花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

東京国立博物館「マルセル・デュシャンと日本美術」サクッと感想(^^;(追記あり)

2018-10-22 23:58:20 | 展覧会

さて、国立西洋美術館の後、向かった先は東京国立博物館だった。現在、平成館では「マルセル・デュシャンと日本美術」展と「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展を同時開催している。お得な2展セットのチケットを購入したものの、時間的にも体力的にも二つ観る余裕はない。

ということで、今回は「デュシャン」を観て、「みほとけ」は次回上京時に観ることにした。だって、デュシャンと長次郎の黒楽茶碗がどのように繋がるのか興味津々じゃぁありませんか(^^;

https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1915

デュシャン作品はフィラデルフィア美術館から来ていた。

 

↑ 懐かしのフィラデルフィア美術館。映画「ロッキー」にも登場した階段。

マルセル・デュシャン《自転車の車輪》

 で、本題である。マルセル・デュシャンの展覧会としては、画家としてのデュシャンの出発点からはじまり、大ガラスやレディメイドへの過程も含むデュシャン芸術の変遷と生涯をわかりやすくまとめた、かなり面白い展覧会だった。

現代美術苦手の私だってデュシャンは知っているし、作品もなんだかんだと観ているし、特にレディメイドのインパクトは美術史における革命だと思っている。でもね、今回は「マルセル・デュシャンと日本美術」と題されているのだ。

しかし、実際はデュシャン作品展示の後半部分に日本美術がほんの少し展示されているだけだった。デュシャン作品と展示された日本美術の関連を記す解説があるものの、美術ド素人の私にはどうしてもそれが無理やりのこじつけのように思えてしまったのだ。 

確かに「時間」の捉え方として《階段を降りる裸体 No.2》と日本の絵巻物(今回は《平時物語絵巻》)を比較するのは(安易過ぎるが)納得もできる。

 

マルセル・デュシャン《階段を降りる裸体 No.2》(1937年) 

しかし、「400年前のレディメイド」として伝千利休《竹一重切花入 銘 園城寺》と長次郎《黒楽茶碗 銘 むかし咄》が展示されているものの、解説を読んでも作品を観ても、頭の悪い私には「意味わかんない」のだった(^^;;;

もちろん、利休の美意識が革命的だったことはデュシャンに通じると言いたいことはわかる。でもね、展覧会とは展示作品からそれを鑑賞者に納得させるものだと思う。そして、多分、私が困惑したのは、美意識における革命という意味では同じでも、目の前にある利休(伝)&長次郎作品が決して「レディメイド」では無く、一点ものの「特注品」であることが抜け落ちていることの不思議さにあったのだと思う。確かにどこにでもある竹を使ったものかもしれないけど、同じ花入れ(「竹」は植物)は存在しないのだよ。長次郎の楽茶碗は「手づくね」なのだよ。

長次郎好きの極私的感想を言わせてもらえば、「便器」も「黒楽茶碗」も同じ陶器だからと言って一緒になんかされたくないものだわ 

※追記:東博のチラシを良く見たら、下記の対比となっていた。だからと言って感想の変更はないので悪しからず(^^ゞ

☆Q.花入と便器の共通点は? 《泉》:《伝利休 竹一重切花入》  

☆Q.日常品がアート? 《自転車の車輪》:《長次郎 黒楽茶碗》

で、最後に蛇足ではあるが、せめて室町からの美意識(例えば東山御物など)の流れと利休の美意識の違いを、花入れと茶碗の例からだけでも展示してくれた方が親切だと思った。なにしろ、観客は通常の平成館展覧会とは違い、圧倒的に若者や外国人の方が多いのだから。 


