●組織研究という祭研究の主流!?
これを社会学というべきか、民俗学というべきか、はたまた別の呼び方があるのかは分かりませんが、屋台やだんじりの祭を研究でよくされているのが、組織の研究です。管理人もそれっぽいことをやろうとして、失敗しかけたことがありました。同様の失敗をしている人を見たことはありませんが、今後同じ失敗をするのをふせぐために、今回の記事をあげることにします。
それが「祭を比べる」ということです。
その難しさを、管理人が失敗しかけた女性の参加という視点から考えていきます。
なお、この記事は女性の参加の可否を取り上げている物ではないということをはじめにおことわりしておきます。
●大阪、岸和田、尼崎の比較
1.女性が綱元を曳く大阪市東成区比売許曽神社 東小橋(ひがしおばせ)だんじり
地車本体のすぐ前の綱元はだんじりが、すぐそばにある危険な場所です。ここを女性が曳いています。
2.女性が綱元を曳かない岸和田だんじり祭
一方、岸和田のだんじりの多くは映像のように、綱を女性が握ることはあっても、綱元は男性が務めています。
3.女性がだんじりに触れない尼崎の祭
尼崎市貴船神社のだんじりは女性が地車に触れることはありません。
これらのことから、「大阪市比売許曽神社→岸和田→尼崎の順に女性の参加が進んでいる」と言いたくなります。しかし、安易にこの結論を出すことは出来ません。
●科学的検証の鉄則、比べる条件以外は揃える
小学校五年生の時に習うのが、比べたい条件以外は条件を揃えるというのが実験の鉄則です。例えば、塩と砂糖の水への解けやすさを比べるときに、塩10gに水50g、砂糖1gに水100gで比べても正確には比べられないというものです。正確に比べるためには、塩と砂糖という物質を変える以外は、水、塩、砂糖の重さ、水温などすべての条件はそろえないといけません。
祭を比べるときもいっしょです。例えば大阪、岸和田、尼崎のだんじりの動かし方はそれぞれ同じではありません。大阪は比較的おだやかで、岸和田はやりまわしをします。尼崎にいたっては、山合わせといって下の写真のようにだんじりをウイリーさせた状態でぶつけあいます。
つまり危険なものほど、女性が参加していないというものがうかびあがってきます。危険な動かし方など、揃えられない条件も考えて、祭を比べるという視点が、祭の比較には必要になってきます。
●民俗学という体験の学問
結局、女性の参加の度合いなどを比べるときに、だんじりの引き方などが分かっていないと議論が明後日の方向に行ってしまうことは明白です。民俗学が体験の学問やということをどっかで聞いたことがあります。その真偽はさておき、フィールドワークを重んじるのは、このような危険性などを体感的に理解する必要があるからでしょう。結局、担いでみんとわからん、引いてみんとわからんことがあるというシンプルな結論になってしまいました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます