●コロナ禍の下で行われた屋台お披露目
賛否両論はあるものの、コロナ禍の下でも、屋台やだんじりを少しだけ動かしたり、飾り付けなどをしたりするところがありました。その動機の一つとなったのが、たまたまこの年に屋台、だんじりの新調・改修したことをうけてのお披露目です。
管理人は、以前寄付するといってしていなかった六社神社の屋台の衣装新調、本体回収のお披露目に行ってきました。限界集落になっても屋台を残すという強い意志のもと、クラウドファウンディングなどを活用して改修はなされました(関係記事)。
●先代の水引幕、高欄掛
高欄掛
絹常製の源平物です。
水引幕
龍の浮物刺繍です。結構な「値打ちもん」ですが、修復は難しいそうです。
提灯
提灯
絹常製です。
布団締め
竹に虎です。無地のころの名残が見られ黒地の割合が現在のものに比べて大きいです。
屋台全景
いわゆるセンベイフトンと呼ばれる薄い屋根の屋台です。味わい深い渋みを感じます。
↑六社神社屋台のクラウドファウンディングウェブページより
●新調後
高欄掛
以前の源平物から退治物にかわりました。今回の新調のメインは高欄、水引、布団締め、提灯の刺繍で、三木が誇る城戸刺繍店が刺繍を手掛けています。
↑素戔嗚尊八岐大蛇退治
↑源頼光蜘蛛退治
↑源頼政鵼退治
↑伊勢三郎?鷲退治
水引幕
龍の水引幕は踏襲されました。以前のものは緑、あるいは青系統の色が体にもはいっていましたが、今回は金色です。
↑水引下がわには蓮の花が縫われています。
●布団締め
↑水引下がわには蓮の花が縫われています。
●布団締め
虎の布団締めは踏襲されました。現代風にやや虎が大きくなりました。
●伝統を残した屋台
●伝統を残した屋台
播州屋台研究家の粕谷氏の著作による啓蒙で、屋台装飾の技術は復活の兆しを見せています。SNSを通したマニアの交流で、善し悪しの評判があっという間に広まる現状から、今回の城戸刺繍店のように刺繍などの技術は精巧なものが保たれるようになってきました。
昨今の三段布団屋根屋台の新調、改修の傾向としてもう一つあげられるのが、布団屋根部の巨大化です。比較的容易に大きく見せることができる部分であり、大きな他所の屋台に見劣りしないように、より、厚く大きくしようとする傾向が各地で見られます。また、それに合わせて布団締め部分も太くするのが最近の傾向にもなっています。
では、今回の六社神社の屋台はどうでしょうか。↓ずっと下に写真があります。
実は屋根はそのままの厚さになっています。精巧な刺繍が経年変化を経ることで、再び味わい深い「センベイフトン」の屋台が見られるようになることでしょう。今回の六社神社屋台の改修は、もしかしたら、今後の屋台新調の新たな方向性を示唆してくれるものになるかもしれません。
編集後記
今回、六社神社屋台改修については昨年の段階で写真家のY氏の情報提供がありました。また、新調・改修の中心となったI氏には、丁寧に質問におお答えしていただきました。そして、この改修お披露目の情報をくださった、Su氏、Si氏にも感謝申し上げます。