さんは初めて、その演技臭さを感じた

***「道代と連絡がとれました」と一言いって、電話を切っておしまい。(取材は朝日新聞東京本社生活部 山田 史比古)



「おれおれ詐欺や架空請求書詐欺を支えるIT技術」

・携帯電話 足がつかない/仮想世界をつくり出しやすい

 対策 プリぺード式を廃止する

・ATM いつでもどこでもお金を振り込める

 対策 一定額以上の振り込みには手間ひまがかかるようにし    ておく

・個人データベース ターゲット層を簡単に絞り込める

 対策 名簿販売の禁止をする 



いずれの対策も、自由な経済活動とのバランスをとるのが、難しい。しかし時限立法で被害を食い止める即応性がこれからの政治と行政には必要。もぐらたたき戦術しか、当面はない。

 膨大な資金が暴力団や犯罪集団に流れているのを放置したままという政治や行政や警察にも納得がいかないものを感ずる。石原都知事のこわもて対策が歌舞伎町を静かにしたそうだが、その気になれば一定の効果のある施策ができるのだ。安全に守ってくれるということを高い税金を払って国民は行政と政治に付託しているのだということを自覚してもらいたい。

 無視すればよいだけでは太刀打ちできない。相手はプロの犯罪集団なの

振り込め詐欺の被害者にみる日本人のメンタリティ(心性)

1)母子密着

 アメリカで活躍していて20年ぶりくらいに帰国したある教授によると、こういう詐欺事件はアメリカでは聞いたことはなかったし、起こり得ないのではないかという。

 その理由は、2つ。

 一つは、母子分離がきちんと出来ているので、成人した子供の尻拭いを親がすることはありえないというのが理由の一つ。

 もう一つは、金銭決済の方式が小切手なので、お金が決済されるまで時間がかかるというのがもう一つの理由。

 後者の理由は、こうした詐欺事件が多発したら、銀行側でとるべき対応のヒントになるはずだが、その気配はまったくない。

2)リスク感覚の欠如

 関西人は、この詐欺にあまり引っ掛らないらしい。

 また、もっぱら、専業主婦が被害者になる。

 そこには、リスクに対する感受性の欠如があるように思える。

 100万単位のお金の振り込みには、崖から飛び下りるようなリスクがあると思うのだが、いかに大切な人のためとはいえ、いとも簡単に振り込んでしまう。

 商売をしている人なら、そんなことはまずありえない。金銭の移動に関しては最大限のリスク感覚を発揮するように習慣づけられているからである。

 その点、関西人は、商売人ならずとも厳しい金銭感覚、さらには、”ホンマカイナ-”に見られるようなリスク感覚を身に付けているので、詐欺師も警戒しているのかもしれない。

 関連して余談を一つ。

 インターネットショッピングがかなり普及しているようだ。一体、買う人は、どれくらいのリスクを見込んでいるであろうか。あるいは、どのようにしてリスクを計算しているのであろうか。詐欺行為も多いのに。とても恐くて自分では手を出せない。



振り込ませ詐欺;なぜ何度も振り込んでしまうのか」

 セールスなどの技法の一つに、「段階的要請法」というのがある。小さいことをまず受け入れさせてから次第に大きなもの(本物)を買わせるのである。まず低い障壁を越えさせるのである。

 昨日の新聞には、28歳の女性が、12回にわたり、1200万円を振り込んだ詐欺が報道されていたが、そのテイクニックがまさに段階的要請法だった。心理学が悪用されたのかも。だったら、やはり、心理学で武装しないといけない。

 さらに巧妙なのは、電話してくるのを待つ手法。これも巧みなマーケッティング手法。懸賞応募やお問い合わせ手法と同じ。見事にターゲット絞りをお客のほうにさせてしまうのである。

 とうとう我々の大学関係者にも、架空請求書が来たらしい。警告が事務から回ってきた。

 

心理学ってどんなもの 高校生へのメッセージ

2006-09-23 | 教育
03/5/7海保
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24文字 170行 写真 図を含む
蛍雪時代7月号「私の教育・研究ノートから」

