花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

アーサー・M・サックラー美術館とブッシュ・ライジンガー美術館。

2019-09-24 23:53:21 | 美術館

ハーバード大学ではフォッグ美術館の他に、もちろんアーサー・M・サックラー美術館やブッシュ・ライジンガー美術館も観ている。

 

アーサー・M・サックラー美術館(現在は閉鎖されているようだ)

アーサー・M・サックラー美術館では、ギリシア彫刻の色彩を再現したコーナーがあり、多分、アイギナのアフィア神殿破風の《射手》色彩(着色)復元摸刻彫像が展示してあったと記憶している。

当時、古典古代苦手の私はギリシア彫刻というものは「ミロのヴィーナス」や「ニケ」のような白い大理石像だとばかり思っていたので、その再現された色彩の鮮やかさに驚いてしまったのだった。写真を撮らなかったのが今でも残念だ

下記画像はネットで見つけたもので、展示されていたのと違うものかもしれないが、取りあえず拝借した(汗)。

 

ちなみに、その隣(前)の展示室に絵具の原材料見本が展示されていたのは何故か撮っている。

多分、ギリシア彫刻よりも絵画に使われた絵具原料の方に興味があったのだよね 

ブッシュ・ライジンガー美術館はフォッグ美術館と繋がっていたと記憶している。特に私的に目を惹かれたのがエルンスト・バルラッハ(Ernst Barlach1870- 1938)の彫刻作品だった。ケーテ・コルヴィッツもだが、その硬く生真面目な量感に、何故かリーメンシュナイダーからの流れを感じてしまうのだ。

エルンスト・バルラッハ《復讐者》(1914年)ブッシュ・ライジンガー美術館 

エルンスト・バルラッハ《不具の貧者》(1930年)ブッシュ・ライジンガー美術館

バルラッハ作品はナチから退廃芸術として破壊されたものが多いと言う。 


フォッグ美術館のゴッホ《自画像》。

2019-09-24 01:21:29 | 美術館

映画「ヒトラー vs. ピカソ」HP画面にはゴッホの《自画像》も出ていた。(日本経済新聞「美の粋」にもね)

http://hitlervspicasso-movie.com/

ああ、あの絵もナチスに略奪されたものだったのか!と、改めてその来歴を調べてみた。

フィンセント・ファン・ゴッホ《(ゴーギャンに贈った)自画像》(1888年)フォッグ美術館

実は、《坊主としての自画像》とも言われるこの自画像を、2007年の米国旅行でフォッグ美術館を訪れた時に観ている。来歴は...確かに...。

Vincent van Gogh, Arles, (1888,) gift; to Paul Gauguin, (1888-1897) sold. [Ambroise Vollard, Paris.] [Paul Cassirer Gallery, Berlin.] Dr. Hugo von Tschudi, Berlin, (1906-1911), by descent; to his widow, Angela von Tschudi, Munich (1911-1919), to Neue Staatsgalerie, Munich (1919-1938); removed from the collection by the National Socialist (Nazi) authorities in 1938, consigned; to [Theodor Fischer Gallery, Lucerne, Switzerland, for sale June 30, 1939, lot 45]; to Maurice Wertheim (1939-1951) bequest; to Fogg Art Museum, 1951.

https://www.harvardartmuseums.org/art/299843 

(ハーヴァード大学付属)フォッグ美術館Fogg Art Museum)

皮肉な巡り合わせと言うべきか、「モニュメンツ・メン」のジョージ・L・スタウト1947年までフォッグ美術館に所属していていたが、彼が去った後(1951年)、ナチに略奪されたゴッホ《自画像》はフォッグ美術館所蔵となったようだ。

ちなみに、フォッグ美術館を訪れる前、2002年の「ウィンスロップ・コレクション展」を観ていたので、館内では再見作品も多かった


映画「ヒトラーVS.ピカソ」DVDが出る。

2019-09-20 23:50:43 | 映画

前にも書いたように、映画「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」を見逃がしたので、DVDレンタルにならないかなぁ?と検索してみたら、11月2日(土)にレンタルされるらしいということで、自分用ののメモとして...

