卍の城物語

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福富太郎コレクション 華麗なる美人画の世界

2010-07-10 16:34:19 | 美術鑑賞
弘前市博物館で開催中の「華麗なる美人画」展に行って来ました。

午前中に病院に行く用があり、けれどすぐ診察が終わったもんで、ちょっと時間が出来たので弘前市博物館へ立ち寄った。

実はこの展示会に訪れるのは二度目なんですがね。
前回訪れた時はあまりに素晴らしかったので、また来ようと決めてたのだ。

昼の11時頃訪れたが、小さな博物館には似合わず、かなりの人が観賞していた。

今回の展示会は、美術品蒐集家として著名な福富太郎氏の所蔵品の中から、鏑木清方を中心に、上村松園、伊東深水、竹久夢二などの有名画家の作品が70点も展示される。

明治から昭和初期時代の近代美人画が確立された作品ばかりが並び、特に鏑木清方に於いては、20点もの多くの絵画が展示されている。

美術に興味を持ったのは、ルネサンスから印象派時代の西洋絵画からという、基本的なところからであるが、最近は日本画にも興味が出てきた。
それは「なんでも鑑定団」からの影響が多大だ。
鑑定団ではよく日本画の鑑定があるが、大抵は贋作で笑ってしまうけど、数少ない本物を観ては、日本画の素晴らしさをもっと追求しなければと想いに駆られる。
西洋絵画の美術展は各所で頻繁に行われているが、日本画展はそれに比べるとぐっと落ちる用に感じられる。
なので今回の企画展は待ちに待った展覧会である。

いろんな名作がある中で、中でも印象に残ったものを幾つか。

まずはメインの鏑木清方の「刺青の女」だ。
あまりに官能的な女性画で、肌蹴た衣服からチラリと見える乳房には、当時では問題作となったであろうと容易に推測出来よう。
美しさとエロティシズムはほぼ同意の様な、そんな魅力が詰まった素晴らしい傑作。

そしてその隣には大作の「妖魚」がある。
六曲一隻の屏風絵で、人魚が描かれているのだが、西洋的なマーメイドではなく、まさに妖怪の、しかしながら美しさを持った人魚なのである。
これもなかなかの問題作になったであろう、怪しいテーマ作で、強烈な人魚の眼が、こちらを挑発しているかのようで、まさに虜になってしまう超大作だ。

続いて池田輝方の「お夏狂乱」もなかなかの力作だ。
二曲一隻の屏風絵で、日本舞踊の人気演目のヒロインがお夏で、恋人が死んでキチガイになったお夏を見事に描いている。
恋人を失ったショックで、放心となったお夏の描写力は見事だ。

そして山川秀峰の「春雨の宿・時雨降る日」も強く印象に残った。
双幅の掛軸で、二点がセットになって一つの作品となっている。
着物の赤茶色とエメラルドグリーンの発色の良さがあまりに美しいのである。顔料が良質なのもあるだろうが、それに負けずの技量と美しさも併せて見れる。

さらに、松浦舞雪の「踊り」がまた大傑作であった。
二曲一双の屏風絵で、左側に後ろを向いた踊り子、右側に2人の踊り子が描かれている。
この展覧会の全ての作品の中で一番の写実であり、圧倒的な繊細な描写力を持っていた。
三味線や提灯は本物に見間違えるほどの写実力で、さらに踊り子の描写も見事で、素晴らしい大作であった。
堂々たる余白の使い方もこれぞ日本画といったところ。

ホールを抜けて特別展示室に移り、そこで一際光るのが松本華洋の「伴天連お春」だ。
隠れキリシタンのお春が処刑される事になるも、死ぬ前に桜を見たいとの要望を、看守の情けで叶う事になった一場面を描いた作品である。
咲き誇る八重桜をうっとりとした眼差しで眺めるお春の表情は、もはや全てを受け容れる準備が出来た超越した心理を見事に描ききっている。
表情をとっていえば、この展覧会の中で一番と言い切れる名作ではなかろうか。

そんなわけで、あまりに素晴らしき企画展であった。
今では西洋絵画より日本画の方が好きになってしまった。やっぱり自分は日本人だからなのであろう。
特に日本女性独特の美しさは、アングロサクソンの白い肌、金髪、整った顔立ち、そんな要素があろうと決して負けていないと思うし、ま、自分は日本人だから日本女性が好きなんだけれども。

その美しさを見事に描いた多くの有名画家たちの作品に触れられるのもあと数日なので、興味がある人は弘前市博物館へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

ま、相変わらず閉館時間が早すぎるのが博物館の名物でありますが・・・。

会期・7月19日迄
開館時間・9:30~16:30
休館日・月曜日
観覧料・800円(一般)