創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

NITENDO DS で読む「夫婦善哉」 2 読破

2007-12-07 20:13:47 | 読書
読み終わりました。夫婦のさがを感じました。30歳半ばで亡くなった作家としては老成しているなあという感じです。織田作之助は写本をしていたと、どこかで聞いたことがあります。聞き違いかもしれません。小説をそのまま写す作業です。私もやったことがない。今は多分誰もやらないだろう。でも、そこに相撲の股割のような一途さを感じるのです。

NITENDO DS で読む「夫婦善哉」 1

2007-12-07 17:07:25 | 読書
これも一気に読めそうです。大阪弁が美しい。大阪の風俗が生き生きと描かれている。本に書かれた隠れグルメ的な場所は今はどうなっているのだろう。とにかく面白い。気に入った文章に突き当たれば、ネットでその個所を探す。カットアンドペーストでスクラッブ。(DSにそんな機能はありません)。少し長いけれど、隠れグルメを引用します。
『柳吉はうまい物に掛けると眼がなくて、「うまいもん屋」へしばしば蝶子を連れて行った。彼にいわせると、北にはうまいもんを食わせる店がなく、うまいもんは何といっても南に限るそうで、それも一流の店は駄目や、汚(きたな)いことを言うようだが銭を捨てるだけの話、本真(ほんま)にうまいもん食いたかったら、「一ぺん俺(おれ)の後へ随(つ)いて……」行くと、無論一流の店へははいらず、よくて高津(こうづ)の湯豆腐屋(ゆどうふや)、下は夜店のドテ焼、粕饅頭(かすまんじゅう)から、戎橋筋(えびすばしすじ)そごう横「しる市」のどじょう汁(じる)と皮鯨汁(ころじる)、道頓堀(どうとんぼり)相合橋東詰(あいおいばしひがしづめ)「出雲屋(いずもや)」のまむし[うなぎ]、日本橋「たこ梅」のたこ、法善寺境内「正弁丹吾亭(しょうべんたんごてい)」の関東煮(かんとだき)、千日前常盤座(ときわざ)横「寿司(すし)捨」の鉄火巻と鯛(たい)の皮の酢味噌(すみそ)、その向い「だるまや」のかやく飯(めし)と粕じるなどで、いずれも銭のかからぬいわば下手(げて)もの料理ばかりであった。芸者を連れて行くべき店の構えでもなかったから、はじめは蝶子も択(よ)りによってこんな所へと思ったが、「ど、ど、ど、どや、うまいやろが、こ、こ、こ、こんなうまいもんどこイ行ったかて食べられへんぜ」という講釈を聞きながら食うと、なるほどうまかった。
 乱暴に白い足袋(たび)を踏(ふ)みつけられて、キャッと声を立てる、それもかえって食慾(しょくよく)が出るほどで、そんな下手もの料理の食べ歩きがちょっとした愉(たの)しみになった。』