https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA0000YC8RB

実は、映画の公式HPイラストにカポディモンテ美術館のパルミジャニーノ《アンテア》を運ぶナチス軍人2人が描かれていて、これはざひ見なければ!と思ったのだ。

パルミジャニーノ《アンテア》(1520年)カポディモンテ美術館 

さて、ようやく『モニュメント・メン』の文庫版『ミケランジェロ・プロジェクト』(角川文庫)を読み終えた。読みにくい構成だったが、映画(フィクション)と違い、取りあえず当時の全容がわかったのが良かった。特に私的に注目したのが....

1945年5月2日、ソ連赤軍部隊がベルリン入場、戦利品旅団が動物園高射砲塔を漁る。5月3日~5日、フリードリヒスハイン高射砲塔を調べる。

「彼らは貴重な美術品が2階と3階に無傷のまま置かれているのにもかかわらず、衛兵を配置しようとしなかった。5月5日...間もなく2度目の火災が起こった。それは最初の火災より大規模だった。塔の中のもの-彫刻、陶磁器、本、ボッティチェッリ1点、ヴァン・ダイク1点、カラヴァッジオ3点、ルーベンス10点、ヘルマン・ゲーリングのお気に入りの画家ルカス・クラナッハ父の5点を含む434点の油彩-は消失されたと考えられた。それは、空白時期の最新の犠牲だった。」

なので、私的には、もしかしたらカラヴァッジョ3点をソ連が持ち去ったかも?疑惑が残るのだ。それとも、高射砲塔に入った泥棒が持ち去った可能性もあるかもしれない。もちろん妄想なのかもしれないが、焼失してしまった現実が残念で悲し過ぎるのだよ


東京で展覧会3本ハシゴ(^^ゞ

2019-09-17 21:45:10 | 展覧会

先週末、東京に行ってきた。展覧会を3本ハシゴしたものだから、ブログを書く気力も失せるほど疲れ果ててしまった

さて、観た展覧会は...

「円山応挙から近代京都画壇へ」東京藝術大学美術館)

  https://okyokindai2019.exhibit.jp/

「応挙、呉春から戦前までの系譜を丁寧に追うことで、円山・四条派の全貌に迫るとともに、日本美術史のなかで重要な位置を占める京都画壇の様相の一端を明らかにする」ということで、京都画壇に脈々と受け継がれて来た系譜を知ることができた。

・「コートールド美術館展 魅惑の印象派」(東京都美術館)

  https://courtauld.jp/

「その研究機関としての側面にも注目し、画家の語った言葉や同時代の状況、制作の背景、科学調査により明らかになった制作の過程なども紹介し、作品を読み解いていきます。」ということで、第3章の「素材・技法から読み解く」コーナーがとても面白く勉強になった。各作品の丹念な解説(日本語!)も有難く、私的にはLNGで観た時よりも今回の方が(懇切丁寧で)断然良かったと思う 

・「没後90年記念 岸田劉生展」(東京ステーションギャラリー)

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201908_kishida.html

「岸田劉生の絵画の道において、道標となる作品を選び、会期中150以上の作品を基本的に制作年代順に展示することで、その変転を繰り返した人生の歩みとともに、岸田劉生の芸術を顕彰しようとするものです。」ということで、並んだ作品の質と量に圧倒されてしまった!!全国各地からよくもまぁ集まったものだ。それでも展示替えがあり、今回私が見たのは前期であり、《麗子微笑》は9月25日から後期展示予定である。あまりにも内容が濃く素晴らしかったので、ぜひ展覧会の感想を書きたいと思う。


消えたユディット(^^;

