2021年に開館20年を迎える「せんだいメディアテーク」(2001年開館)のプレイベントとして、同館設計者の伊東豊雄氏による講演会が1月26日にあった。講演テーマは「メディアテークは、なにを目指していたか」。1階の会場は聴講する多数の市民で埋まり、7階ホールにも聴講者を入れ同時中継するほどの大盛況だった。
「せんだいメディアテーク」は、インスタレーションも可能なギャラリー、市民図書館、視聴覚障害者用設備を併せ持つ、7階建ての複合文化施設である。
建設当時、職場が近かったので、なんだか不思議な建物ができるようだと、遠目に眺めていた。残念ながら、当時の私はCARAVAGGIOのHP作りに夢中になっていた頃で、恥ずかしくもあまり関心を持つことはなかった。しかし、メディアテーク完成後に市民図書館を初利用した時、その設計の斬新さに驚いてしまった。チューブ状の柱が床を突き抜け、壁が無い!!
今回の講演会で私的に理解したところでは(誤解があったらスミマセン)
伊東氏が目指したのは・・・
・Barrier free(壁をなくす---機能別の箱の集合ではない)
・Creativity(自らできるこをやる---遊園地のような遊具を与えられるのではない)
・Community(大きな家族)
どうやら「みんなの広場」「みんなの家」であるようだ。
樹木のような13本のチューブの構造体で空間を構成するメディアテークは公園のような建物であり、樹木の間に色々な場所があり、どこで何をしても良い。
ちなみに、モダニズム建築は周囲の環境を一旦遮断し各室の機能の最適な組み合わせを考えるが、メディアテークはモダニズム建築思想に反した建物であるらしい。
(会場での伊藤豊雄氏)
いつも利用している「せんだいメディアテーク」の成り立ちと、その設計意図にも触れることができ、とても勉強になった。なにしろ、伊東豊雄氏の代表作のひとつとして「せんだいメディアテーク」の名が挙がると、私的にも何やら誇らしいものがあるだ
ところで、今回の講演会では興味深いお話も色々とあった。
例えば、当時の仙台市は政治的空白期にあり、設計コンペ審査に役人を入れず(!)、磯崎新を審査委員長として公開コンペが行なわれたことは画期的だったこと。(役人がいたら無理だった?!)
海中で揺れている藻のような(チューブ状の柱)イメージは、空港に向かう成田エクスプレスの車中で思いついたこと。等々…。
ということで、とても有意義な講演会聴講であった