「芸術新潮」8月号は今年3月に逝去された彫刻家舟越桂の追悼特集号だった。
以前、記憶は曖昧だが、東京国立近代美術館か東京都庭園美術館かで、舟越桂の作品展を観たことがある。初期の静寂な人物像はなんとなく有元利夫を想起させた。また、舟越安武が父であることを知り、岩手県立美術館で観た安武作品を思い出し、なるほどなぁと思った記憶がある。
今回の芸術新潮の記事を読むと、やはり一時期有元利夫の影響を受けたようであり、更にルーヴル美術館《フィレンツェの婦人》がお気に入りだったらしく、多分、初期ルネサンスの作風が好みだったのだろうと推察された。
《フィレンツェの婦人》ルーヴル美術館(ガラス光反射のため正面から撮れなかった)
私的には、宮城県美術館(常設展)で舟越作品《ラムセスにまつわる記憶》が展示されていた記憶が新しい。なので、芸術新潮に記載されていた舟越作品所蔵先一覧で、所蔵が石巻市博物館になっていたのに驚いてしまった。えっ?宮城県美術館の所蔵ではなかったのか?!そして、石巻に購入提案する気の利いた学芸員がいたのか?!と
舟越桂《ラムセスにまつわる記憶》(1986年)宮城県美術館にて(所蔵:石巻市博物館)
2011年の震災で石巻文化センターが被災した後、《ラムセスにまつわる記憶》は泥の中から救出されたようだ。
ラムセスは謎だが、大理石の玉眼は震災の記憶をも宿しているように思える。