2019-09-11 23:57:39 | 展覧会

ゲストのむろさんさん情報によると、大阪「カラヴァッジョ展」サイトから《ホロフェルネスの首を斬るユディット》の画像が消えている!とのこと。確かに、消えていた!!

https://www.aham.jp/exhibition/future/caravaggio/

http://m-caravaggio.jp/

カラヴァッジョ《ホロフェルネスの首を斬るユディットバルベリーニ古典絵画館

杞憂に終われば良いのだが、北海道の遅延8作品とともに、大阪展の目玉《ユディット》も来日しない可能性がありそうだ(-_-;)

今回の件は、実は私的にもなんとなく予想していたことではあった...。以前、拙ブログの「ロンドン「マンテーニャとベッリーニ展」展評を読むのも大変(^^;」で、キース・クリスチャンセンの展評に触れ、下記のように書いたことがある。

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ちなみに、この展評の中に「展覧会」について結構醒めた見方をしている興味深い一説があった。

「By their nature, exhibitions are artificial constructs defined by practical limitations. Some are self-imposed to underscore specific objectives. Others are the result of the realities of what can or cannot be lent or displayed.」(P.1040)

なんかだか、8月から始まる日本での「カラヴァッジョ展」に想いを馳せてしまった...

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結局のところ、今回の「カラヴァッジョ展」も「the result of the realities of what can or cannot be lent or displayed.」なのだと思う。


「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」全61点大公開♪

2019-09-10 22:53:35 | 展覧会

昨日、時間が無くてチェックしていなかったのだが、9月9日付けで「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」公式サイトがリニューアルされていた(汗)。全61点大公開!

https://artexhibition.jp/london2020/

どこかの展覧会のように展覧会サイトにも美術館サイトにも出展目録が掲載されていない(更に作品遅延あり)というケースもあるけど、さすがLNG&西美!!だと思ってしまった

 



「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」にサヴォルド作品も♪

2019-09-09 23:26:22 | 展覧会

「美術手帳」のサイトに、99日に行われた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」記者会見についての記事が出ていた。

https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/20516 

私的に、やはりねぇ(-_-;)、と思ったのは「本展では、初期ネーデルランド派以外の作品はすべて網羅しているという。」との一行。ファン・エイク作品とは言わないまでも、他画家作品でも良いから1枚ぐらい貸してくれても良かったんじゃないのかなぁ?

で、私の目が惹かれたのが、記者会見場の出展予定作品一覧のような壁紙(ポスター?)画像だった。ええっ!!サヴォルドの《マグダラのマリア》も来るの?!

ジョヴァンニ・ジローラモ・サヴォルド《マグダラのマリア》(1535-40年頃)ロンドン・ナショナル・ギャラリー

この銀色に輝く光沢表現が素晴らしい!!サヴォルド(Giovanni Girolamo Savoldo, ,1480-1485 – after 1548)はブレシャの画家であり、カラヴァッジョに影響を与えた先駆的画家とみなされているのだ。

それと、嬉しかったのはスルバラン(Francisco de Zurbarán, 1598-1644)作品!!

フランシスコ・デ・スルバラン《聖女マルガリータ》(1630-34年頃)ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ちなみに、国立西洋美術館の川瀬氏の印象派有名作品(?!)以外の一押しはクリヴェッリ作品だった(^^)v

ということで、さすがLNGは名画揃いだから、来日作品も目に嬉しい名作揃い。来年の春が今から待ち遠しい♪♪ 


2020年「Van Eyck(ファン・エイク)展」出展作品。

2019-09-03 23:37:47 | 展覧会

迂闊にも気付かなかったのだが、展覧会公式サイトの「Recent news」に「ファン・エイク展」出展作品への言及があった。(貴重な情報に感謝!!>山科さん)

https://www.mskgent.be/en/news/van-eyck-exhibition-2020-officially-biggest-ever

サイトによると、現在のところ、下記の9作品が決定しているようだ。

・Jan and Hubert van Eyck,《 The Adoration of the Mystic Lamb 》, (1432年)  (exterior panels)

