花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「CARAVAGGIO IN HOLLAND」展(2)

2009-06-29 02:16:15 | 展覧会
展覧会レポートを書くにあたり本当は図録を参考にしたいところなのだが、如何せん、ドイツ語でぜんぜん歯が立たない(涙)。かろうじて美術館ぐらいは判別できそうなので、わかる限りは日本語で記した。それから、図録から画像紹介したいと思ったのだがスキャナの調子が悪いので、できたら後日挿入したい。

さて、展覧会会場は6室に分かれていた。第2室以降は左右に分かれており、左室から時計回りに移動して観て行った。なので、便宜上番号は左から付けている。でも、もしかして正しい順番は右回りだったのかもしれないけどね(^^;;;


展覧会場の展示室構成(記憶を頼りに作成)


第1室 Coronation with Thorns

■カラヴァッジョ《荊冠のキリスト》(ウィーン美術史美術館)
■バルトロメオ・マンフレディ《荊冠のキリスト》(バイエルン州立絵画コレクション/ミュンヘン)(munchen bayeriseche staatsgemaldesammlungen)
■ディルク・ファン・バビューレン《荊冠のキリスト》(カタライネ修道院博物館/ユトレヒト)(Museum Catharijneconvent)

入口を入った正面にウィーンのカラヴァッジョ《荊冠のキリスト》が展示されていた。左壁面にマンフレディ作品、右壁面にバビューレン作品が配置されている。


カラヴァッジョ《荊冠のキリスト》(ウィーン美術史美術館)

今回の展覧会は「音楽」主題中心だと思い込んでいたので、このオープニングは意外でもあり、かつ、マンフレディも登場とは予想外だった。マンフレディ(Bartolomeo Manfredi ,1582-1622)はイタリアのカラヴァッジェスキ筆頭ともいえる画家である。

去年のトラパニでのカラヴァッジョ展でもカラヴァッジョ真作とマンフレディ模写作品を並べて展示していたが、今回の《荊冠のキリスト》ではテクニックだけでなく、構図も殆ど真似状態(^^;;。多分、カラヴァッジョ研究を重ねたのだろうね。しかし、登場人物を3人に絞り、背景の空間を広げたところが、かえって静かな瞑想性を強めているように思えた。

一方、バビューレン(Dirck van Baburen ,1590-1624)は登場人物を増やし、画面が込み合っているので息苦しさが伝わってくるかのように思えた。
蛇足であるが、以前観ているネルソン・アトキンズ美術館作品とちょっとだけ違うヴァージョンだった。当時は同一テーマの依頼だと、少しずつ形を変えながら注文に応えていたのだろうね。


参考:ディルク・ファン・バビューレン《荊冠のキリスト》(ネルソン・アトキンズ美術館)

さて、カラヴァッジョのウィーン作品であるが…真作と言われる作品の中で私的になんだか「う~ん」な作品なのだ(汗)。拙サイトの方でも書いたようにモデルがなんともしっくりこない。プラド美術館でカラッチョーロ作品によく似たモデルを発見し、更に「う~ん」になってしまった。でも、私は美術ド素人だし、やはり真作なのだろうなぁ。

ともあれ、カラヴァッジョの《荊冠のキリスト》は当時ローマに滞在した画家たちを魅了し、影響を与えたことは確かだ。カラヴァッジョの革新的様式をカラヴァッジェスキがどのように自らのものとして作品にしていったか、イタリアとネーデルランドのカラヴァッジェスキから見ることができたと言えよう。

「CARAVAGGIO IN HOLLAND」展(1)

2009-06-21 03:17:33 | 展覧会
フランクフルトのシュテーデル美術館で「CARAVAGGIO IN HOLLAND」展を観た。


シュテーデル美術館

シュテーデル美術館では最近ユトレヒト・カラヴァッジェスキの一人であるディレク・ファン・バビューレン《歌う若い男》(1622年)を入手し、それに基づき、ユトレヒト派と「音楽家」を主題にしての展覧会を企画したようだ。


垂れ幕ポスター

バロックの革命児カラヴァッジョの革新的絵画技法の影響はイタリアから欧州へと広がったが、一番色濃く影響を観ることができるのがネーデルランド(オランダ)のユトレヒト派だ。マニエリスムの画家アブラハム・ブルーマールトの弟子であったヘンドリック・テル・ブリュッヘンは1604年ローマでカラヴァッジョの絵画に出会う。また同門のヘラルト・ファン・ホントホルストやディルク・ファン・バビューレンも相次いでローマに滞在し、カラヴァッジョの影響を受け1620-21年に帰国している。この3人がユトレヒトで北方カラヴァッジズムの中心となって活躍することになる

まずは、展覧会会場に出ていた解説文を紹介しておこう。でも、美術ド素人&横文字苦手の私が勝手に訳したので、違っていたらごめんなさい、である(^^;;;


■ CARAVAGGIO IN HOLLAND ■

カラヴァッジョはネーデルランド(オランダ)には行ったことはなかったが、反対にオランダのユトレヒトの画家たちがローマに赴き、カラヴァッジョの劇的なキアロスクーロ(明暗法)を自分自身の目で確かめることになった。

