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曽野綾子さんは達観していると言うか、終始一貫している。
バックボーンに宗教があるからなのかもしれない。
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石原さんはポジティブである。
石原さんも法華経があるらしいが信心というより、哲学的な拠り所のような気がする。
石原さんがなぜ法華経に帰依するのか、『法華経を生きる』を読んだが、頭の悪い私にはよく分からなかった。
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お二人と違って私はネガティヴ。
もうじき74歳になる。
自分が死ぬのが怖い。
それもだんだん近づいて来る気がする。
眼が覚めると、また一日が始まる、何もすることがないと途方にくれる。
咳なし、熱なし、コロナなしと声に出して言う。
コロナが気になってビクビクしている。
開経偈→般若心経→光明真言(三回)→南無大師遍照金剛(三回)唱える。
病気が怖い。
60代は少々体調が悪くても死ぬなんて思わなかった。
この頃はちょっと体調が悪いと死ぬんじゃないかと思う。
私はお二人には理解不可能な弱者かもしれない。
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何らかの拠り所を求めてこの本を買った。
ほぼ図書館で借りているので、本を買うのは久しぶりである。
老人もお金がないのだ。
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この対談はとても面白い。
九十前の二人が思い切り喋っている。
二人とも功成り名を遂げた人である。
有名な二人も無名の私も同じように死が訪れる。
その前の『病』が恐ろしい。
とりわけ認知症が怖い。
年をとるといいことなんか一つもない。
この二人の先輩の話を読んでいると、少し救われたような気がする。
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願わくば苦しまずに死にたい。