仙台国際センター駅「羽生結弦写真集『YUZURUⅡ』発売記念写真展」を観た♪

2018-10-21 00:22:18 | 展覧会

仙台地下鉄東西線の国際センター駅で開催中の「羽生結弦写真集『YUZURUⅡ』発売記念写真展」を観た。

観客は圧倒的に女性が多い(笑)。

会場には、平昌オリンピックを含め、近年の羽生君を撮った写真が展示されていた。演技中の羽生君のキッと睨んだ目が特に良い。でも、私的に一番気に入ったのは国民栄誉賞の授賞式の衣装、仙台平の袴を身に着けた羽生君の正面写真だった♪ やはり地元贔屓になってしまうなぁ(^^ゞ


国立西洋美術館「ローマの景観」展サクッと感想。

2018-10-20 00:23:26 | 展覧会

国立西洋美術館の常設展示室で新収蔵品クラーナハ《ホルフェルネスの首を持つユディット》を観た後、版画素描展示室に向かった。ゲストの山科さん&むろさんさんご推薦「ローマの景観-そのイメージとメディアの変遷」を観るためだ。

17~18世紀に英国の貴族子弟に流行したイタリアへのグランド・ツァーであるが、当時は記念写真やお土産用の絵葉書など無いから、名所旧跡の景観を描いた版画や絵画が盛んに流通し、特にピラネージ(Giovanni Battista Piranesi, 1720 – 1778)が描いた版画連作「ローマの景観」は評判を呼んだようだ。ヴェネツィアならカナレットやグァルディの‘Veduta’だと思うけど、しかし、ピラネージの場合は方向性も描き方もまるっきり違う。「牢獄」版画連作なども観たことがあるが、まさに綺想の画家と言うべきかもしれない。 

で、このピラネージ「ローマの景観」はハッキリ言うとそのまんまのローマを描いたものではない。古代建築が残る景観をドラマチックに演出するため、各所から寄せ集め構成したり、細部を大いに盛ったり、俯瞰を取り入れたり。ローマをまるでエキゾチックで幻想的な都市空間であるかのように仕立て上げ、観る者を幻惑してくれるのだよ。「コロセウム」なんてまるでブリューゲル《バベルの塔》を想起してしまう。って、ブリューゲルもコロセウムを参考にした説もあるけど 

ジョヴァンニ・ヴァッティスタ・ピラネージ《コロセウムの鳥観図》(1776年)「ローマの景観」より

このピラネージ「ローマの景観」のインパクトのあるイメージが、その後の新しいメディアである「写真」登場においても、伝搬引き継がれ、参照されていく、という展示ストーリーのようで、東京都写真美術館協力のもと、木村伊兵衛や白川義員などの写真家作品も並ぶなかなかに面白い展示となっていた。 ちなみに、立派な作品目録も作られていたので、企画者側の気合がわかるよね

特に私的に興味深かったのは白川の夕陽に紅く染まるコロセウム鳥瞰(空撮?)作品《ローマ》で、古代ローマ時代は血で染まったであろうコロセウムを想起させ、なおかつ、ピラネージの幻想性を孕みながらも、なぜか抽象化されたコロセウムであるように思えてならなかった。写真の面白さってまだまだわかない美術ど素人の素朴な感想ですみませぬ


国立西洋美術館:クラーナハ《ホロフェルネスの首を持つユディット》

2018-10-18 00:42:49 | 美術館

国立西洋美術館で「ルーベンス展」を観た後、先ずは常設展示室に向かった。ゲストのむろさんさん情報で、新収蔵品としてクラーナハ作品が入ったことを知ったからだ。(感謝です!!>むろさんさん)

http://www.nmwa.go.jp/jp/information/whats-new.html#news20181012_2

ルーカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディット》(1530年頃)国立西洋美術館

サイズ的にはそれほど大きくないが、クラナーハらしく「女の力」が怖~いSM的世界である。剣を持ち冷ややかな微笑を浮かべる美しきユディット、薄目をき剥き、断末魔のあえぎを口元に残すホロフェルネス。なにやら恍惚感を浮かべているように見えるのは、これこそクラナーハ的と言うべきか。後方に見える窓的な風景画が、前方の怪しげな世界を風通し良く緩和しているような気もする。この新収蔵品、魔性の「女の力」で多分鑑賞者たちの目を喜ばすだろうなぁ(笑)