ヘンドリック・テル=ブリュッヘン、ヘリット・フォン・ホントホルスト、ディレク・ファン・バビューレンたちは、信奉するカラヴァッジョの新しい絵画表現を熱狂的に取り込み始める。

このオランダ人画家たちはカラヴァッジョの新しい絵画技法だけでなく、《リュート奏者》に見られるような上半身サイズの肖像画スタイルにも魅了された。そして、イタリアの保守的な古典的絵画技法や様式を壊すことにも熱中していくことになる。

カラヴァッジョの攻撃的様式とも言えるスポットライト照明は、周囲の暗闇から確実に主題を浮き立たせる。そして、画面に向かう鑑賞者に対し、画面との間の垣根を取り払い、劇的場面への臨場感を更に強める効果がある。絵画的空間の深さとコントラストによって、画面上の人物像の立体感といったら、まるで「触る」ことができそうではないか。

しかしながら、その両側面、ドラマとパトス、野蛮と宗教的熱情、エロチシズムと皮肉を伴う、人物の描写と場面についての論争を引き起こす。

1620~1625年の5年間は、激しい共通の興奮と論争を呼んだ。3人がイタリアから持ち帰った新しいバロックの多様な革新は、すぐにレンブラントの高度な発展へと向かうことになる。それは、シュテーデル美術館にある彼の《目を潰されるサムソン》によっても実証されよう。


レンブラント《目を潰されるサムソン》(シュテーデル美術館)

■ ■ ■

行って来ました(ベルギー・ドイツ)

2009-06-13 04:13:59 | 美術館
6月までに取得しないと消えてしまう連休を取り、急遽ベルギー・ドイツに出かけてきた。何と、決めたのは出かける2週間前(^^;;

これはフランクフルトのシュテーデル美術館で「CARAVAGGIO IN HOLLAND」展があることに気が付いたからだ。以前、ユトレヒト中央博物館(美術館)に行った時、カラヴァッジェスキ作品の展示数が意外に少なく、私的にちょっとばかり欲求不満を覚えていた。なので、この展覧会ならユトレヒト派をまとめて観られる良い機会かもしれない、ついでに、行き残していたブリュッセルにも足を伸ばしてみたい...と、ついつい欲張ってしまった(笑)


「CARAVAGGIO IN HOLLAND(オランダのカラヴァッジョ)」展会場入口

展示作品は40点ほどで、一応(う~む)カラヴァッジョ作品とユトレヒト派のホントホルスト、バビューレン、そしてテルブリュッヘンの主要3画家作品を中心に並べ、カラヴァッジョの影響と、描かれた音楽画題の考察など…なかなかに興味深い企画展であった。特に近年テルブリュッヘンに関心を持つようになったものだから、バーゼル美術館《歌う若い女》など涙ものであった。レポートは次回に詳しく扱いたい。

主な廻った美術館・教会等

■ ブリュッセル
・ 市立博物館
・ 王立美術館
・ ノートルダム・ド・ラ・シャペル教会
・ ノートルダム・デュ・サブロン教会

■ケルン
・ケルン大聖堂
・ヴァルラーフ・ゲルマン博物館

■フランクフルト
・シュテーデル美術館

■カールスルーエ
・州立美術館
・オランジェリー


今回の旅行で一番ゆっくりできたのは月曜日のブリュッセルで(美術館休館日!)、市内観光バスに乗りラーケン王宮の方まで見てしまった。ついでにスイーツもしっかりとね(笑)

甘いものは好きなのだが量的にあまり食べられない。でも、せっかくブリュッセルに来たのだからと、少しづつチャレンジしてみた。

まずは、ベルギーと言えばワッフルということで「ダンドワ」へ。ワッフルも2種類あって、甘くないカリっと焼いたワッフルと、甘くてしっとりとしたリエージュワッフルがある。普通はアイスクリームやチョコ・ソースなんかを付けるようだが、やはりナチュラルで行きたいと思った。

 
カリっとしたワッフル                       甘いリエージュワッフル

甘くないワッフルはサックリと難なく胃に収まった。で、リエージュの方は...甘過ぎて半分も食べられない(大きすぎるのだよねぇ)。ということで、ここからスイーツお食べ地獄(?!)が始まったのだ(笑)

さて、その後でグラン・サブロン広場の方に出かけると、有名ショコラ屋さんが集まっていて壮観!

 

さっそく「GODIVA」でチョコまぶし生苺を買い、近くのブラスリーでベルヴュー・クリーク(甘いビール)を飲みながらつまむという暴挙にでた(^^;;。いや、これがなかなかにイケたのだよ。

 

チョコに埋まった苺は瑞々しい甘さ、チョコはビター系、良くマッチしていて美味しい~(*^_^*)。できればチョコがもっと薄掛けだったら良かったんだけどね>GODIVA様 



で、このビターチョコとチェリー系のベルヴュー・クリークの相性も実に良く、サブロン教会を眺めながらホロ酔い気分になったのだった♪