散日拾遺

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来夏18歳 / 親友の負傷

2015-06-18 22:58:23 | 日記

2015年6月18日(木)

 

 朝刊一面は、「公選法改正」一色。選挙権を18歳まで引き下げる件で、参院で全会一致の可決とある。

 

 そうなのね?

 

 それ自体は世界の趨勢でもあって、特に反対する理由はないようだけれど、たとえば民法関連の「成人」(結婚とか経済行為とか)との整合性はどうするのかという問題がある。それより何より、今のような教育のままで有権者年齢だけを引き下げて良いものかどうか。大事なことを、すいぶん短時間で決めたもんだね。

 教育云々というのは、たとえば区立中学校のお仕着せ生徒会活動のことだ。選挙結果まで事実上教師が管理し、生徒にまるっきり考えもさせず自主性も期待しない、それがデフォルトであるような中高の教育と「国政選挙の投票権」との乖離が心配だというのである。「公民」という科目の不思議なタイトルと内容が示すように、自立した選挙民の誕生を促進するような方向に、今の教育現場は機能していない。そこに生み出されるのは、政治の主体ではなく客体だ。

 240万人の迷える仔羊らが、新たな得票のターゲットになる。そもそも現政権は、憲法改正の大文脈の中でこの件を発想しているんだから、既に着々準備があろう。「全会一致」を不思議とする所以である。野党の面々は、ほんとに良いわけなんですね?

 

***

 

 新聞なんか見る間もなく音楽祭の朝練に出かけていった三男、帰宅後に紙面を見せて「頼むぞ~」と声をかけると、「おお」とか「うす!」とか、意味不明のことをもごもご言っている。18歳云々は、どの時点の話なのかな。仮に選挙公示あるいは実施時点の満年齢だとすると、現在高2の三男の学年はちょうど移行の境界にあたる。来夏の参院選に、5月生まれの彼は間に合うが、同級生の過半は間に合わない。きっと面白い会話ややりとりが生じることだろう。

 ところで今週の三男はちょっとおかしかった。月曜の晩あたりから妙に口数が少なく、しょんぼりしてスマホをいじったりしている。何かあったのは分かったが、日頃話し好きの彼が黙り込んでいるのは理由のあることと、両親目配せしながら様子を見ていた。

 事情が分かったのは二日後で、彼の親友 ~ 高校に入って最初に知り合い、いちばん親しくしてきた級友が、野球のボールを眼に当てて病院に運ばれたのだそうである。眼窩骨折が生じており、視力はおそらく問題ないが、虹彩の機能障害のため縮瞳困難・羞明が遺る可能性があるのだと。事情は母親つながりで伝わってきた。

 何ですぐ言わないかな、親同士も親しい間柄なんだから、こんな時にはねぎらいも励ましもしたいのにというのは大人の理屈で、三男はひたすら親友と共にに痛んでいたのだ。昨夏の合宿後にあっさり野球部をリタイアしてからも、仲間のうちに数えてもらっている幸せ者である。

 こういう時こそ、祈るんだよ。

 

***

 

 眼にボールを当てたと聞いて、一連の場面が過去40年の記憶の中からツルツルと抽出されてきた。項をあらためる。