2・そして「女のいない男たち」
「女のいない男たち」・村上春樹著
四人の評論家が『女のいない男たち』を読むという論評を書いています。男性三人と女性一人です。この性差はとても重要です。性交についての感覚が男女で全く違うからです。男はある種の孤独を感じる。女はそれからとても遠い。多分。
性交によって「生」が誕生する。同時に「死」も生じるのです。性交がなければ私たちはここにいない。
清水良典氏は
「セックスとは愛の結実の行為であるばかりではなく、魂の地下の蓋を開けてしまうような、人間存在を脅かす底なしの力を秘めた領域なのである」と書いています。
斎藤環氏は端的に「性愛の不条理」と書いています。
都甲幸治氏は「妻の裏切り」と具体化しています。
岩宮恵子さんは「十四歳という人生の独立器官」のサブタイトルで分析しています。「女の性」から小説にアプローチしています。三人の男性と全く違います。女性には宿命として分からない世界なのです。それが「女はそれからとても遠い」と書いた所以です。しかし、女性にも反転した性として重要なテーマになり得るのだと思います。
男にとっても女にとっても、「女のいない男たち」は「男」としての人。「女」としての人を考えさせてくれます。そして、小説としてとても面白いですね。一読を。
「女のいない男たち」・村上春樹著
四人の評論家が『女のいない男たち』を読むという論評を書いています。男性三人と女性一人です。この性差はとても重要です。性交についての感覚が男女で全く違うからです。男はある種の孤独を感じる。女はそれからとても遠い。多分。
性交によって「生」が誕生する。同時に「死」も生じるのです。性交がなければ私たちはここにいない。
清水良典氏は
「セックスとは愛の結実の行為であるばかりではなく、魂の地下の蓋を開けてしまうような、人間存在を脅かす底なしの力を秘めた領域なのである」と書いています。
斎藤環氏は端的に「性愛の不条理」と書いています。
都甲幸治氏は「妻の裏切り」と具体化しています。
岩宮恵子さんは「十四歳という人生の独立器官」のサブタイトルで分析しています。「女の性」から小説にアプローチしています。三人の男性と全く違います。女性には宿命として分からない世界なのです。それが「女はそれからとても遠い」と書いた所以です。しかし、女性にも反転した性として重要なテーマになり得るのだと思います。
男にとっても女にとっても、「女のいない男たち」は「男」としての人。「女」としての人を考えさせてくれます。そして、小説としてとても面白いですね。一読を。