ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.9.1 昨日、通院日に読んだ2冊

2011-09-01 06:36:26 | 読書
 昨日は2冊読んだ。

 1冊目は柏木哲夫さんの「『死にざま』こそ人生 『ありがとう』と言って逝くための10のヒント」(朝日新書)。
 著者は淀川キリスト教病院で日本初のホスピスプログラムを開始した同病院の名誉ホスピス長である。帯には「ありがとう ごめんね これで旅立てます 最期のことばに学ぶ生き方 2500人を看取った医師のメモ帳から」とあった。そして表紙裏には「人はやがて総決算の時を迎える。そのとき「ありがとう」って言えたら、間違いなくその人生は幸せだろう。日本ホスピス会の草分けが、見送った多くの人の最後の姿から、「美しい死」を獲得するために人はどんな葛藤を経なければならないのかを教える。」とあり、手に取った。
 「はじめに」の中の「人は生きたように死んでいく」と思った、という言葉にすべてが凝縮されている。そう、これまでの生き方が末期に濃縮される形で現れるという。「よく死ぬことは、よく生きることだ」とかつて千葉敦子さんも書いておられたように。
 中でも「死の受容と年齢」の項で「人が、死を受け入れて亡くなったかどうかを判定することはとても難しいが、その一つの要素として「いらだち」の有無がある。年代ごとの「いらだち」の割合を調査すれば、死の受容度が分かる。年代ごとの「いらだち」を調べた結果、最も「いらだち」が多いのは50歳代。60歳代、70歳代と減り、80歳代になると極端に少なくなる。同様に40歳代、30歳代と順に少なくなり、10歳代ではかなり少なくなる。・・・50歳代ではまだ仕事の第一線におり、子供達も独立していないという状況が関係しているのだろう。死の受け入れにくさは、別れなければならない人の数と関係しているのではないかと思っている。50歳代といえば、人生の中でもっとも人間関係が広がり、死を自覚した時に「さようなら」を言わねばならない人の数がもっとも多いわけである。加えて、責任の問題もある。仕事上の責任とご家族に対する責任の両方があり、その責任を果たせないまま旅立つことの「申し訳なさ」も死を受け入れにくくしていると思う。」という部分にとても納得した。
 終章の「病院で死ぬということ」の著者・山崎章郎さんとの終末医療対談の中で出てきた「引っ張り症候群」…「ある時期まで化学療法が『効いている』と小さくなっていく腫瘍の画像を見せ、腫瘍縮小効果が見えなくなってくると次の治療の提案がされ、化学療法でへとへとな患者さんの生きる余地を治療の継続が奪っている。治療が限界だと言われて在宅医療に移行した患者さんの亡くなるまでの時間が短い、ホスピスで残された時間を少しでも有意義に過ごし、個人の物語を作り上げていく手助けをする役割が果たせないほど、最終(亡くなるまで)へのスピードが速いこと…」についても興味深く読んだ。

 2冊目は重松清さんの「季節風 秋」(文春文庫)。
 これまで読んできた季節風シリーズの最終巻だ。帯には「人と人を描く季節のものがたり、ついに完結。」とあった。
 以前にも書いたけれど、著者とは同じ年に同じ大学に入学しているので(その過ごし方は違っていたとしても)、背景がとてもよくわかり、懐かしさが胸に迫る。そして同年代であるから40代半ば以降の家族の問題等も同じように抱えているので、身につまされる。40代後半というのは(すみません、既に50歳になってしまいましたが)、父であり母であり、中間管理職でありリーダーであり、夫であり妻であり、そして息子であり娘であるのだ、といまさらのように思う。
 ご本人があとがきで書いておられるように、この春・夏・秋・冬の4冊に収められた全48編に「オレのすべてがあるんだ」ろう。今まで発表してきたすべてのお話はこの48色の絵の具を使って描かれているのだと思う、と。
 今回は、中でも「風速四十米」の「一人息子だ。両親が頼る相手は僕しかいない。『一人っ子は甘やかされているからよくない』と子どもの頃からよく言われてきた。・・・『我が子が一人前になるまでは死ねない』というのが親の務めなら、四十を過ぎた一人息子のつとめは『年老いた親より先には死ねない』なのだ。」に心が疼いた。

 昨夜は食べ過ぎないよう注意して、夕食をとり、ロキソニンとマグラックスを飲んだ。ベッドに入っても1時間ほど寝付けなかったので、諦めてマイスリーを飲む。30分ほどかかり、少し寝不足感はあるが、無事朝まで眠ることができた。
 今のところまだそれほど気持ち悪さがない。なんとか今日も無事に乗り切れますように。

 9月の到来とともに、大型の台風12号が本州に接近してきている。大きな被害が出ないとよいけれど。
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