花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家(Ennio)」を見た。

2023-02-28 20:04:23 | 映画

2月上旬に仙台フォーラムで、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画「モリコーネ 映画が恋した音楽家(Ennio)」を見た。

https://gaga.ne.jp/ennio/

数々の映画音楽を作曲家したエンニョ・モリコーネ(Ennio Morricone、1928 - 2020年)のドキョメンタリー映画である。

この映画で初めて知ったことも多かった。エンニョ・モリコーネの父はトランペット吹きで、息子を自分の後継者にしたかったが、エンニョは聖チェチリア音楽院で学びながら作曲に興味を抱く。イタリア現代音楽の大作曲家ゴッフレド・ペトラッシに師事するのだから、まさしく彼は現代音楽の作曲家なのである。でも、生活費を稼ぐため、ジャンニ・モランディなどのカンツォーネの編曲も多く手掛けていた。

で、おおっと驚いたのは、あのジョン・ケージの演奏(パフォーマンス?)も見ていることで、多分、影響も受けたのだろうね。彼の映画音楽の楽器以外の音が多く使われているのも(例えば鞭の音とか)了解できるのだ。モリコーネの抒情的な旋律に膨らみを持たせているものは、前衛的な現代音楽のセンスなのかもしれない。

私たちにもお馴染みの数々の映画シーンを盛り上げる音楽、モリコーネの音楽は監督にも優る忘れられない名シーンを演出していたように思う。特に、幼馴染セルジョ・レオーネ監督と組んだマカロニ・ウエスタンの斬新な映画音楽!!

ちなみに、レオーネ監督が黒澤明監督の「用心棒」を見て...、というコメントと「用心棒」のシーンが出て、日本人的にはグっときてしまう。偉大なるかな黒澤映画!!

「荒野の用心棒( Per un pugno di dollari )」(1964年)、「夕陽のガンマン( Per qualche dollaro in piu )」(1965年)、「続・夕陽のガンマン( Il buono, il brutto, il cattivo)(1966年)....

なにしろ「Ennio Morricone - The Best of Ennio Morricone - Greatest Hits」の第1曲目は映画「続・夕陽のガンマン」の「The Ecstasy of Gold(L'estasi dell'oro)」なのだから

https://www.youtube.com/watch?v=Jjq6e1LJHxw

ついでに、エンニョ・モリコーネ指揮のヴェネツィア、サン・マルコ広場!でのコンサート動画。彼の背後にサン・マルコ寺院が見えるというのは、まさにスペクタクルだと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=J3IlqY1CbI0

で、この「The Ecstasy of Gold 」と言えば、HM/HR好きはすぐに METALLICA(メタリカ)のライヴのイントロとして想起してしまうのだよね。映画でもジェームズ・ヘットフィールドにインタヴューしていたし。ライヴでの皆で合唱はお約束(笑)。

※ご参考:「Metallica - Ecstasy Of Gold & Blackened  (2009 Nimes)」

https://www.youtube.com/watch?v=kQrvb3i1q-E

ちなみに、前回のブログ記事で「探しものをしていた」と書いたのは、実は持っていたはずのメタリカ「S&M」(サンフランシスコ交響楽団&メタリカ)のDVDを探していたのだ。やはりイントロは「The Ecstasy of Gold」だったから。

でも、見つけられなくて、代わりに(?)「レンブラント」DVDを発見したのだった


「レンブラント生誕400年」記念DVD(^^;

2023-02-26 21:53:20 | 展覧会

探しものをしていたら、購入したことをすっかり忘れていたDVD(封も切っていない!)が出てきて驚いた。それも2006年のゴッホ美術館、レンブラント生誕400年記念「REMBRANDT/CARAVAGGIO展」で購入したDVDなのだ

もう17年前になるのだろうか...? 

