平和のうちに領土が返ってくるためには、当面は歯舞と色丹だけで我慢するしかない。本来であれば国後、択捉を含めることが望ましいが、我が国は武力で取り戻すすべがないだけに、安倍総理の苦渋の決断を支持せざるを得ない▼昨日シンガポールで行われたプーチン大統領との会談で、安倍総理が「2島先行返還」に舵を切ったことで、日ロの平和条約交渉は一気に加速することになる。経済的に不振が続くロシアは、東アジアで日本の協力を必要としている。これまで日本は少しでも有利な条件と模索してきたが、まずは「2島先行返還」で足がかりをつけ、国後と択捉に関しては、長期的な視点から両国の共同管理にすればいいのである▼ロシアの脅威にどう備えるかは、幕府にとっても深刻な問題であった。文化4年から6年にかけては、会津藩が幕府に樺太警備を命じられている。総勢約1600名で樺太を始め、利尻島などにも駐留した。嘉永6年のペリー来航以前にも、我が国は外敵の侵略に備えていたのである▼先の戦争のどさくさに北方領土が奪われたのは痛恨の極みであったが、少しでも北方領土問題が前進すれば、それでよしとするしかないのである。国家の三要素とは、領土、国民、主権なのであり、領土が戻ってくることは、国家としての日本を取り戻すことである。まずは歯舞と色丹だけであっても、そこに日の丸が翻るようになれば、失地回復ということになるのだから。
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