計画編
伊豆諸島には現在9つの有人島があります。伊豆大島のように渡りやすい大きな島もあれば渡るのすら苦労する小さな島もあります。QSO BANKのJCC/JCGアクティブリストなんかを見て頂ければ極端にQRVの少ない島が利島・御蔵島・青ヶ島の3つだと分かります。この3島は人口が少ない上渡島困難なためQRVが少ないのです。個人的にこの3島で最難関は御蔵島だと思います(渡島困難+イルカウオッチング人気で宿が抽選制)。
渡島困難な島のニーズは大きいですし、なんと言っても都心から140km前後と近い利島ならV/UHFのGWでも大丈夫で、Condxに左右されず運用できますから挑戦する価値があると思われます。ということで利島にチャレンジすることにしました。
利島は伊豆大島の南にある島で、東京都利島村に属します。
渡島が難しい上に温泉などの観光資源に恵まれないことから観光客はきわめて少なく、釣り客が訪れる程度のようです。そのため極めてマイナーな島で、地図で省略されていることもしばしばです。
電波利用ページで免許検索をすると利島村には現在アマチュア無線の免許をお持ちの方が1名おられますが、免許されているのは144/430のFMのみの模様です。従って移動運用がないとQSOできない島なのです(ちなみに御蔵島は2局、青ヶ島は検索不能で0局なのかも知れません)。
利島からのQRVですが、webクラスタの情報も総合してみると今年は5月に7MHzで記録されているのみ。50MHzに至っては確認が取れる最後のQRVがなんと2006年6月。2年以上QRVがない模様です。
利島には東京(竹芝桟橋)から東海汽船の大型客船またはジェット船、伊豆大島からのヘリコミューター、下田からの神新汽船があります。これだけあると便利に思えますが、過去の就航率(利島村役場調べ)を見ると恐るべき数字が出てきます。
[9月の平均就航率]
ジェット船 50%
大型客船 80%
神新汽船 75%
ヘリ 85%
[2月の平均就航率]
ジェット船 0%
大型客船 70%
神新汽船 60%
ヘリ 96%
なんじゃこれ。ジェット船なんてダイヤが設定されているだけで事実上使えないことがよく分かります。客船の70%ならいいじゃんと思いがちですが、往復ともスケジュール通り就航できる確率は単純計算すれば0.7×0.7=0.49。つまり50%程度になります。厳しい数字であることがよく分かります。私が行った過去の伊豆諸島への移動記録でも利島への就航はたびたびネタで出てきますが、条件付き(接岸保証なし)が普通のようです。
一方就航率の高いヘリは定員わずか9名、しかも無料で載せることのできる荷物が一人5kgまで、アンテナ等の長いものはダメとの制約があり、移動運用では使いにくいものです。
よく「小笠原に行くのは大変」と言われますが、小笠原航路の年間就航率は95%以上です。単に時間がかかるだけの話であり、就航率で見れば利島の方が難しいんじゃないかと思います。最近は年間2桁ものグループがQRVし、レンタルシャックまであるのにJD1人気は相変わらず衰えませんね。
できるかぎり欠航が少なく、大阪-東京間の飛行機との乗り継ぎを考慮して
行き:竹芝からの大型客船(3000便)で利島直行
帰り:利島~大島は大型客船(2000便)、大島~竹芝はジェット船(2220便)
という方法を考えつきました(あとで宿の人に聞いたら無難な方法だそうです)。行きの大型客船は昨年の式根島と同じく特2等を確保しています。ジェット船とほぼ同じ値段で2等(大部屋またはリクライニング席)よりはるかに寝やすいです。
一番困ったのがバンドの選択です。
・本土まで140kmなのでV/UのGWで飛ぶ
・移動地までは急な坂を担ぎ上げになる
・本職とも言える50MHzは外したくない
・ハイバンドのシーズンは終わったし、7MHzはQRMが激しい
・1200MHzは30km前後しか飛ばないため本土までは難しい
ということで昨年の式根島と同じ28/50/144/430で考えていました(28は144のアンテナでQRV)。ところがHFのリクエストもあるようですのでアンテナが自作で軽い18MHzを加えることにしました。50MHzはもちろん3エレです。
今回の目標はもちろん無事渡島し戻ってくることですが、印刷屋さんにカラーQSLを頼めるくらい(300局以上)の局数ができればいいかなぁ、と思っています。QRPの担ぎ上げで300局ってなかなか大変なのです。