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/743d4af6e5861fd2d6a12b87362871ec

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/5d80af5ae3910fe136c52cb163f94b81

昔のDVDなので(新品だけど)、恐る恐るデッキに入れたのだが、ちゃんと見ることができて、ほっ


ドラマ「リディア・ポエットの法律(La legge di Lidia Poët)」を見た。

2023-02-22 20:30:34 | テレビ

Netflixでイタリアのドラマ・シリーズ「リディア・ポエットの法律(La legge di Lidia Poët)」を非常に面白く見た。

https://www.youtube.com/watch?v=wmd6aWpzjH0

リディア・ポエット(Lidia Poët、1855 - 1949年)は実在の人物で、イタリア人初の近代女性弁護士。彼女の弁護士活動禁止は、女性がイタリアで法律を実践し、公職に就くことを許可する運動につながった。このドラマでは、弁護士活動禁止の判決を下した裁判所との戦いも描いている。

舞台はイタリア王国成立(1871年)後のトリノ。「マルクスの死んだ年」という台詞があるので1883年頃と思われる。(1865年にイタリア王国の首都はトリノからフィレンツェに移っている。)

ドラマは、当時の女性差別と闘う彼女にオマージュを捧げるものであるが、一種の推理探偵(弁護士)&活劇ドラマ仕立ての娯楽作品でもある。SEX描写があるので(+16)になっているけどね。当時のイタリアにおける女性の地位(&扱われ方)もだが、同時に階層社会の様相も織り込み描かれていて非常に興味深かった。

ストーリー的には事件設定や解決がちょっと安易(?)かもとは思えるものの、リディアが凄く魅力的に描かれ、バロック都市トリノでのロケを含め、リディアの時代衣装(髪型も)や室内装飾の素敵さにも目が喜んでしまった。1シリーズ(6話)を2日間で見ちゃたほどで、Season2もあると良いのだけどなぁ...。

で、舞台のトリノが懐かしかったのだよ!!

上↑は、裁判所の入っている建物として頻繁に登場した、現在「リソルジメント博物館」になってるカリニャーノ宮(Plazzo Carignano)。

下↓は、バレリーナ殺人事件で登場した侯爵の家がある(という設定の)騎馬像のあるサン・カルロ広場(Piazza San Carlo)。チョコレート市が開かれていた時の写真。

下↓は、「カフェ・サン・カルロ」でお茶しながら撮った時の写真。2年続けてトリノに通っちゃいましたものね。(前年は「カフェ・トリノ」でお茶した)。

ということで、楽しみながらイタリア語(短い台詞だけ)もお勉強できる貴重なドラマでもあったのだった


ケルン大聖堂。

2023-02-19 23:20:06 | 海外旅行

ドイツのケルンは2009年6月に、ブリュッセルからタリスに乗って訪れている。当然、「ケルン大聖堂」も見ているのだが、M先生の講座で、そーだったんだと、初めて知ったことがあり、いつもながら自分の不勉強ぶりを反省してしまった

4世紀のミラノ勅令でケルンに司教座が設けられ、8世紀には大司教座教会となる。1164年、ミラノから東方三博士の聖遺骨がケルンにもたらされ、1225年頃にニコラス・ヴェルダンが《東方三博士の聖遺物箱》を完成する。

ニコラス・ヴェルダン《東方三博士の聖遺物箱》(1225年頃)ケルン大聖堂

ピンぼけ写真すみませんね。ということで、下↓ 画像をご参考まで。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:K%C3%B6ln_Dreik%C3%B6nigsschrein.JPG

更に、聖ウルスラ伝説によると、ウルスラと彼女に従う処女たちはローマからケルンに向かい、フン族のアッチラに皆殺しにされ、遺体はケルンに埋葬されたとされる。

ゆえに、シュテファン・ロッホナーによるケルンの「守護聖人三連祭壇画」の中央が《マギの礼拝》であり、左翼は《聖ウルスラ》、右翼は《聖ゲレオン》なのだと、今になって了解できたのだよ

シュテファン・ロッホナー「守護聖人 三連祭壇画(三王祭壇画)」(1426年以降)ケルン大聖堂 

※ご参考: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Altar_der_Stadtpatrone-5159_(cropped).jpg

当時、そんな経緯や伝説を知らなかった私は(汗)、この祭壇画を観ながら、ケルン派らしい優しくも美しい祭壇画だなぁ、デューラーもこの祭壇画を眺めたのだろうなぁ(ネーデルラント旅日記)と、ただただ感慨にふけったのであった

さて、シュテファン・ロッホナー(Stefan Lochner, 1400年頃 - 1451年)であるが...

