仙台陸軍予備士官学校 3
「どんな将校になりたい」
弟の目を見て彼は言った。
「私は第一線の小隊長で、60名の部下を持ち、最前線で戦う以外は考えていません」
と、答えた。諜報の勧誘だと直感したからだ。
「第一線で戦うもいいだろう。だが、一人で千人、二千人の働きをする仕事もある。その気はないか」
「自分は最前線で戦いたいと思います」
「そうか」
彼はふっと寂しそうな眼をした。まつ毛の長い涼しい瞳だった。
陸軍中野学校が創立される2年前、昭和13年秋の事である。
「どんな将校になりたい」
弟の目を見て彼は言った。
「私は第一線の小隊長で、60名の部下を持ち、最前線で戦う以外は考えていません」
と、答えた。諜報の勧誘だと直感したからだ。
「第一線で戦うもいいだろう。だが、一人で千人、二千人の働きをする仕事もある。その気はないか」
「自分は最前線で戦いたいと思います」
「そうか」
彼はふっと寂しそうな眼をした。まつ毛の長い涼しい瞳だった。
陸軍中野学校が創立される2年前、昭和13年秋の事である。