国立西洋美術館「ルーベンス展」とりあえず超サクッと感想(^^ゞ

2018-10-17 02:34:27 | 展覧会

国立西洋美術館「ルーベンス展-バロックの誕生」を観てきた。とりあえずの超サクッと感想をば...(^^ゞ

「ルーベンス展」会場前ホールの壁に大きなスクリーンが設置されており、イタリア修業の総決算であるキエザ・ヌォーヴァ(サンタ・マリア・イン・ヴァリチェッラ聖堂) の祭壇画の紹介から始まる映像が流れていた。もちろんカラヴァッジョの祭壇画《キリストの埋葬》(コピー)は出てこない。でも、展覧会でルーベンスが模写していることにも触れていないし、なんだか寂しかったなぁ。ちなみに、会場に図録が見えず図録も買わずで(汗)チェックしていないが、多分、図録での言及はあるとは思うのだけどね。

で、展示内容の方は大型祭壇画や神話画が来ていてかなり見応えがあり、巨匠ルーベンスのスケール感がよくわかる展覧会となっていた。また、ルーベンスがイタリアで学ぼうとした古代彫刻など(ベルニーニのラオコーン摸刻⇒ベルニーニ(?)>ゲストのむろさんさん情報に感謝!!)も来ており、素描・版画作品も含め興味深く観ることができる。そういえば、ルーベンスも好んだ《ファルネーゼのヘラクレス》は私もパラッツォ・ファルネーゼで観ている(^^)v

今回の展覧会はルーベンスとイタリア美術との関係にスポットを当てており、ルーベンスがイタリア滞在時に影響を受けたイタリア美術、そしてルーベンス作品がイタリア美術に与えた影響を作品からひも解く内容だ。ルーベンスがアントウェルペンからイタリアに赴いたのは1600年、まさにカラヴァッジョやアンニバレ・カラッチが活躍するバロックの誕生時期に重なる。その割に二人への言及が少ないと思うのだけど...。しつこい?

※参考:国立西洋美術館「出品リスト(PDFファイル 約874KB)」(ゲストの山科さん情報に感謝!!)

私的にはルーベンスのイタリア時代初期作品が特に興味深く、ティツィアーノからの影響は勿論だが、私のド素人眼はボルゲーゼの《キリスト哀悼》にベッリーニの影響さえ見てしまった(汗)。《パエトンの墜落》はジュリオ・ロマーノのパラッツォ・デル・テの影響も大ありだと思ったし、ルーベンスが貪欲にイタリア美術を吸収している様が作品から透けて見えるのが面白い。

で、イタリアの画家達への影響だけど、ベルニーニはもちろんと言うべきなのか(ゼーリ説には言及無し)、コルトーナもわかるけど、ランフランコ《獅子を引き裂くサムソン》はルーベンスというよりグイド・レーニの影響大だと思ったし、他にも色々思うことありだった。

ということで、画像とか探してから、もっとマシな感想を書きたいけど、書けるかなぁ(^^;;;


パリ「Caravaggio's Roman Period 」展

2018-10-12 00:33:45 | NEWS

ボローニャのFさんからの情報です。(Grazie!!>Fさん)

「Caravage à Rome, amis & ennemis」展

(Caravaggio's Roman Period - His friends and enemie)

・会場:Jacquemart-André Museum(パリ)

・会期:2018年9月21日(金)~2019年1月28日(月)

https://www.musee-jacquemart-andre.com/en/node/2143 

パリ、それもジャックマール=アンドレ美術館だなんて!! 4月に行ったばかりじゃないですか~( ;∀;)。多分、観に行けない…(涙)。