「彼はオランダ出身であるか、おそらくロベルト・カンピ(パ)ンのためにそこで働いていたかもしれない。ロッホナーの作品は、ヤン・ファン・エイクとロヒール・ファン・デル・ウェイデンの影響を受けているようだ。それらのスタイルの要素は、ロッホナーの成熟した作品の構造と色付け、特に彼の最後の審判で検出することができるが、どちらも彼が学んだマスターであるとは考えられていない。」(英版Wikipedia)

M先生のお話では、ブルゴーニュ公(フィリップ・ル・ボン)はケルン周辺を訪れているので、ファン・エイクがお供でケルンに来た可能性は高い。ロッホナーの繊細な写実描写はファン・エイクからの影響を受けているかもしれない、とのことだった。だとしたら、私的に嬉しいなぁ

で、現在に見る「ケルン大聖堂」は1248年から建設が始まり、1560年に中断され、1880年にドイツのウィルム1世の手で完成式が行われた。なぜ中断されたのか?

ケルンはハンザ都市でもあり、1457年に帝国自由都市となったので、ケルン大司教(選帝侯)の首都はボンに移した。大司教はボンの司教館に住むことになり、どうやらケルンの大聖堂建設には興味を失っていったようだ

壮大な威容を誇るケルン大聖堂はゴシック様式といっても1880年の完成なので、フライングバットレスは石造りではなく、なんと鉄筋が使われていて、だいぶ近代的な大聖堂であるようだ

ということで、私の旅ではケルンには一日しか滞在できなかったが、ケルンといえばヴァルラーフ・リヒャルト美術館であり、もちろん行きましたとも。ロッホナー《薔薇園の聖母》もしっかり観ている。

美術鑑賞後の疲れは美術館カフェのケルシュビールで癒したのだったわ

ということで、ヴァルラーフ・リヒャルト美術館の鑑賞記は、またの機会に


ジャック・ル・ゴフ「中世とは何か」を読んだ。

2023-02-12 21:23:16 | 読書

今年のお正月は、O先生の講座で紹介されたジャック・ル・ゴフ「中世とは何か」を読んだ。

ジャック・ル・ゴフ(Jacques Le Goff, 1924 - 2014年)は、現代フランスを代表するアナール学派の中世史家である。

この「中世とは何か」はル・ゴフが質問に答えるという形で編集されているので、論文調ではなく、初心者の私にも非常にわかりやすく読むことができた。内容は多岐にわたるが、ちょうど本のカヴァーに要領よくまとめられているので、写真を撮っちゃった、へへ、ご参考まで

以前、このブログでも書いたのだが、西洋の中世は「476年(西ローマ帝国の滅亡)~1492年(コロンブスの新大陸発見)」とされている。

https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/b46ebc320f91137015fc4d99c61ce243

まず、西洋史の時代区分についての話は確かに笑えるのだけどね。明日から中世が終わって近世ですよなんて、当時生きていた人たちには認識できっこないもの。

ちなみに、日本でも日本なりの「中世」という概念はあるように思えるのだけど、どうなのだろう?? 大学時代(日本史専攻ではない)、黒田俊雄の中世領主制説とか、永原慶二とか網野善彦とか勉強した記憶があるのだよね(内容は忘却の彼方)。

「西洋の組織化は、敵として認識される世界と対立する自らの存在を自覚し、一つのキリスト教世界、いやキリスト教世界そのものであろうと欲することによって、はじめて可能となった。」

ああ、これは「百年戦争」が、当時未分化だったフランスとイギリスが、戦争の結果としてフランスとイギリスという「国家」が生まれたのと同じだなぁと了解できる。

ちなみに、私的におーっ!と目から鱗だったのは...例えば...

■「すべてが宗教だった中世に宗教という言葉はなかった。16世紀の宗教という概念の誕生は、本当の断絶を示す。」

「宗教」という言葉が言語化されたということは、「宗教」の客体化であり、中世キリスト教社会との決別だということなのだと了解できた。

■「ヘーゲルの『歴史の終わり』も、マルクスの『最終戦争』も、おそらく中世人にとってとっぴな考えではなかった。」

いや、本当になるほどね!と笑っちゃえるところが凄い。ヘーゲルもマルクスも読んでないけど(汗)、彼らの頭の中には、きっと中世人のDNAが刻まれていたのだろうなぁと想像できたのだ。

ということで、この「中世とは何か」があまりにも面白かったもので、積ん読状態だったアンリ・ピレンヌ「ヨーロッパ世界の誕生-マホメットとシャルルマーニュ」を読み始めてしまったのだよ。

私の知りたかったローマ帝国の崩壊後の世界が詳細に描かれていて非常に興味深いのだが(塩野七海さんの著書では物足りなかった)、しかし、「中世とは何か」ほど読みやすくはなく、少しずつしか読み進めない自分の読解力(&知識)の無さが残念である。ということで、現在進行形で読み続けているところだ。

ちなみに、ピレンヌの「ベルギー史」が本当に読みたいのだわ!! どなかた専門家の先生が翻訳して出版してくれないかなぁ。お願いいたします!!


