花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

屋根裏からカラヴァッジョ?!《ホロフェルネスの首を斬るユディット》(一部訂正あり)

2016-04-13 18:27:53 | 西洋絵画

トゥールーズの「屋根裏からカラヴァッジョ」ですか?! 日本の新聞よりもイタリアの「レプブリカ紙」の方が詳しく出ているのでリンクします。 

トゥールーズで発見されたカラヴァッジョ真作(?)《ホロフェルネスの首を斬るユディット》 

ナポリにあるルイ・フィンソンによるコピー作品は2004年の「カラヴァッジョ晩年期展」で観ていましたが、今回の発見作品画像を見ると、フィンソンよりは質の良い作品であることはド素人眼にもわかります。 

ルイ・フィンソン《ホロフェルネスの首を斬るユディット》コピー作品(1607年)パラッツォ・ゼヴァッロス

フィンソンはカラヴァッジョ《ロザリオの聖母》と、多分《ホロフェルネスの首を斬るユディット》(バルベリーニ作品とは別)を所有していたようで、(それを売却したようですが)、もしかして手元にあった時に模写したのでしょうかね??

カラヴァッジョ《ホロフェルネスの首を斬るユディット》(1599年)パラッツォ・バルベリーニ 

しかし、今回のトゥールーズ作品がオリジナルのカラヴァッジョ真作なのかは、今のところ何とも言えません。もちろん、美術ド素人の私には真贋の判断など下せようはずもありませんが、 やはり自分の目で確かめたいものです。

ちなみに、2014年に発見され、今のプレス発表というのは(調査に時間がかかったのだとは思いますが)、なんだか日本での《法悦のマグダラのマリア》真作(?)展示を意識しているのかな??と、美術ド素人は下司の勘ぐりをしてしまったのですがね(^^;;;


宮下先生の追っかけ??

2016-04-11 00:57:02 | 講演会

意図してではないのですが(?)、結果的に宮下規久朗先生の追っかけをしてしまいました(^^;; 

4月2日の「カラヴァッジョ展特別講演会」抽選に落ちた人たち用の「受け皿企画」(?!)朝日カルチャーセンター特別講座「もっと知りたいカラヴァッジョ」が4月9日(土)にあり、当然!聴講してきました(^^;

で、翌10日(日)、コラッセ福島で「レンブラントとフェルメール展」特別講演会があり、仙台から近いので、当然!聴講しました。

ということで、仙台⇔東京、仙台⇔福島、連日の日帰り移動で、私的にお疲れモードです(^^;;。なので、講演内容は時間がある時にサックリと書きたいと思っています。もちろん、裏話は書きません(笑)。

あ、表話をひとつ。宮下先生の本が岩波書店から2点刊行予定です。

・『闇の美術史-カラヴァッジョの水脈』5月24日(火)刊行予定。

・『ヴァネツィア 美の都の一千年』(岩波新書)6月刊行予定。(「アカデミア美術館展」も始まりますものねぇ(^^;)


ノヴァラ「ロットからカラヴァッジョまで」展

2016-04-07 23:02:13 | 展覧会

ボローニャのFさんから展覧会情報をいただいた。Grazie!!

「ロットからカラヴァッジョまで-ロベルト・ロンギの収集と研究」展

"Da Lotto a Caravaggio - La collezione e le ricerche di Roberto Longhi"(原文をお薦め)

・期間 : 2016年4月9日(土)~ 7月24日(日)

・場所 : ブロレット博物館(ピエモンテ州ノヴァラ) 

去年秋のマルケ旅行は、なんだかロレンツォ・ロット作品を巡る旅でもあったような気がする。マルケにはヴェネツィア派の作品が多く残っており、ロレートに隠棲したロット作品も近辺に散在する。そのロットからカラヴァッジョへというテーマも興味深く、それもロベルト・ロンギの研究を基にするようなので、これまた期待できそうだ。

展示予定は... 

Oltre a Lotto , Caravaggio e Ribera , verranno proposti dipinti di Dosso Dossi, Amico Aspertini, El Greco, Lambert Sustris, Romanino, Saraceni, Borgianni, Fetti, Battistello Caracciolo, Stom, Van Honthorst, Lanfranco, Mattia Preti, il Morazzone e il Cerano, con la “Deposizione di Cristo” del Museo Civico di Novara.

実は私的にも、ちょうど西美「カラヴァッジョ展」の勉強用に『芸術論叢』を読んでいたところだった。十年以上も前、カラヴァッジョ関連部分をざっと目を通しただけだったので、今回改めて読んでみると、昔よりも今の方がロンギの凄さが一層よく理解できる。近年のカラヴァッジョ研究はロンギを乗り越えてはいるのだろうけれど、しかしながら、ロンギの研究が土台となっているのは確かだと思う。なんちゃって、不遜な美術ド素人がごめんなさいっ(^^;;; 

今回の展覧会はきっとロンギへのオマージュ展なのだろうなぁ。それも含めて、どのような展開になるのか興味津々だ。しかし、ロンギ財団所蔵のカラヴァッジョ《蜥蜴に噛まれる少年》は現在東京で展示されているのだし、どうするのだろう???


