保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

雲海に包まれる保津川下り

2005-11-02 23:39:37 | 船頭
秋晴れが広がる爽やかな朝。

京都市内から保津川下りの乗船所が
ある亀岡へ向かい、国道9号線を西に進み
境となる老ノ坂峠のトンネルを越えると、
「そこには霧の海が・・・」

そうです。私達船頭が住む街、京都府亀岡市
は霧深い盆地にある街なのです。

この盆地の中央を保津川が流れているのです。

この霧は、ほとんど10月、11月に発生します。
霧が発生する日は、本州の真上に移動性の高気圧
の中心がある時または東に通りすぎた時に多く、
夕方からの風も弱い晴れた日に限り出るそうです。

この様な気圧の日には、盆地の底は放射冷却に
より気温が一気に下がりだし、地表の温度より
低くなります。そなると保津川の水温よりも
低くなり蒸発現象が起こります。
蒸発した水蒸気は冷やされることで、水滴となり
霧に変わるのです。



霧が出るのは早い時で夜の9時頃で、消えるのは遅い時で
正午まで掛かる日もあります。
最も濃い時間帯は日の出前後で、視界が50m以下という
日もあるのです。

今の時期、保津川下りの午前9~10時頃の船は
この霧の中を出発することが多いです。


霧に包まれた川を上を進む船は、数メートル先の視界すらぼやけ
水面には幻想的な情景が展開します。

特に数隻の船が連なって下って行く時などは、
自分の乗っている船以外は、全て幻を見ているかの
ような錯覚にとらわれます。



また、この霧が乗船の途中で上がってくると、
霧の隙間から澄み切った青空が顔を覗かせます。

そのときの渓谷の風景・・・灰色と青のツートンカラーの
空模様は芸術ともいえる美しさです。

霧の中を出発する船に乗ると、少し肌寒く感じますが、
その寒さを我慢してでも、一見の価値がある風景です。

明日は文化の日で祝日です。
予約も50隻近くあり、混雑が予想されます。
待たずに乗れる時間帯といえば、この霧がたち込める
この時間がかたいです。
亀岡名物、雲海の幻想空間を体験しに、
朝の保津川下りはいかがでしょうか?

その時間帯の人は暖かい服装とトイレをしておく
ことを忘れないで、楽しんでみてくださいね。