彼女が恨めし気にちらっと蛍さんを見ると、蛍さんはまだ彼女にはニコッと笑って見せてくれます。茜さんは少しほっとしました。が、この笑顔が何時まで続くことやらと考えると、
『ホーちゃんまだ気が付いてないんだ。』
と思います。私が蜻蛉君の事をあの子に紹介したことに、ホーちゃんはまだ気付いてないんだ。
『ホーちゃんが気が付く前に、早くにこのゲームが終わりますように。』
そして早くに家に帰りたい。茜さんはぶつぶつと内心祈るのでした。茜さんは冷や冷やものでしたから、遊びには気もそぞろとなって勝負などもう如何でもよくなってしまいました。そこで、彼女は時間を掛けて嫌々スタート地点へ戻って来ます。渋い顔をして気が乗らな次の一投を待つのでした。
そんな従姉妹同士2人の様子を目の前で子細に伺いながら、蜻蛉君は石を投げるふりをしてスタート地点の茜さんに一体あの子はどうなっているんだと問い掛けました。
「変だろう、にこりともしないで、俺の話も聞こえていないらしい。」
俺ちゃんと日本語をしゃべってたよなぁと、時折海外にも出かける蜻蛉君は自分がうっかり外国語の方を喋ったのではないかと自らを怪しんで、一緒にその時その場にいた茜さんに確認してみました。
「日本語って?」
茜さんの方が、今度は蜻蛉君の事を不審がるのでした。
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