ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.3.6 採血・心エコー後腫瘍内科診察、レントゲン撮影後パージェタ・ハーセプチン・ハラヴェン3剤併用1クール開始

2019-03-06 23:51:01 | 治療日記

 昨日は仕事を終え、帰宅。まずは痛みを落ち着かせるため、コデインを飲んで、息子の洗濯物で一杯の洗濯機を回し、休み休み夕食の支度を整えて夫の帰りを待つ。夕食を済ませてから夫が駅まで送ってくれて、病院最寄り駅に近いホテルに向かった。日中は暖かかったが夕方からは雲が厚くなり、ちょっと冷えてきた。
 ホテルにチェックインした後はなんだかとても疲れてしまい、入浴後就寝前にもう一度コデインを飲んで早めに眠りについた。

 5時間近く眠ってお手洗いで目覚めた。どうにも気になることが。早朝息子の卒業判定がWebでオープンになるのだ。
 その後なかなか寝付けず、結局、ベッドでうだうだ。夫からLINEが入る。定刻が過ぎても息子からはなしのつぶて。連絡が出来ない事態なのか、まだ見ていないのか、暫くして痺れを切らした夫が電話をしたところ、まだ寝ていた模様。どこまで大物なのか・・・。

 その後ほどなくして「卒業合格」のスクリーンショットが送られてきた。夫は私よりもっと眠れなかった様子。自分の頃は大学を卒業することがこれほど大変ではなかったし、自分のことよりずっとストレスフル。信じてはきたけれど何度も肩透かしを食らっていたので、さすがに今回も一抹の不安があった。
 変なイメージトレーニングはしないようにしていたけれど、なんだか呆けてしまった。本人はいたってケロリとしている。親の心子知らず、である。

 早速心配している祖母に電話連絡をするように言い、私も追って実家に連絡を入れ、ようやく身支度を整えてレストランへ。新聞片手に焼きたてデニッシュや野菜スープの定番の朝食を済ませ、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウトした。本当にほっとした。これが不合格だったら、今日の治療はどれほどしんどかったことか。

 外は曇り。今月初めての通院である。到着後はIDカードを通す列に若干並んで受付を終え、まずは採血へ。月初めのせいか待合い椅子は一杯。10数人待っており待ち時間は11分と出ている。ライナー付きのスプリングコートやストール等一式をエコバッグに詰め態勢を整えて待つ。時間通りに採血室に入れた。今日は初めてお目にかかる検査技師のMさん。マーカー等の測定は月末の予定なので2本。最初の針刺しはいつもの正中を少し外したところで、チクリとした程度。管を抜く時に再びチリチリしたが、問題なく無事終了。止血したまま採血室を出て、隣の生理検査受付へ移動。

 今日は心毒性のハーセプチンを長く使い続けていることもあり、久しぶりの心臓超音波検査だ。予約時間の10分前には待機するようにとのことだったが、採血が順調だったので、受付を済ませ20分前には中廊下で待つことが出来た。
 予定時間の10分ほど前に女性技師さんに呼ばれて、心エコーの部屋へ。暖かく薄暗く横になっているだけなのでいつも眠くなってしまう。

 今日はかぶりのニットワンピースにしていて、着替えは楽ちん。検査着を羽織って横になる。心臓の働きと大きさを検査しますと説明があり、身長・体重を確認された後は目を瞑ってリラックス。普段は殆ど痛まないのに、強めにプローブを押し付けられて移動すると、顔がしかめっ面になるほど痛む。朝ロキソニンだけだったのがまずかったかな、とちょっと後悔する。20分弱横向き、斜め向き、仰向けで検査は続き、無事終了。

 売店で暖かい飲み物を調達してから、腫瘍内科へ移動する。病院に入ってから1時間ちょっと経過している。待合椅子はそこそこの混み具合。席を確保した後は月初めなので保険証のチェックも終えて受付終了。

