彼らはそれぞれに重要な情報を発見しました。光君は早朝に流れるテレビニュースの音に耳を聳て、祖父の方は地面から生出てその葉を伸ばし行く芝系の緑に注目しました。
『この草の伸び具合は青葉若葉の候だな。まだ梅雨前なのだろう。』祖父は思いました。『やったー、文化的には好ましい水準だ。期待できそうな世界だな。』光君は思いました。祖父、孫、双方共に顔に笑みを浮かべると、お互いを見やる為に振り返りました。
『 あれ?』
2人はお互いの姿を確認できないのでした。
光君は、再びこんな事は初めてだと感じます。彼は祖父が広場から何処かへ行ったのでは無いと判断していました。こんなに短時間に祖父がこの広場から姿を消すなど考えられない事だと考えたからでした。そこで、確かめる為にじっちゃんと呼んでみます。
「おお。」
と祖父の声が、彼がそこにいるだろうと見当をつけていた辺りから聞こえて来ました。先程祖父が立っていた石碑の辺りです。
「お前そこにいるのか?」
と、祖父も自分と同じように疑問を含んだ不可思議な感じの声で問い掛けて来ます。『じっちゃんからも見えてないんだなぁ。』と光君は思いました。
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