2016年4月6日(水)
恬筆倫紙 鈞巧任釣
引き続き人名シリーズである。
恬は蒙恬(もうてん)、斉の人で秦・始皇帝の将軍である。万里の長城の建設にあたったというが、彼が筆を作ったという伝説があるのだね。「兎の毛を縛って筆にし、字を書き、それが天下に伝わった」(李注)という。ちょっと待てよ。それ以前の春秋戦国時代、たとえば孔子なんぞはどうやって字を書いていたんだろう?
倫は蔡倫(さいりん)、後漢の人で紙を作った ~ これは小学校の国語教科書で読んだな。「麻の着物のぼろきれをつき砕いて紙を作った」と李注、蔡倫の件は『後漢書』に見えるという。そうか、孔子の時代には紙もなかったわけだ。竹簡かな。
鈞は馬鈞(ばきん)、巧は「たくみす」と動詞で読ませるらしい。三国の魏・武帝時代の人で、指南車(羅針盤をつけた車)をはじめ、自動人形だの、走行する間に米麦をつく車だの、ちょっとした発明王だったらしい。
任は任公子(じんこうし)、先秦の人。これは読んでの通り釣りの上手である。「東の海で長さ十里の魚を釣りあげ、このために海の水がわきかえり、驚いた神人(仙人)が海から走り出た」(李注)
千字文がちょっとした歴史教育を兼ねた謂が、よく伝わる。
***
アルメニアとアゼルバイジャンの間に紛争が起きている。いわゆる武力衝突に加え、サイバー攻撃合戦もあったらしい。心配していたが終息の方向とのこと。アルメニア・アゼルバイジャン・ジョージア(グルジア)、この三角関係を理解するには、今日の国際社会全体の展望が要る。
近場の桜は本日見頃。