「作り手の手を見て分かったのよ。」
彼女は夢の中にいるような瞳になると言葉を続けました。
「それはもう、それはもう、色々な花の色に染まって黒ずんだ見苦しく汚れた酷く痛んだ手だったわ。」
しかも彼の目の周りには隈が出来て、細くしょぼしょぼの目をしていたのよ。話の途中から、くっくくくと含み笑いしながら話す彼女に、
「ご馳走様。」
ミルはうんざりして彼女にさよならを告げようとして振り返りました。その時です。彼女は振り返ったミルの上唇に、ぱくっと彼女の唇で噛みつきました。ミルは一瞬驚きましたが、気を取り直すと、そんな彼女の唇を優しく労わるように自分の唇で覆いました。2人はお互いに優しく労わるように親愛のキスと抱擁を取り交わし合うのでした。
旧友同士のこの星の親愛の挨拶を交わし終えると、2人は静かに離れてお互いの目を見つめ合いました。2人はにこやかに優しい面差しを交わし合うと、共に昔と変わらぬ大切な友人に感じる親しい友情を感じ合うのでした。そして、
「私は本当にミルの事も好きだったのよ。」
と、彼女は彼の気持ちを取り成すように明るく言葉をかけるのでした。概して、この星の人間は皆朗らかで平和な性格なのでした。
後にミルは彼女の夫が彼女を花園に呼び出した日が、2人の初対面の日と同じ月日であると彼女夫妻から聞くのでした。
「もう、これ以上にロマンチックな事があると思う。」
そう目を輝かせて幸福に満ち満ちて言う彼女に、ミルは地球上での任務のある天啓を受けたのでした。
「親交」終わり
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