ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.5.10 ハーセプチン92回目

2010-05-10 20:00:32 | 治療日記
 今日は、ショートのかつらを被って出かけた。そろそろ自毛デビューの準備をしたいが、職場に被っていくとまたミディアムロングには戻れないので、試しに通院から、ということで。が、通勤時間なので致し方ないとはいえ、最寄り駅で早速職場の関係者に会ってしまいちょっとがっくり。
 月初めの採血、レントゲンの後に診察だったが、採血の待合が既に椅子に座れないほどの混雑だったので、受付後、先に胸部レントゲン撮影に回った。撮影後、採血に戻り30分ほど待った。内科受付後、診察室に入ったのは病院に入ってから3時間ほど経って、既にお昼を回っていた。
 それにしても毎週通っていると、先週来なかっただけで(わずか10日間なのに)とても久しぶり、という感じがするのは不思議。

 先生から「咳はその後どうですか。」と問われ、「大丈夫です。それ以外も特に変わったことはありません。」とお答えする。レントゲンの結果は、やはり右、左とも影がはっきりして大きくなっている感じ。(いよいよ薬のチェンジか・・・)と思ったところ、通常は腫瘍マーカーの結果がわかるのは翌週なのだが、待ったかいがあって今回はデータが出ていた。先月より2割弱下がって正常範囲内に戻っていた。先生がおっしゃるには「咳が続いていて、レントゲンの影と腫瘍マーカーの結果が3つ揃ったら薬を変えよう、と決めて家を出たのですが、また、判断に悩みます。」とのこと。「次の薬はヒスロンだと思いますが、これまでフェマーラ、アロマシンともそれほど長く効いていないのでこれでヒスロンが効かない、となると次の薬はどうなりますか?」と質問する。「ハーセプチンプラス抗がん剤(ナベルビン)か、アンスラサイクリン系の抗がん剤になりますが、体への負担が大きいので。」とのこと。ヒスロンも体重増加とムーンフェイスが副作用。この病気にとって肥満は大敵なのに・・・と複雑な気持ちになる。

 ようやく明日で職場復帰1年になる。これまで年休でしのいでいたが、すでに残日数は風前の灯。やっと次回からは病欠が取れることになるのだが、実に綱渡りの1年だった。前回、今日診断書を受け取れるようお願いしていたばかりで、また程なく更なる上乗せのきつい治療というと、仕事を続けていくのにちょっと辛い・・・、というのが本音だ。もちろん、そんなことは言っていられない事態になれば治療優先は重々承知の上だが。
 それでも3つ(肺の影、腫瘍マーカー、咳)のうち2つ(腫瘍マーカー、咳)が改善されていたので、あと1ヶ月粘ってみましょう、とアロマシンを1ヶ月処方して頂いた。

 処置室に移動すると、点滴椅子は少なくともあと1時間以上は空かない、ということで、院内のレストランで昼食をとる。1時間ほどして戻ってはみたが、まだ空いておらず、ベッドなら・・・、ということで今日はベッドで(体操座りで)点滴を受けることにする。待ち時間から頭痛があり、点滴開始前に頭痛薬を飲んだ。

 途中で30分ほど横になってしまったので、今日は2冊のみ読んだ。
 1冊目は桐野夏生さんの「東京島」(新潮文庫)。「キリノ版創世記! 孤島には31人の男とたった一人の女」との帯。それにしてもいやはやすごい想像力と筆力!圧倒されながら一気読み。極限状態の心理描写にいつも驚かされる。解説の佐々木敦さんも書いておられるが、「実に怪物的な想像力と筆力を兼ね備えた彼女のビブリオグラフィにおいても疑いなく特異なポジションを占める。読んでしまったことが、読者にいかなる衝撃を惹き起こし、いかなる余韻を与えるか、いかなる忘却不能な記憶を生じさせるか、その意味でこの小説がもつ力は、あまりにも量り知れない。」 完璧なラストは読み始めには予想もつかない。堪能した。今夏映画化というが、いったいどう映像化するのかまた気になってしまう。
 2冊目は和田秀樹さんの「医者をめざす君たちへ 知っておかなければ損する『現実と未来』」(PHP文庫)。「『医学部を出れば安泰』という考え方が根強いが、本当にそれでいいのか。医学部に合格するコツ、医局の実態、将来の医療ニーズまで詳細に解説」という裏表紙とブラックジャックの表紙の絵を見て、手に取った。毎週病院にお世話になっている身としては興味深く読んだ。とてもとても現場の先生方の働き方を見ていると、偏差値が高いから・・・などとは言っていられないと痛感する。

 点滴終了後、会計で30分ほど待ち、さらに薬局で30分ほど待ち・・・で、今日はいつもの終業時間に電車に乗った。実に8時間勤務。往復ともラッシュで疲労困憊。今週は明日から連続4日の出勤なので、長そうだ。
 さすがに帰宅後、すぐに家事に立てず、夫と息子の帰りが遅いことを良いことに、横になってしまった。

コメント
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