筑波大学心理学系 海保博之 教授

●筑波大学人間学類心理学専攻について、内容を教えてください。
<<<19年度より心理学類に制度変更>>>>
 筑波大学は、他の大学とはシステムが異なります。人間学類の「学類」は「学部」に、心理学専攻の「専攻」は「学科」にほぼ対応します。ただ、「学類」はあくまで教育のための組織で、そこで教える教官は、研究組織のくくりである「学系」に所属しています。教官に会いたいときには、26ある学系の建物へ行くことになります。
 さて、筑波大学人間学類ですが、定員120名です。その中が、心理学専攻、教育学専攻、心身障害学専攻の3つに分かれています。2年生になると、専攻に分かれますが、専攻間に人数の著しいアンバランスがあるときは、成績で選抜します。
 専攻学生数がいつも一番多い心理学専攻は、「実験心理学(動物・生理心理学と感覚知覚心理学)」「認知教育心理学」「発達心理学」「社会心理学」「臨床・カウンセリング心理学」の5つの分野から成っています。関係している教官の数は約30名です。これほどの多彩な領域を一つの教育組織でカバーしているのは日本では筑波大学だけです。
 大学院も、2年制の修士課程(教育研究科)と、5年一貫性の博士課程(人間総合科学研究科)とが用意されています。
●心理学とはどういう学問ですか。
 心理学の目的は、心と行動についての法則を、科学的な方法論に従って見つけ出すことです。
 頭だけを使って(思弁で)心を考えるのが哲学であるのに対して、データに基づいて心と行動を考えるのが心理学です。
 そのためには、データの集め方、データから法則を引き出す推論の仕方を学ぶ必要があります。ここのところは、物理学や生物学などの自然科学と同じです。
 ただ、最近になって科学として心と行動を解明することに加えて、心のケアへの貢献という実践的な課題への社会的な要請が強くなってきています。医学と同じように、基礎と臨床との両方が心理学に求められるようになってきています。
●今、人間の心はどこまで解明されているのですか。
 アリストテレス(364B.C.-322B.C.)が今生き返って、心理学の概論書を読んでも理解にさほどの困難を感じないであろうと述べた心理学者がいます。つまり、2000余年の間---現代心理学の歴史は100年余の歴史しかありませんが---心の科学が進歩しなかったというわけです。
 確かにそういうところもあるのは否定しません。
「古い酒を新しい皮袋に入れる」、つまり、古い問題を新しい観点から捉え直してみる、というようなテーマが営々と研究されてきました。意識の問題や遺伝・環境問題などなどです。このあたりは、新しい皮袋が見つかるたびに、問題がリセットされますので、またあの問題ということになります。
 しかし、個別のテーマでは、着実に進歩しています。とりわけ、脳と心の関係については、脳計測の技術の進歩によって、かなりのところまでわかってきました。また、心のついてのさまざまな誤った考え方や偏見を正すのにも貢献してきました。さらに、心のケアにも有効な技術が考案されてきました。
 ただ、心は開放系です。限定した領域を設定できないため、研究すればするほどますますわからなくなるようなところがありますし、あらたなテーマが生まれてくるようなところもあります。多分、心理学の研究は、こんな形で永遠に続くのではないでしょうか。
●実験心理学というのがありますが、心理学の研究はどのように行なわれているのですか。
 心理学の研究方法には大きく分けると、実験法、調査法、観察法があります。実験心理学という名称は、実験法によって心を研究する心理学ということになりますが、伝統的に、感覚知覚や動物生理の領域での研究を意味しています。しかし、この名称もだんだん領域名称に変わってきています。
 3つの研究方法に共通しているのは、データです。データの集め方が実験か、調査か、観察かという違いです。
 実験法は、実験室で実験者が用意した刺激に対して見えたか見えないかを聞いたりして、その正誤数を測ったりします。調査法は、たくさんの質問を用意して、たくさんの人に答えてもらい、それぞれの項目の選択率などを計算します。観察法は、ある場面で人がどのようにふるまうかをチェックします。
 いずれも、集めたデータを解析して仮説が検証できるかどうかを、もっぱら統計的に吟味します。ここのところで、多少、数学的な知識が要求されますが、実際の計算は、今は、コンピュータがやってくれますので、楽になりました。
●先生の現在のご研究「わかりやすさの認知心理学的研究」についてご紹介ください。
