菅直人前首相や民主党関係者は、オロオロしているのではなかろうか。こんなことになるとは、夢にも思っていなかったはずだ。民間の「福島原発事故独立委員会」は、船橋洋一元朝日新聞主筆が理事長である「日本再編イニシアティブ」が人選してつくられた機関で、船橋自身がNYタイムズにわざわざ書かせたように、本来は東京電力本社に乗り込んで行って、福島第一原発からの全面撤退を思いとどまらせた英雄として、菅を英雄にするつもりだったのだろう。しかし、朝日新聞やNHK以外のマスコミは、その報告書について、予想に反する記事を書いた。民主党政権による人災が、原発事故を引き起こしたという結論に注目したのだ。多くの国民もまた、それで納得したのである。全面撤退なるものも、これまでまともに取り上げたのは朝日新聞のみであり、東電はそれを一貫して否定している。それよりも、ベントを指示して、現場を混乱させてしまった菅の責任が、かえってあぶり出される結果になったのだ。朝日新聞も、あまりにも露骨なヨイショにはためらいがあったようで、その報告書に関しては「菅首相らの原発対応泥縄的な危機管理」という見出しとなり、記事的には横並びになった。頼まれたどうかは別にして、菅を英雄にしようとする船橋の目論みは、あっけなく潰えたのではなかろうか。いくらエリートが手を貸そうとも、国民の目は節穴ではないのだから、かえって墓穴を掘るだけなのである。
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