 本日のお伴、1冊目は武田砂鉄さんの「紋切型社会」(新潮文庫)。
 帯には「言葉に潜むウソを暴け あの問題作、“待望の文庫化”」といういわゆる“紋切型”の惹句。スルスルと読める感じでは決してないが、筆者が言葉を使うプロとして、言葉にいちいち引っかかるのがなかなか興味深い骨太な1冊。作家の辻村深月さんが解説を書いておられるが、「ほぐしてもまたこじれる紋切型な言葉。新しく表れる、こちらを凝り固めようとしてくる言葉。本書を読み終えた後の私たち読者が、それらの言葉を今後どう受け止めるのか、流されるのか、あるいは解きほぐそうと試みるのか、著者に試されている気がしてならない。」のとおり、なんとなく心ざわざわとする読後感。裏表紙の「何気なく耳にするフレーズには、実は社会の欺瞞が潜んでいる。」に頷いた。1982年生のプロフィールにはあえて出身大学名も編集者として勤務していた出版社名も書かない、著者の初めての作品でもある本書はBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞だそう。

 採血結果が出るまでに1時間はかかるだろうが、既に小一時間経っているので、早晩「中待合へどうぞ」の電子掲示板に番号が出るだろう、と読書の切りの良いところで血圧測定。106-63、脈拍は82。
20分ほど待つと、中待合に入れて、その後30分ほどで先生から声がかかった。病院到着から2時間かかっている。

 「さあ、どうでしたか?」と訊かれ、「今回初めて治療が待ち遠しく思いました。長くお世話になっていますが、こんなことは初めてです。それほど先週から辛かったです。」「と言うと?」と「痛いわ、咳は出るわ、息切れはするわ・・・でコデインも随分飲みました。正直、1週間治療スタートを遅らせたことは失敗だったか、と悩みました。」と答える。「うーん、実は今日治療が終わってから念のためレントゲン撮影をして帰ってもらおうと思っていたのですが、心配だから、帰りより今、緊急で撮ってきましょうか。すぐに診ますから。安心して治療した方がいい。」と。「それによって今日の治療が変わるわけではありませんよね?」と確認して、すぐに2階のレントゲン受付に向かう。

 殆ど待たずにレントゲン受付を終え、中待合いに入るとほどなくして名前を呼ばれた。あいにくレントゲン撮影は予定外だったので、ワンピースの下はブラトップではなく、下着を外さないといけなかったが、検査着はお借りしないで済んだ。正面と右からの2枚撮影を終えて、再び腫瘍内科に戻ったことを伝えて中待合いに入る。
 所要時間はわずか30分ほど。この連携プレー、有難いことである。

 少し待って再び診察室へ。PCには1月撮影と今撮影したばかりのレントゲン画像が並んでいる。心配されたのは胸水が溜まっているかどうか。すぐに指先の酸素濃度を測って頂いたが97から98%で問題はなさそう。右のポート回りの影がもやもやと大きくはなっているが、それ以外は特に目立った変化はなく、ほっとした。びっくりすることに白血球は6,100もあったし、心臓にも問題はなし、とのこと。検温は6度8分。
 予定通りパージェタ、ハーセプチン、ハラヴェンの3剤併用の治療スタート。ようやく不調から脱することが期待される治療のスタート、副作用がどうの、などはどこかに飛んで行ってしまった待ちわびた治療である。

 薬の処方は朝昼晩のロキソニン、朝一回の胃薬タケプロン。「これに加えて(コンスタントにロキソニンを飲むため、)それほど高熱にはならないと思うが、念のため抗生剤クラビットを出しておきます。7度5分以上出たら飲み切ってください。」とのこと。おそらくハラヴェン投与で白血球がかなり下がる筈なので、来週も予定どおりにできるかどうかはやってみないとわからない。次週白血球がうんと下がっていたら無理せずに中止として2クール目から再開する、それほどでもなければとりあえず少ない量でも2回目をやってみる、のどちらかになる。吐き気止めは点滴で入れるし、それほど出ない模様。下痢についてもまだロペミンの手持ちがあるし、これだけで結構です、とご挨拶をして席を立つ。そして、今朝、息子の卒業が確定したこともご報告。「ああ、そうでしたね、週末引っ越しでしたね」と言って頂く。  

 5週間ぶりに化学療法室へ。15分ほどして、Mさんから「今日はベッドでもいいですか」と問われる。今日は長くなりそうだし、大丈夫です、とお答えすると10分ほどして手前のベッドに案内された。
 荷物を降ろし、リクライニングして態勢を整えて、針刺しを待つ。10分ほどして、遊軍のSさんがみえる。「お忙しいですね、私はラッキーですけれど」とお喋りしながら針刺し。今日はちょっと痛み、針が落ち着くまでチリチリが続いた。

