● 呼吸にみる心身一如
心身一如に関連して、呼吸を例にして、もう少しこみいった話をしてみます。
息を吸ったり吐いたりする呼吸。これが止まれば死にます。
普段は、まったくなんの苦労もなく、1分間に20~30回くらいの呼吸を繰り返しています。おかげでなんの苦労もなく生きていけます。
ところが、この呼吸、一定の範囲内ですが、自分の意志で簡単に止めたり早めたりすることができます。
ところが、ひとたび何かあると、意志とは無関係に呼吸はそれに呼応して速くなります。
このように呼吸は、
普段通り自律的に動く
緊急時に反射的に速くなる、
そうしたい時にはそうできる
の3つに局面を持っているのです。前の2つは意志とは関係なく無意識的に動きます。ことばを変えて整理すると、次のようになります
○無意識的(不随意的)
自律的
反射的
○意識的(随意的)
となります。
そして、よくよく考えると、からだの働きの至る所で、この3つの局面があることに気づかされます。
たとえば、歩くことを例にとってみると、
○無意識的(不随意的)
自律的―――普通に歩いているとき①
反射的(自動的)―――突然、自転車が近づいてきたときに②
○意識的(随意的)―--いつもより速く歩くとき③
(番号は、後の話で使う参照用)
この分類で、心身一如には、まず、意識ー無意識という心の働きが一つあることを確認しておきます。
そして、自律神経系が支配している内臓の働きの中で呼吸だけは、例外的にこの3つの局面を持っていることも確認しておきます。胃や腸の働きを意識的にコントロールすることはできませんね。