St Bavo's Cathedral, Ghent

・Jan van Eyck, 《The Madonna by the Fountain》, (1439年) Royal Museum of Fine Arts, Antwerp en

・Jan van Eyck, 《Portrait of Baudouin de Lannoy》,(1435年頃) Gemäldegalerie der Staatliche Museen zu Berlin – Preussischer Kulturbesitz, Berlin

・Jan van Eyck, 《The Annunciation diptych》, (1433 – 1435年頃) Museo Nacional Thyssen-Bornemisza, Madrid

・Jan van Eyck, 《Portrait of a Man with Blue Chaperon》, (1428−1430年頃)  Muzeul National Brukenthal, Sibiu (Romania)

・Jan van Eyck, 《Saint Barbara of Nicomedia》, (1437年)  Royal Museum of Fine Arts, Antwerp

・Jan van Eyck and studio,《 Madonna by the Fountain》,(1440年) Private collection

・Jan van Eyck, 《The Annunciation》, (1434-1436年頃) Andrew W. Mellon Collection, National Gallery of Art, Washington DC

・Hand G (Jan van Eyck), 《The Turin-Milan Book of Hours》, (1420-1440年頃)  Palazzo Madama, Turin

「MSKはまだすべてのカードを見せたくありません。 秋には、博物館は展示会で展示されるすべてのファン・エイクの最終リストを発表します。」(公式サイト)とのことなので、更なる出展作品の追加が見込まれそうだ

私的には未見のアントウェルペン作品や、個人蔵のヤン&工房作品、トリノ市立美術館の『トリノ=ミラノ時禱書』画家G頁(トリノでは別の頁だった!)にも注目したい。


2020年はもちろん「Van Eyck. An Optical Revolution」展。

2019-09-02 22:43:07 | 展覧会

2020年の私的海外一押し展覧会は、もちろん「ファン・エイク展」である。チケットの予約状況を見ると、既に埋まってきている。

◆「Van Eyck. An Optical Revolution(ファン・エイク:視覚の革命)」展

 ・場所:ヘント(ゲント)市立美術館(ベルギー)

 ・期間:2020年2月1日(土)~2020年4月30日(木) 

https://vaneyck2020.be/en/

 

ファン・エイク兄弟「ヘント祭壇画」外側パネル(1432年)

「これまでに見られない最大のヤン・ファン・エイクの展覧会である。このフランドルの巨匠作品は世界でもわずか20点を数えるほどで、その内の少なくとも半数の作品がヘントに結集する。」(公式サイト)とのことで、これは見逃せない!!

オランダ&ベルギー・フランダース観光局共同サイトを見ると...

https://www.hollandflanders.jp/theme/503/

・この展覧会には「ヘント祭壇画」の修復を終えた外側パネルが展示予定。

・展覧会期間中は、シント・バーフ大聖堂に「ヘント祭壇画」の内側パネルが(多分修復を終えた中央パネル《神秘の子羊》を含め)展示予定。

※ご参考:修理を終えた《神秘の子羊》パネルについては下記サイトをご参照あれ。美しい色彩が蘇っている。

https://www.afpbb.com/articles/-/3179199

 

 ◆「シント・バーフ大聖堂」ヘント(ゲント)

https://sintbaafskathedraal.be/en/index.html

問題は、展覧会期間に、シント・バーフ大聖堂の祭壇画展示室の入場予約や制限があるのかどうか?である。昔訪れた時は予約無しで簡単に観られたのだが、展覧会期間はどうなるのか?がわからない

 

※備考:「アントワープ王立美術館」

サイトを見るとまだ改修中で、果たして2020年2月ごろまでに開館できるのか??予断を許さない状況ではある

https://www.kmska.be/en

ちなみに、ロッテルダムの「ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館」も改修に入ってしまい、2020年は閉鎖中である。