散日拾遺

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氷の天井

2023-01-26 08:28:15 | 日記
2023年1月25日(水)
 最強レベルの寒波襲来で全国が難渋している。兵庫の親族らも雪で公共交通が止まり、遅れて出勤するやら、雪景色の写真を送ってくるやら。
 東京西部は思いのほか穏やかな晴天に恵まれ、ただ気温だけがグンと低い。日差しが明るいのでうっかりしていたが、見ればベランダの亀の洗面器が氷で閉ざされている。押しのけて首を出すことができなければ、亀といえども窒息してしまうだろう。あわてて表面を押してみると、丸い形のままゴボリと抜けた。厚さ12mmの氷の蓋である。


 御本尊は水の底でピクリとも動かない。氷は明け方までに張ったに違いなく、日中もそのまま融けることなしに、こちらが気づいたのは午後4時を回っていた。その間、息継ぎをする必要もなかったということか。いつもながら変温動物の省エネルギー性に感服する。ひき比べてわれら恒温動物は、どんなに怠けているときでも基礎代謝レベルでアイドリングをかけているのだから、地球生命体の視点からは無駄を絵に描いたようなものである。
 ずっと前から気になっていたのだが、亀は水の冷たさをどのように感じるのだろうか。
 恒温動物の場合、自身が最適とする狭い範囲に体温が保たれており、それと比較して外気の温度が高ければ暑いと感じ、低ければ寒いと感じるのであろう。自身の体温が外部の温度によって決定される変温動物の場合、こうしたズレによる暑さ・寒さは意味をもたないはずで、水の冷たさの感覚もずいぶん違っているのではないかと思われる。
 追体験のしようもないことのようだが、たとえば感覚器官の構造から機能特性を分析し、亀の感覚様式を推測することはできるかできないか…などと夢想しながら鍋で暖をとるのどかな食卓。その間、関西では最長10時間の列車立ち往生があり、16人が救急搬送されたことを翌朝知った。
 どちらを向いても申し訳ないばかりである。

Ω