安倍晋三首相は政治家であるから、気配りが大事なのだろう。しかし、あまりにも新自由主義にいい顔をし過ぎると、取り返しがつかないことになる。ここは踏ん張ってもらうしかない。西部邁がうまいことを言っている。「競争・競合がアクロバットにも似た危ない作業であり続けるなら、そんな作業を強いる場が強大な社会制度として持続するはずがない。比喩的にいえば、市場の競争・競合は『一本の丸太を渡る』ほどの安全でなければならず、そのように安全度を具体的な場面で高めてくれるのが組織なのである」(『エコノミストの罪』)。アベノミクスが喧伝されたために、来年の新規大卒者の内定者が2%増加しているという。株価も上がっている。不景気な時であれば、公共事業が大きな役割を果たすのである。西部も指摘しているように、「ツケを子孫に残す」というのは「語るに落ちた」議論だ。公的な組織の国による公共事業とは、子孫に有益な公共資産を形成することが目的であって、それ自体が悪であるわけがない。今こそ私たちは西部の主張に耳を傾けるべきだろう。「私はいいたい、破壊的(非創造的)改革に舞い上がるのはむろんのこととして、それに追随するのを惰性とするような生き方は、過去世代の他者(つまり我らの祖先)への冒涜である、と同時に未来世代の他者(つまり我らの子孫)に危害を加えるのだと。そんな自由を現在世代に許してならないのである」(『同』)。政治は妥協であっても、根本的な考え方はぶれてはならないのである。負けるな安倍首相。
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