花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

大人の休日作戦-初夏編

2015-07-30 01:07:31 | 展覧会
6月末~7月初「大人の休日作戦!」に参戦した。仙台⇔東京の往復で耳鳴りはするし、身体はボロボロになるし、鞭打ち症持ち年寄りにははキツ過ぎたようだ…(^_^;)

さて、今回観た展覧会は…

・「着想のマエストロ 乾山見参!」 サントリー美術館

乾山の初期からの作品変遷だけでなく、雁金屋の兄弟を取り巻く文化環境なども併せて偲ぶことができる展覧会だった。当時の京焼の大巨匠である仁清から免許皆伝を受け、「乾山」のトップブランド化に成功したのは、乾山の美意識を培った雁金屋の文化力(&財力)が基底にあるからなのだろうなぁと思う。で、私的には大好きな仁清や光悦作品も観られたことも嬉しかったし、 光悦の《熟柿》なんて何年ぶりだろう!

・「速水御舟とその周辺」 世田谷美術館



《菊花図》を観ることができたのは誠に幸いである。素描も併せて展示されていたのだが、御舟の写実力は繊細な花びらや葉の持つ重みまで描き込んでいる。ましてや屏風作品となり、金色を背景とした繁茂する菊花のなんと異様なほどの存在感!その線描に漲る気魄はデューラーを髣髴させ、まるで《黙示録》のうねる毛髪線描のようではないか?!


速水御舟《菊花図》部分(1921年)(画像はネットから拾った)

背後で「きれいね~」との声が聞こえた。この過剰なほどのエネルギーを秘めた菊花を私はとても「きれい」だなどとは言えない。しかし、このデューラーが憑依したかのような《菊花図》は確かに禍々しくも「うつくしい」のである。

・「画鬼暁斎」 三菱一号館美術館



暁斎は江戸時代の絵師の凄さを体現している。江戸の格調も色香も洒脱さも、その筆がさらさらと描いちまう。コンドル君もそこに惚れちまったんだね。暁斎の画業の素晴らしさとともに、弟子コンドルとの交友がほのぼのと楽しくなる展覧会だった。

・「ボルドー展」 国立西洋美術館



ボルドーはアキテーヌ領だったのね!昔「冬のライオン」という映画があった。英国王ヘンリー2世(アンジュー伯ヘンリー・プランタジネット)、妃はアキテーヌのアリエノール。ボルドー市の紋章には「ライオン」が描かれている。そんなボルドーの歴史が古代から現代まで綴られていた。
で、展示作品としてはベルニーニ《フランソワ・ド・スルディス枢機卿の胸像》(1620年頃)が私的には一番押しかも。ペルジーノ工房《玉座の聖母子と聖ヒエロニムス、聖アウグスティヌス》(1500-10年)、ドラクロワ《ライオン狩り》(1854-55年)&ルドンの摸写作品に目が惹かれた。ゴヤが晩年過ごした土地だから、ゴヤの版画作品もあった。ということで、美術ファンにはちょっと軽すぎる気がしましたわ。私はペトリュス好き♪

・「呉服商『大彦』の小袖コレクション」 東京国立博物館


《小袖白練緯地松皮菱竹模様》(安土桃山~江戸時代・16~17世紀)


部分拡大写真 (笹葉は辻が花っぽい)

桃山から江戸初期の小袖が好きだ。特に絞りと刺繍が描く大胆な意匠は現代でも通用する斬新さがある。そんな素晴らしい小袖が保存状態も良く、色鮮やかな姿で展示されており、もう目が夢中になって細部まで観てしまった(#^.^#)。綸子の地模様までが凝っているのだよ~♪ 収集された「大彦」さんに感謝!

 
《小袖鬱金綸子地染分花の丸模様》(江戸時代・17世紀)

ということで、展覧会三昧ではあったが、次回からの「大人の休日作戦」はもっと余裕を持って臨みたいと思ったのだった(^^;;

「カラヴァッジョ展」続報に思う。

2015-07-26 17:50:40 | 展覧会
すっかりブログご無沙汰してしまった。なんと、頭を再度ぶつけてしまい(電子レンジの開いた扉に激しくゴツン!)、せっかく快方に向かっていたムチ打ち症状が逆戻りしてしまったのだ。病院で再びCTを撮り、まぁ支障は無かったものの、まったく踏んだり蹴ったりで、病院の先生にも「災難でしたね」とあきれられる始末。それなのに、「大人の休日作戦」に参戦し、無理がたたってダウンしてしちまいました(^^;;;

で、サボっていた間に国立西洋美術館のサイトの「カラヴァッジョ展」情報で、カラヴァッジョ来日作品2点が紹介されていた。


カラヴァッジョ《エマオの晩餐》1606年、油彩 /カンヴァス、ミラノ、ブレラ美術館


カラヴァッジョ《女占い師》1594 -95年、油彩/カンヴァス、ローマ、カピトリーノ絵画館

でも…これだけなんでしょうかね??

《ロレートの聖母》がどうなったのか…予断を許さぬ状況なのか、それともご破算になったのか…?? 拝借ゴリ押し中でしたら、ぜひ頑張ってくださいませ。>西美さま

ブレラ《エマオの晩餐》は2度目、《女占い師》は初来日。うむ、宗教画と風俗画が揃ったということですな。《女占い師》が来るということは、カラヴァジェスキの同主題ヴァリエーションが並ぶ可能性があるわけで、まぁそれも楽しみだけど、少ないだろうカラヴァッジョ作品を核としてどのように展開して行くのか、詳細続報に期待したいと思う。

ちなみに、サイトにある「その他関連伝記資料」って、ベッローリとかジュスティニアーニ候とか出てくるのだろうか?もしかして、ローマの公文書館の資料なんかも来るのだろうか??

カラヴァッジョ偏愛としては、どんな作品や資料が来ても嬉しい。その代り、濃~いコクのある味付けにしてほしいものだと思う。