M先生の講座で知ったのだが、ベルンの「パウル・クレー・センター(Zentrum Paul Klee)」はパウル・クレー(Paul Klee, 1879-1940年)の作品4000点を収蔵しているそうで、その中に初期のエッチング作品《樹上の処女》がある。
パウル・クレー《樹上の処女》(1903年)パウル・クレー・センター(ベルン)
私の知っているクレーの作風とは異なり、その硬くねじれた人物造形はまるでエゴン・シーレを予告するかのように感じられた。が、その画像を見た瞬間、ジョヴァンニ・セガンティーニ《悪しき母たち》も想起したのだ 年代的にもセガンティーニ作品の方が先行しているはずである。
ということで、ジョヴァンニ・セガンティーニ( Giovannni Segantini, 1858-1899年)の《悪しき母たち(Le cattive mdri)》である。
ジョヴァンニ・セガンティーニ《悪しき母たち》(1894年)ベルベデーレ美術館
ジョヴァンニ・セガンティーニ《悪しき母たち》(1894年)チューリッヒ美術館
早速ネットで調べてみると...やはり...。
「《樹上の処女》は、ジョヴァンニ・セガンティーニの《悪しき母たち(Le cattive madri)》(1894年)の モチーフと結びついています。この絵は、アルフレッド・ジャリー、マックス・ヤコブ、クリスチャン・モルゲンシュテルンのグロテスクな抒情詩の影響を受けています。それは、20世紀の変わり目に象徴主義者の作品に見られる文化的悲観主義を特徴としています。」(Wiki英版)
美術ド素人の私には、クレー《樹上の処女》もセガンティーニ《悪しき母たち》も、女性の人生が樹木に捕らわれているように見えるのだよね。まぁ、現代女性は樹木なんてへし折って薪にしちゃうかも。
※追記:ちなみに、クレー《樹上の処女》って《ポリフィロの夢》を踏襲しているんじゃないかなぁ?? ジョルジョーネの《眠れるヴィーナス》からマネ《オランピア》の系譜に連なったり??
フランチェスコ・コロンナ《ポリフィロの夢》(1499年)