◎大津市の祭特集を寄稿するにあたって
今回は、悲しい事件で日本だけでなく世界中に知られてしまうことになった、大津市の祭を特集します。特集を掲載するにあたり、いじめ被害者の方のご冥福と、いじめ自殺事件の撲滅、加害者とその保護者の改心、真相の解明をお祈りいたします。
管理人にとって、大津市は学生時代をすごした思い出の町であり、その地の祭礼文化のすばらしさ、地域の人々の優しさにふれて過ごすことができました。
しかし、悲しい事件に追い討ちをかけるように、事実と異なる中傷や、いじめをめぐる対応ではなく、大津市の無関係な人に対する差別的な書き込みが、インターネットに多く見られるようになりました。
だけど、実際住んだ管理人が保証します! 大津市最高!
そんな大津市の祭を、写真、文献、聞き取り内容いずれの資料も不十分ですが、紹介させていただきます。
紹介するのは、以下の4地域の祭礼です。特に3 4は、個人的な思いのみで掲載させていただきました。
1 大津祭 -鍛冶屋町の一番山-
2 比叡山坂本 日吉大社山王祭 -担がれる北斗七星-(長いので別稿へ)
3 瀬田 萱野神社春祭 -とにかく担ぎまくる神輿-
4 志賀 宇佐八幡宮 -子どもに宿る神さま-
1 大津祭 -鍛冶屋町の一番山-
場所:JR大津駅前の天孫神社 祭礼日:10月の体育の日前の土日
その見せ場はなんと言っても、13基の曳山。
隣の京都市の祇園祭の山鉾の影響を受けながらも独自の発展を見せています。祇園祭の影響は、龍門滝山が祇園祭の白楽天山と同じトロイア陥落図のタペストリーのそれぞれ別の部分を使っていることからもうかがえます。ただ、それ以上に目をひくのは、見事な動きを見せるからくり人形など、その独自性です。
驚いたのは、山車に車が三つしかついていなかったことです。これは、狭い街道を効率よく曲がるための工夫にもなっています。
そして、お囃子も少し祇園祭とは違っています。従来の鉦、笛、締め太鼓に加えて大津祭りでは、低音を響かせる鋲太鼓も演奏されます。そのお囃子もややアップテンポで、曳山によっては、二つの締太鼓の片方が決まったリズムを打ち、もう片方が即興で演奏するというところもあるそうです。十年ほど前のことですが、若い人たちの中が、「ミヨモミヨモー、オイッ、オイッ、オイッ」といったような声をかけていました。この掛け声は、昔からのものではないと、当時囃し方をされている方から聞きました。
祇園祭での長刀鉾同様、曳山巡行の先頭を行く曳山も大津祭りでは決まっております。一番は西行桜狸山という曳山です。この曳山は、大津曳山の元祖といわれております。それは塩屋治兵衛なるものが狸の面をかぶっておどったところ好評だったために、竹屋台を組んで練りだされるようになったとものとされています。
さて、この狸山を所有する町は「鍛冶屋町」で、塩屋治兵衛なるものも、ここの土地の人間とされています。祇園祭の長刀鉾や長浜市の長刀山など、「鍛冶」と一番山車の関係に私は注目していました。この狸山もそれに分類できるし、山車の一番をつとめるのは、刀で災厄を払ったり、神輿の道を清めたりする露払いともいえる「鍛冶」関係の山にしかできない!! ・・・・と思っていたのですが、日野の曳山祭など、どうも違うものもあるようです。
■謝辞
全くの専門外にもかかわらず、町屋にあるアートという地元商店街のイベントで大津祭の展示をさせていただきました。その時には、貴重な集会所を貸していただき、さまざまなご教示もいただきました。ポスターを貸してくださった方、曳山囃子を演奏してくださった方、本当にありがとうございました。
3 瀬田萱野神社
場所:JR瀬田駅すぐそば、萱野神社 祭礼日:5月5日
祭神は開化天皇で、古式に則った儀式を行う。
そして、特筆すべきは、その魂の入った神輿練り!!
昨今では、台車にのせて神輿を運ぶところが増えていますが、ここには、その気配はまったくありません。ゆうに5km以上あるだろう道のりをとにかく、担いで担いで担ぎまくる!
そして、この祭を見る上で絶対に注意しなければならないことがあります。それは、神輿を絶対に上から見下ろさないこと。アパートの上などから見下ろすと、大目玉をくらいます。で、この祭の隠れた見所が高架下を神輿が潜る時です。ここの人たちにとって、神様の上を人が行くのは決して許されることではありません。JR琵琶湖線がひっきりなしに走る電車が来なくなった一隙をついて、猛ダッシュで坂を下り、高架を潜り、再び坂を駆け上がります。無事に神様を不敬の憂き目にさらすことなく、潜り抜けたら大きな歓声と拍手が沸きあがります。
■謝辞
下宿先ということもあり、特にアパートの管理人さんや下の回の美容室の方々に本当にお世話になりました。
4 志賀 宇佐八幡宮例祭
場所:京阪石山坂本線、近江神宮前駅 近江神宮の左側の道を神社にそって山を登る
祭礼日:9月第二土曜日?
大津京を開いた天智天皇をまつる近江神宮。その山上に宇佐八幡宮はひっそりとたたずんでいます。その神の使いの鳩の作り物もたくさん奉納されていました。
ただ、近江神宮が昭和初期くらいにできた比較的新しい神社であり、古くからあったのは、こちらの宇佐八幡宮のようです。七月には虫除け祭、9月には例祭がおこなわれ、例祭では稚児が出され、神輿が練られます。
そのお稚児さんを経験した子どもから聞いた名言をもって、謝辞のかわりとし、今月の<月刊「祭」、I love 大津。大津の祭特集>の締めとさせていただきます。
「子どもにはなあ、神さまが宿るんやでー」
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