六条御息所の視点で源氏物語を描く小説です。六条御息所は生霊(生きている人の怨霊)で「源氏物語」に登場します。作品では、六条御息所は成仏できないまま死霊となりさ迷っています。作者としては本意ではないでしょうが、源氏物語のあらすじとして読むこともできます。物語を整理することができます。ふん、ふんと人間関係なんかは分かりやすいですね。六条御息所の女の性(さが)と心情が見事に描かれています。読みながら、源氏物語は色々な登場人物から物語を紡ぐことができるのだなあとあらためて思いました。そういう意味でも源氏物語は希有な作品ですね。