山形美術館「令和3年度国立美術館巡回展 国立西洋美術館コレクションによる 山形で考える西洋美術 ─〈ここ〉と〈遠く〉が触れるとき」を観た感想をサクッと。
http://www.yamagata-art-museum.or.jp/exhibition/4157.html
国立西洋美術館で開催される「○○美術館展」は観慣れているが、山形美術館との協同による、ある意味での「国立西洋美術館展(?)」はなかなかに興味深かった。
基調テーマである「〈ここ〉と〈遠く〉」が、作品や作家にとっての時間的・空間的な距離であったり、記憶であったり(観者も含め)、それぞれが互いに重層的に繋がり、更には、上野の「国立西洋美術館」までも組み込むなんて、私的には「そー来たかぁ~?」だった(笑)。確かに意欲的な「国立西洋美術館展」ではあった。
さて、展覧会の章立ては…
【第1章】山形生まれの彫刻家が見た〈遠く〉の夢 ──持ち帰られた記憶たち
【第2章】自分たちのものではない記憶のコレクション ──日本に「西洋美術館」があるということ
【第3章】〈ここ〉と〈遠く〉が触れるとき ──西洋と山形の近代以降の芸術
先ずは、今回初めて知った山形出身の彫刻家新海竹太郎(1868-1927年)。新海は1900年にパリに渡り、その後ベルリンで彫刻を学び、1902年に帰国している。故に、オープニングは新海《ゆあみ》とロダン《青銅時代》が並び立つ。
新海竹太郎《ゆあみ》(1907年原型/1986年鋳造)山形美術館
当時、深海がパリで影響を受けたであろうロダン作品との関わりが興味深い。それに、こんな機会でもないとロダン作品をしみじみ観ないし(西美ではいつも2階に直行)、今回、ロダンの《青銅時代》はミケランジェロの《ダヴィデ》なんだ!!と、改めて了解できたのも収穫だった。
新海はベルリンで彫刻を学んでいるので、やはりマックス・クリンガーやケーテ・コルヴィッツの版画作品が展示されていたのは、なるほど!だった。でもね、私的には彫刻作品の方が好きなので、エルンスト・バルラッハを含め、西美には彼らの彫刻作品もコレクションして欲しいのだわ。(ちなみに、新海はリーメンシュナイダー作品を観ただろうか??)
蛇足だが、ノイエ・ピナコテークで観たクリンガー《エルザ・アセニジェフ》は魅力的だったし、石素材の使い方も面白く、当時写真は撮れなかったので絵ハガキを買ったのを思い出す。
http://www.sammlung.pinakothek.de/en/artwork/02LAlOpxyk/max-klinger/elsa-asenijeff
(続く)