 最初に取り組んだのは、マニュアル(取扱説明書)のわかりやすさの問題です。コンピュータが急速に普及したため、十分な知識のないユーザ(使い手)がコンピュータを使うようになってきました。そこで、マニュアルの中で、その使い方を説明することになるのですが、それが、ユーザからすると皆目わからないのです。
 そこで、ユーザがマニュアルに期待するものを調査法を使って調べたり、実験室で実際のマニュアルを読みながらコンピュータの操作をさせるところを観察しながら、どこでどのようにユーザがつまずいたり、エラーをしたり、わからないと言うのかを調べました。
 その結果に基づいて、マニュアル作りをしている方々に対して、このように説明してくれればわかりやすくなるはずという提言をおこなってきました。たとえば、
 ・1文で1動作を説明する
 ・文と絵を併用する
 ・最初に操作の目標をみせる
 ・目次には専門用語を使わない 
 ・操作の結果を示す
 ・イラストは斜め上に視点を置いて描く
 さらに、こうした提言をマニュアル制作者が共有できるように、テクニカルコミュニケーター(TC)協会を作り、検定試験なども実施する活動をしてきました。
 おかげで、日本四大悪ドキュメント(文書)の一つと言われていたマニュアルも、今ではかなり改善されてきています。ちなみに、あと3つは、裁判の判決文、官僚文書、学者の書き物です。
 マニュアルについて得られたこうした知見は、文書一般、さらには、急速に普及してきた電子機器の画面設計などにも生かせることがわかり、そちらについても、わかりやすさの研究が広がりました。
 現在は、医療、工場、職場などにおいて、わかりにくいために起こるヒューマンエラーの問題にも手を出しています。
●今、学校カウンセラーや医療機関のカウンセラーとして、臨床心理士などが注目されていますが、こうした心理専門家の可能性についてお話ください。
 心理専門家への道は今、急速に拡大しています。不幸なことではありますが、子どもから大人まで、学校や職場で、心の病や不調に悩む人々が増えてきたからです。 たとえば、交通事故の年間死者の数が、去年、長年続いていた1万人越えから大幅に減ったのに対して、自殺者の数がここ3年間、3万人を越え続けています。
 精神医学だけでは手におえない心の病や不調があります。そこでは、心理専門家によるサポートの必要のようです。
 ただ、残念ながら、心理学にはまだあらゆる点で、医学ほどの力はありません。目下、力をつけるべく、臨床心理士対応の大学院修士課程を作られつつあります。心理学の諸学会でも各種の資格を出しています。さらに、国家資格を作って、パワーアップと人材の養成に本格的に乗り出そうとの本格的な動きもあります。
 今後5年くらいの間に、心理専門家の認知度も急速にあがり、力のある心理専門家が増加することが期待されています。
●心理学を志す諸君へのメッセージをお願いします
 心理学は、理系的な人でも文系的な人でも、それぞれ自分を生かせる領域があります。入学試験も、数学と社会の選択にしているところもあります。生き物と心に興味のある諸君なら誰でも楽しく学べるものが、心理学の中にはあります。
 心理学のもう一つの特徴は、図に示すように隣接諸学問領域との関係が深いことが挙げられます。ですから、隣接学問のほうから心理学へ、あるいは、その逆、というように、自分の好みに応じて出入りが自由にできます。この自由さも心理学の魅力の一つです。 
 「柔らかく考えて硬く学ぶ」のが心理学です。
******ここから下は、ページ調整用です。削除しても良い部分です*****
 最後に、筆者が最近、受験生向きに書いた心理学への道案内の書「心理学ってどんなもの」(岩波ジュニア新書)を紹介させてください。「1部 心についての素朴な疑問に答える」「2部 心理学の研究はどのようにおこなわれているか」「3部 心理学はどのように役立っているのか」の3部構成になっています。ぜひ、読んでみてください。
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用件メールは3件のみ

2006-09-23 | Weblog
最近のスパムは、男名で「ごぶさた」「ひさしぶり」のタイトルでくることが多い
つい開けてしまう
そんなものをまとめて削除しようとして、その中に、用件メールをみつけた
用件1件に、10件の「スパム」とメルマガが10件、という比率

返事がないときには、うっかり削除の可能性も考えて、再度メールすることをすすめる。