8周年を迎えたというCamera Japanのフェスティバルが今週末ロッテルダムで行われました。これは、日本に焦点を当てたもので、今回は「Japalicios」というタイトルで、日本の食をテーマとしていました。テーマは緩めで、それと関係のないものも多く、たくさんの日本映画を見ることができる、おそらくオランダでは年一回の唯一の機会です。(ロッテルダム国際映画祭でも日本映画が公開されますが、本数ではCamera Japanのほうが多いのではないかと思います)。音楽系ではギグなどもあり、またアート展もあるようです。今週末はロッテルダムでしたが、来週末はアムステルダムが拠点です。
さて、金曜日、このフェスティバルの一環として上映された「エンディングノート(Death of a Japanese Salesman)」を見に行きました。場所はロッテルダムのLantarenVenster。この映画館は新しく、見やすいです。
私はポッドキャストで日本のラジオ番組を聞いたりしているのですが、その中でこの映画が紹介されたことがあり、また監督の砂田麻美さんがゲストで出ていた番組も聞いたことがあり、評判が良かったので見てみたいなと思っていました。この砂田麻美さんは、是枝裕和監督の助手を長くつとめていた人で、今回の映画が初監督作品です。主人公は、実際の父親砂田知昭さんで、彼は実力のある営業マンで仕事が命のような人でしたが、67歳で会社を引退し、やっとゆっくりした生活が始まったと思ったやいなや、胃がんにおかされていることがわかります。そのときは、もうステージ4でした。その後、自分の死をどのように迎えるか、営業マン時代に培ったプランニングの力を発揮し、淡々と段取りをこなしていきます。その姿を、娘である監督がカメラに納めていく、ドキュメンタリーです。
もう自分の命が長くないとわかった生の姿がそこにはあり、でもそれはただの悲しいものではなく、ユーモアがあり、人間としての尊厳を失わない姿があります。
人間って、かなり最後まで、しっかりととして会話ができるものなのだなあとも思いました。
最後の場面で、病室で夫婦ふたりきりにしてもらって、お互いに「愛してる」と言い合い、妻が日本語は忘れましたが、字幕で「Take me with you(一緒に連れて行って)」というところで、涙が溢れました。
いい映画で、見てよかったなと思いました。しかし、ナレーションが一人称で女性の声と、また実写部分の父親本人の声と、パートによって異なり、字幕でのみ理解する人には、ちょっと混乱するだろうなあと思いました。また、ふつうの語りのスピードなので、字幕は読むのがたいへんな感じでした。
この映画を見て、夫の叔母のことを思い出していました。今年の一月に喉頭がんで死を宣告された叔母を訪ねたことは、ブログに書きました。
あのあと、もう一度、3月に会いに行きました。そのときは元気で、1月のときとあまり変わりなかったのですが、5月にまた会いに行こうと夫が電話した際には、「疲れが酷いので、できれば会いたくない。電話だけでいい」とのことでした。5月の末から私たちは旅行に行き、旅先で絵葉書を出し、帰ってきたら、訃報が届いていました。密葬とのことで、そのまま事実を受け止めました。いわゆる安楽死の選択をすることは知っていたので、そうしたのででしょう。訃報の通知の手紙の文面を自分で考えて、誰に送るかもすべて自分で決めていたのです。文面では、「良い人生でした。どうもありがとう。さようなら」とありました。
映画の主人公の砂田知昭さんもそうですが、自分で自分の死までもちゃんと段どっていくという個人的とも感じられる精神性は、この現代にとても合っているように思いました。
この映画を見た、次の日。公証人から一通の手紙が来ました。何かと思って開封すると、叔母の遺言で、甥である夫へいくばくかの遺産(多額ではないです)が残されていたことを知りました。遺言によって、彼女はあとに残るものについてもちゃんと始末の手段をとっていたのです。夫にとってはまったく予期していないことでした。私は、「叔母さんは、あなたのこと気に入ってたんだよ」と夫に言いました。夫は、「それなら、もっと…(いろいろしてあげるべきだった)」。