国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」感想(10)

2016-04-06 23:56:10 | 展覧会

・カラヴァッジョ《バッカス》

カカラヴァッジョ《バッカス》(1597-98年頃)ウフィッツィ美術館 

この《バッカス》を何度か私用の年賀状に使ったことがある。見るからに酔っぱらったようなとろんとした目でこちらに向けてワインのグラスを差し出す《バッカス》の、ぽってりと丸みを帯びた体躯や髷を飾る蔦の葉に果物の色彩に、なにやら豊饒なる目出度さを覚えてしまうからだ。たとえバッカスが白いシーツを身に纏い、安っぽいクッションを背にあてがい、器に盛られた果物が朽色を晒していても、その安っぽさまでが小憎らしくも面白い。酒臭さを画面にまき散らし、酔った手でリボンを解くつもりか、その身を差し出そうとするしぐさまでも観る者を思わずニヤリとさせるものがある(笑)。例えば《勝ち誇るアモル》と同じように…(^^; 

さて、図録を読むと、ミーナ・グレゴーリは人物表現、静物表現のいずれにおいてもブレーシャ派の影響を指摘しているようだ。「モレットの描いたブレーシャのサンタンドレア聖堂の果物籠や、同じくモレットが描いた《ノアの泥酔》(個人蔵)に描かれたブドウの表現と本作を比較してほしい」と。 

ということで、さっそく比較してみた。で、ツッコミごめんね(^^;。サンタンドレア聖堂はブレーシャではなく「ベルガモの」じゃないだろうか?? 

モレットは本名アレッサンドロ・ボンヴィチーノ(Alessandro Bonvicino, detto il Moretto , 1498年 -1554年)、ブレーシャ派の画家である。要するに、カラヴァッジョに先行する「ロンバルディアの画家たち」の一人だ。 

モレット《玉座の聖母子と聖アンデレ、聖人たち(Madonna in trono col Bambino tra i santi Eusebia, Andrea, Domno e Domneone)》(1536-1537頃)サンタンドレア聖堂(ベルガモ) 

モレット《玉座の聖母子》果物部分の拡大

カラヴァッジョ《バッカス》果物部分の拡大

モレット《ノアの泥酔(Ebbrezza di Noè)》(1521-1528頃)個人蔵(ビエッラ)

モレット《ノアの泥酔》ツタ部分の拡大

カラヴァッジョ《バッカス》ツタ部分の拡大

確かに、言われれば「そうかも」と思ってしまうが、ミラノにもアルチンボルドやフィジーノなどの静物画の系譜がある。そして、ベルガモはカラヴァッジョ村からも近いのだ。

 カラヴァッジョ駅近くの道標。

ということで、まだまだ感想文は続きます(^^;;;


桜の季節。

2016-04-05 23:37:48 | Weblog

桜の季節ですね。本当は2日に千鳥ヶ淵の桜を見られるかもと期待していたのですが、残念ながらイタリア文化会館「カラヴァッジョ展記念講演会」のハガキ抽選に落ち、見ることができませんでした(涙)。 

でも、仙台にも本格的な春が来たようです。桜も五部咲きから七分咲き。今週末には満開の桜が見られそうです。 

近所のお庭の桜。白木蓮との競演です。

榴ヶ岡公園の桜。今週末が見ごろでしょうか?

椿の花も綺麗でした♪


国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」感想(9)

2016-04-01 22:26:31 | 展覧会

遅遅として、さっぱり進まない感想文もようやく「静物画」にたどり着いた(汗)。それにしても、日本で《果物籠をもつ少年》と《バッカス》が一室に並ぶ機会があろうとは思いもよらず、カラヴァッジョ偏愛としては本当に嬉しかった!! そのうえ、先にも書いたが、今回の照明の効果もこの「静物画」に集中していたように思う。更に、図録の表紙は《バッカス》と《果物籠をもつ少年》であり、企画者側もこの静物画2作品が並ぶ威力を多分に意識したに違いない。展覧会の見どころは、目玉作品《法悦のマグダラのマリア》より、この「静物画」にこそあると思う。 

Ⅲ)静物画

・カラヴァッジョ《果物籠を持つ少年》

2001年「カラヴァッジョ展」でも来日していた作品だが、今回の方が照明効果によるものか、果物籠に盛られた果物の色鮮やかさや艶やかな質感が一層際立って見えた。多分、この色っぽい唇半開き少年がややマットに描かれているからこそ、正面の果物籠に盛られた果物の色艶やかな光沢描写が一瞬「写真か?」と見紛うばかりにリアルに観る者の眼に迫ってくるのだ。まさに魅惑的!!迫真の描写とでも言うべきカラヴァッジョの眼と筆力!!!

カラヴァッジョ《果物籠を持つ少年》(1597年頃)ボルゲーゼ美術館 

カラヴァッジョがローマに出て来て間もなく、ダルピーノ工房にいた頃の作品であるが、既に「静物」に対する驚くべき観察眼と写実力を兼ね備えていたことがわかる。 ボルゲーゼ美術館所蔵であるのは、シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿(美術コレクター!)が叔父のパウルス5世を動かし、カヴァリエーレ・ダルピーノの元にあったこの作品を取り上げたからである。

ちなみに、イタリア絵画史上、独立した「静物画」の成立は、カラヴァッジョ《果物籠》とされている。 

カラヴァッジョ《果物籠》(1597年頃)アンブロジアーナ絵画館

(静物画の起源や発展については、以前の拙ブログで宮下先生の講演会を基に書いたことがある。稚拙ながら一応ご参考まで)

蛇足ながら、ついでにロベルト・ロンギからも引用しておこう。

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(カラヴァッジョが)決定的なのは、全く新しい分野、つまり、現代人にとって親しみのある「死せる自然/静物」という分野を彼が創りだしたということである。(中略)そこに注がれた人間の眼差し、そしてなによりも、その魅惑を生み出したその人間自身の眼差しを映し出しているのである。(中略)ジュスティニアーニ候の伝える画家本人の言葉が残されている。「自分にとっては、人間と同じように花の絵をうまく描くことも立派な仕事なのだとカラヴァッジョは言った」。

(ロベルト・ロンギ『芸術論叢Ⅰ』(中央公論美術出版)「カラヴァッジョとそのサークル」(P248)から引用)

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ということで、《バッカス》は次回に続く…(^^ゞ