NHK-BS3「贋作の迷宮~闇にひそむ名画」再放送を見た。

2023-02-09 21:26:14 | テレビ

昨夜(2/8)、NHK-BS3の「プレミアムカフェ」再放送で「贋作の迷宮~闇にひそむ名画」(2010年)を見た。

https://www.nhk.jp/p/pcafe/ts/LR4X1K4WV7/episode/te/VPQGZ989YM/

特に興味深かったのはウィルデンスタインのルノワール。私的には東京作品の方がルノワールらしさを強く感じた。比較すると、英国作品は...なんだかね。それでも、英国の美術館が「真作=レプリカ」扱いするのはアリガチな話のように思える。

さて、今夜(2/10午前0時)は「4人のモナリザ “謎の微笑”モデルの真実」(2017年)、明日は「スリーパー・眠れる名画を探せ」(2004年)のようで、録画予約したので安心かな

 


丸紅ギャラリーの突出広告 。

2023-02-05 17:50:50 | 展覧会

今日(2月5日)の「日本経済新聞」文化面の突出広告を見てニンマリしてしまった

「美しきシモネッタはいかがでしたか? またお会いできる日を楽しみにしています。」

なんだかシモネッタ様からのメッセージみたいじゃない?

展覧会告知じゃないところ(終了御礼?)が良いのかもね😉。

(※追記:もしかして馬渕前西美館長へのメッセージなのかなぁ?? でも内容がサッカーだし


東京都現代美術館「クリスチャン・ディオール展」ドレス編(2)

2023-02-04 21:48:31 | 展覧会

東京都現代美術館「クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展」の数々のドレスは本当に素敵だった。構築された立体としての芸術性もだが、その手の込んだ素材のディテールも素晴らしく、ああ、ドレスって美術品なのだなぁと再確認できたような気がする。

ということで、自分の目が自然にズームしてしまったディテールのいくつかを紹介したい

下↓のドレスには、スカートに造花🌸が散りばめられていたり...

下↓は、美しく染色されたレースを刺繍とともに縫い込んでいるように見えた。

こちら↓のドレスは襞寄せの上から刺繍を施しているようだった。

下↓は手の込んだビーズ刺繍が豪華

こちら↓は、多分アフリカのビーズ装飾を参考にしたのではないかと思うが、びっしりのビーズが凄い

下↓は、もしかしてエジプトのパピルスをイメージした素材ではないだろうか??

ということで、ご紹介したのは、展示ドレスからのほんの一部なのだが、とにかく見応えのある展覧会だったのだわ


東京都現代美術館「クリスチャン・ディオール展」ドレス編(1)

2023-02-01 23:20:16 | 展覧会

今回の東京都現代美術館での展覧会はパリ装飾芸術美術館での「クリスチャン・ディオール、夢のデザイナー」展の巡回展であるが、パリ展の企画・設営の様子をYoutube動画で見ることができる。

https://www.youtube.com/watch?v=FLWDWzMrkBE

地元パリの歴史的背景を伴う豪華さには及ばないと思うが、東京展では展示作品の再構成と会場デザインを見ていると、東京都現代美術館という器の中で見事に健闘したと思う。

ちなみに、私はファッションに詳しくないけれど、Dior 歴代のクチュリエ(デザイナー)の中で特に好きなのは イブ・サン・ローランである。

サン・ローランのDayドレスは私も着てみたいと思えるのだもの

もちろん、ジャン・フランコ・フェレの立体的なフォルムも大好きだけどね。

しかし、特にド派手ながら面白いと思うのはジョン・ガリアーノなのだ。例えば、「Christian Dior Haute Couture Spring Summer 2007」の動画を見ても、苦笑するところもあるが、やはり圧倒的に美しくも面白い。

https://www.youtube.com/watch?v=HwnU43QCUJo

日本からインスピレーションを得た世界観なのだろうね、きっと(;'∀')。動画のショーにも登場したドレスも展示されていた。

こちら↓はエジプトや世界各地からインスピレーションを得たドレスの数々。

で、会場にはフォーマル・ドレスの多々立ち並ぶ壮観な一室もあった。

私的に、これなら私にも着られそうと思ったのは下↓の右のドレス一着のみ

ということで、次回はディテール編を