映画を見た直後のことで、そのタイミングに少し唖然としました。
ちょっと脱線して、長くなってしまいました。
金曜日には、この映画以外にもう一本見ました。それについては、また日を改めて書きます。
体調は良好です。
さて、金曜日、このフェスティバルの一環として上映された「エンディングノート(Death of a Japanese Salesman)」を見に行きました。場所はロッテルダムのLantarenVenster。この映画館は新しく、見やすいです。
私はポッドキャストで日本のラジオ番組を聞いたりしているのですが、その中でこの映画が紹介されたことがあり、また監督の砂田麻美さんがゲストで出ていた番組も聞いたことがあり、評判が良かったので見てみたいなと思っていました。この砂田麻美さんは、是枝裕和監督の助手を長くつとめていた人で、今回の映画が初監督作品です。主人公は、実際の父親砂田知昭さんで、彼は実力のある営業マンで仕事が命のような人でしたが、67歳で会社を引退し、やっとゆっくりした生活が始まったと思ったやいなや、胃がんにおかされていることがわかります。そのときは、もうステージ4でした。その後、自分の死をどのように迎えるか、営業マン時代に培ったプランニングの力を発揮し、淡々と段取りをこなしていきます。その姿を、娘である監督がカメラに納めていく、ドキュメンタリーです。
もう自分の命が長くないとわかった生の姿がそこにはあり、でもそれはただの悲しいものではなく、ユーモアがあり、人間としての尊厳を失わない姿があります。
人間って、かなり最後まで、しっかりととして会話ができるものなのだなあとも思いました。
最後の場面で、病室で夫婦ふたりきりにしてもらって、お互いに「愛してる」と言い合い、妻が日本語は忘れましたが、字幕で「Take me with you(一緒に連れて行って)」というところで、涙が溢れました。
いい映画で、見てよかったなと思いました。しかし、ナレーションが一人称で女性の声と、また実写部分の父親本人の声と、パートによって異なり、字幕でのみ理解する人には、ちょっと混乱するだろうなあと思いました。また、ふつうの語りのスピードなので、字幕は読むのがたいへんな感じでした。
この映画を見て、夫の叔母のことを思い出していました。今年の一月に喉頭がんで死を宣告された叔母を訪ねたことは、ブログに書きました。
あのあと、もう一度、3月に会いに行きました。そのときは元気で、1月のときとあまり変わりなかったのですが、5月にまた会いに行こうと夫が電話した際には、「疲れが酷いので、できれば会いたくない。電話だけでいい」とのことでした。5月の末から私たちは旅行に行き、旅先で絵葉書を出し、帰ってきたら、訃報が届いていました。密葬とのことで、そのまま事実を受け止めました。いわゆる安楽死の選択をすることは知っていたので、そうしたのででしょう。訃報の通知の手紙の文面を自分で考えて、誰に送るかもすべて自分で決めていたのです。文面では、「良い人生でした。どうもありがとう。さようなら」とありました。
映画の主人公の砂田知昭さんもそうですが、自分で自分の死までもちゃんと段どっていくという個人的とも感じられる精神性は、この現代にとても合っているように思いました。
この映画を見た、次の日。公証人から一通の手紙が来ました。何かと思って開封すると、叔母の遺言で、甥である夫へいくばくかの遺産(多額ではないです)が残されていたことを知りました。遺言によって、彼女はあとに残るものについてもちゃんと始末の手段をとっていたのです。夫にとってはまったく予期していないことでした。私は、「叔母さんは、あなたのこと気に入ってたんだよ」と夫に言いました。夫は、「それなら、もっと…(いろいろしてあげるべきだった)」。
映画を見た直後のことで、そのタイミングに少し唖然としました。
ちょっと脱線して、長くなってしまいました。
金曜日には、この映画以外にもう一本見ました。それについては、また日を改めて書きます。
体調は良好です。
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