散日拾遺

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恬筆倫紙 鈞巧任釣 ~ 千字文 116

2016-04-06 07:51:44 | 日記

2016年4月6日(水)

恬筆倫紙 鈞巧任釣

引き続き人名シリーズである。

恬は蒙恬(もうてん)、斉の人で秦・始皇帝の将軍である。万里の長城の建設にあたったというが、彼が筆を作ったという伝説があるのだね。「兎の毛を縛って筆にし、字を書き、それが天下に伝わった」(李注)という。ちょっと待てよ。それ以前の春秋戦国時代、たとえば孔子なんぞはどうやって字を書いていたんだろう?

倫は蔡倫(さいりん)、後漢の人で紙を作った ~ これは小学校の国語教科書で読んだな。「麻の着物のぼろきれをつき砕いて紙を作った」と李注、蔡倫の件は『後漢書』に見えるという。そうか、孔子の時代には紙もなかったわけだ。竹簡かな。

鈞は馬鈞(ばきん)、巧は「たくみす」と動詞で読ませるらしい。三国の魏・武帝時代の人で、指南車(羅針盤をつけた車)をはじめ、自動人形だの、走行する間に米麦をつく車だの、ちょっとした発明王だったらしい。

任は任公子(じんこうし)、先秦の人。これは読んでの通り釣りの上手である。「東の海で長さ十里の魚を釣りあげ、このために海の水がわきかえり、驚いた神人(仙人)が海から走り出た」(李注)

 

千字文がちょっとした歴史教育を兼ねた謂が、よく伝わる。

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アルメニアとアゼルバイジャンの間に紛争が起きている。いわゆる武力衝突に加え、サイバー攻撃合戦もあったらしい。心配していたが終息の方向とのこと。アルメニア・アゼルバイジャン・ジョージア(グルジア)、この三角関係を理解するには、今日の国際社会全体の展望が要る。

近場の桜は本日見頃。