ミルは図書館で元教授と知り合ってから、あれこれと話すようになった。
そんなある日、元教授はミルがある女性に交際を申し込めないでいる事を知る。
「ほぉう、そんな女性が?」
君にそんな物思いの女性がいるとはね、教授は意味ありげな目つきで頬を染めるミルの顔に見入った。
ふうんという感じで、彼はある本を索引で調べると、その本はまだ図書館に残っていた。
早速司書の係の人に書庫から出して来てもらうと、その本をミルに手渡した。
「これこれ、これは良い本だよ、やはりいい本は残るんだね。」
そう言うと、自分が若かりし頃この本の教えの通りに行って、今は亡き細君と見事に交際出来た事、
細君の反応が全く本の例にあった通りの反応で、その後2人はめでたく結婚まで漕ぎ着けた、
という事を話すのであった。
『結婚』という言葉にミルの方は抵抗があったが、
交際だけでよいと言うミルに対して、人生の先達は言ったものだ。
男女交際の目標は結婚なのだから、何でも目標は高く持たなければいけない。
交際は結婚までのプロセスだから、目標を結婚迄と高く持って、その後に交際を申し込むくらいじゃないと、
心にこうと決めた女性とは付き合えないよ、と。
なるほど、とミルも思った。
今まで交際を申し込む事を目標にして来たミルだけに、目標設定が低過ぎたのだと思う。
それで交際まで行くのがなかなか捗らないのだと理解した。
目標設定は高くである。
初子との結婚を目標に交際を申し込むのだと決意した。
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