散日拾遺

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水槽にグッピーが戻ってきた訳

2017-07-30 16:20:18 | 日記

2017年7月30日(日)

 部屋の片隅に、長辺30cmほどの小さな水槽が置いてある。20代の頃に熱帯魚やら、日本の湖沼に住む小魚・小エビ類やらに入れ込んだ名残で、ここ数年はこれといって何も入れずに放ってあった。それでも楽しみ方はあるもので、出張の際などに近くに川や沼があったりすれば、そこの水を汲んできて水槽に足してやる。たいがい何も起きないが、どうかするとしばらく経つうちに思いがけず水草や小動物が出てきたりする。胞子や幼生を拾いあてていたわけで、これはなかなか嬉しいものである。

 近年それすらもサボっていたが、水を足して水槽を維持する口実は立派にあった。ミジンコである。針先ほどの白いものが、水中をツンツン活発に往来し、季節によってその数が増えたり減ったりする。インターネットで見れば、ミジンコそのものの飼育を楽しむ人々もそこそこあるらしく、これら見知らぬ好事家との連帯感も悪くない。

 この呑気な楽しみを覆す事件が7月中旬に出来(しゅったい)。減った水を数日ぶりに足してやろうと水槽を覗くと、長さ7~8mmの細長い生き物がリズミカルに体を撓ませながら右往左往している。それも一つや二つではない。 瞬時に正体を悟ってげんなりした。ボウフラ、ですよね、どこからどう見ても。ボウフラの湧く溜まり水に落ちぶれちゃったのか、いったん捨てるしかないとため息ついて、待てよと思い直した。グッピーはボウフラをよく食べる、その事実を思い出したのである。そうなんですよ、可憐な装いからは想像しにくい旺盛な食べっぷりで、もぐもぐモクモクよくボウフラを食べるんです。美人の悪食(あくじき)とでも言いたいような。

 グッピー(Guppy, 学名 Poecilia reticulata)はラテンアメリカ原産の卵胎生メダカである。ものの本によれば、以前はニホンメダカなどのメダカ科とグッピー科をあわせてキプリノドン目と称していたが、その後ニホンメダカはダツ目メダカ科、グッピーはカダヤシ目カダヤシ科と分けられたらしい。カダヤシとは「蚊絶やし」のことで、この名からもボウフラの天敵であることがよくわかる。もっとも、今はダツ目となったニホンメダカもやはりボウフラをよく食べるから、日本産のメダカでもよかったのだけれど・・・

 なぜか気が動いて、ずいぶん久しぶりにグッピーを飼ってみることにした。街中の熱帯魚屋も金魚屋もめっきり少なくなったが、調べてみれば隣駅に一軒開いている。水槽にボウフラを確認した翌日、さっそく出かけて水草と共に1ペア購入。ビニール袋ごとしばらく水に浮かせ、落ち着いたところで水槽に放してやると、さっそくパクパクやりはじめた。一晩明けたら、無数と言いたいぐらい水槽一杯に跳梁していたボウフラが、きれいに一掃されていた。この小さい体のどこに入ったのだろうと呆れるばかりである。

 引き出しから、これも長らく放ってあったフレーク状の餌を引っ張り出して、朝少しずつやることにした。家の中に動物がいるのは、小さくても楽しいものである。飼い始めて10日目、朝とりまぎれて餌をやり忘れ、午後出かける前に思い出して覗いたら、水草の蔭で何かが動いた。またボウフラ?いやいや、違う。グッピーの稚魚である。あっぱれ、さっそく一仕事したのだね。ほんとにそんなに大きなお腹には見えなかったけれど。

 僕には2匹しか数えられず、そう言い置いて出かけたら、留守中に家人が根気強く観察して「たぶん6匹、少なくとも5匹」と教えてくれた。
この写真には何匹写っている?

  たぶん丸で囲んだ3匹、お手柄の母グッピーは右端上寄りの四角の中である。雄グッピーも下端に写っているが、タイミングから考えてこの雄がパパかどうかはっきりしない。多数の雄雌が群れ泳ぐ中から、お店のおじさんが適当に2匹選んだのだ、その時ママはもう身重だったはず。まあこれも御縁、仲良くここで暮らそうね。

Ω

 


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1 コメント

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Unknown (名無し)
2017-07-31 16:29:04
記事とは無関係な話題で恐縮ですが、先生は「カンタロウミミズ」というミミズをご存知ですか?
僕は高校時代は高知で寮生活を送っていた時よく山道で見かけました。
愛媛県にはいるのかな。
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