 30分ほどして薬が届く。久しぶりに点滴棒に何本もの薬がぶら下がる。最初にパージェタ、次にハーセプチン、吐き気止めのデキサート、ハラヴェン、生理食塩水の5本である。
 普段ハーセプチンは1時間で落とすが、パージェタと組む初回は発熱する方が多いとのことで、90分たっぷりかけて行うそう。吐き気止めは15分、ハラヴェンは5分、ラストの生理食塩水は15分。ということで合計3時間超えのフルコースだ。

 Okさんがお見えになる。体調不良のことも含めて、あれこれもろもろを思いっきり吐き出す。なんといっても初回治療なのでモニターが付いたり、15分ごとに血圧、体温測定があったりとVIP対応ですね、と軽口を叩く余裕も出てくる。寒気がしたり、何か変わったことがあったら知らせてくださいね、と念を押され、ちょっとドキドキしたけれど、1時間ちょっとかかって無事にパージェタが終了する。

 ハーセプチンは90分の予定だったが、105分くらいかかっていた。さすがにちょっと飽きてくる。夫やお友達とLINEのやり取り、そして読書で時間潰し。私はポートだから両手がフリーなので楽だけれど、これが腕の血管からだったら大分不自由だろうな、と改めて思う。1つ目のポートの寿命は短かったけれど、2代目はよく頑張ってくれていると思う。
 節目節目の体温も血圧も特段の異常はなく、ようやく短いパック3本である。40分弱で終了。

 それにしても長かった。2冊目の西加奈子さんの「まにまに」(角川文庫)を読み始めたけれど、途中でウトウトしたりなかなか進まず。結果論だけれど、今日はベッドでよかった、と思う。
 抜針はKwさん。受験生の息子さんが、無事進学先を決めたそうだ。おめでとうございます、とお祝いを。息子の卒業のことも喜んでくださった。

 化学療法室に滞在した時間は4時間半以上。周りを見渡すと、お隣のベッドにおひとりいるだけ。リクライニングシートには患者さんの姿は既に見えなかった。
 空腹を通り越して、なんだか胃が痛い感じ。会計でもかなりの混雑。30分ほど待ってさて、お支払いでぶっ飛んだ。

 どれも新しい薬なので、ある程度高いのは覚悟していたけれど、カドサイラよりも断然高かった。今日は検査もあったとはいえ、点滴代だけで74万円相当の点数。支払いは23万弱だった。これは息子の初任給をはるかに上回るではないか。今日は規定量だけれど、このまま3週に1回はこの金額で、1年17週通えば400万弱、そして翌週2回目のハラヴェンだけでも10万円は超えそう。となるとこれで1年170万円。3割負担で合計570万。間違いなく年収に相当する。高額療養費で還付されるとはいっても、またしても命の値段を跳ね上げてしまい、申し訳なさで下を向く。

 病院を出ると、なんとなく雲行きがおかしい。薬局へ向かう病院前の道路が工事中。年度末だなあと思う。薬局では2,000円弱だったのでカードが使えず現金支払い。薬が変わったのですか、と訊かれ、11時過ぎから点滴を始めて、今になりました、と報告した。

 本日の病院と薬局の滞在時間は合計で8時間近く。文字通り8時間労働。しかもお昼抜き、である。駅ビルもランチタイムは当然終わっており、レストラン街にエレベーターに乗って上がる元気もなく、1階のレストランで野菜たっぷりの麺を頂いた。本当は酸辣湯が良かったのだけれど・・・。既に早めの夕食といった時間である。夫には「疲れたし、私は食べたばかりなので、お弁当は自分で好きなものを買ってきて」と頼んでJRに乗る。優先席が空いていたので、座らせてもらった。

 帰宅後、生協から配達された食品を運び入れ、一通り収納を済ませ、洗濯を取り込んでいると夫が帰宅。後はよろしくと横にならせてもらって、休息。夫がこれなら食べられるんじゃない?とパクチーとレモンのカップラーメンを買ってきてくれた。微妙な味。

 明日はまた都心横断の出張だが、大事を取ってライナーの席を予約しておいたのは正解。今日はステロイドのおかげで結構元気。気持ち悪さもない。明日以降発熱しませんように。
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